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この殺伐とした魔術世界で  作者: 柿の種
第三章・前半

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ダンジョンへ行こう

もしよかったら感想、ご指摘などよろしくお願いします


これから第三章開始です


ドミネ首都レギン - AM


「ダンジョン、ですか?」

「そうそう、ダンジョン。迷宮ともいうあれね」


レギン襲撃事件から数日後。

ハロウから呼び出しを受け、カフェである話を聞くことになった。

ダンジョンについてだ。


一応、このWOAにもダンジョン……モンスターが出現し、宝物が置いてある、そんなものが存在するのだ。

しかし私の興味が薄かったため、話には聞いていても向かった事はなかった。


「クロエさんには、レギン近くにあるダンジョンに行ってもらいたくて」

「いや、別に良いんですが……なんで私なんです?」

「あら、そんなの私が頼める人なんて限られてきちゃうからよ。そも、フレンド交換してる人自体少ないから」


目の前の決闘王者は悲しそうに笑う。


「本当なら私だけでいい!とは言ったんだけど……。今回は譲れって言われちゃって」

「誰にです?」

「赤ずきんちゃん」


あの胡散臭い笑顔が一瞬頭を過ぎる。

面倒ごととは思わないが、それでも赤ずきんは何かと私を構い過ぎではないだろうか。

腕の縫合やら、なにやらまで。


「はぁ……場所はどこなんです?あんまり遠いと、あんまり土地勘無いんで迷うんですけど」

「大丈夫大丈夫、そこまで遠くはないから。歩きで30分くらいよ」


正直、歩きで30分ならば迷える自信はあるのだが……まぁいいだろう。


「分かりました。じゃあ後で地図座標送っといてください」

「はーい。ふふ、ありがとねクロエさん」

「いえ、ハロウさんには何かとお世話になってるんで」


そう言って、ハロウと別れる。

【チャック】を使い、宿の部屋に戻りしばらく経つとハロウから座標と共にダンジョン内での目的が送られてきた。


「……ダンジョン内のモンスター駆除?」


モンスター駆除。

たまにだが、街の外へ出る時に頼まれたりするクエストの1つだ。

理由としては、住処などから溢れたモンスターが街へ来ないようにするためのクエストだったはず。


ということは、だ。

あまり詳しくは無いが、ダンジョンもあまり放置しすぎるとモンスターが中から溢れ出たりするのだろうか。


「殲滅はあまり得意じゃないけど頑張ってみるかな」



-----------------------



次の日。

ハロウから送られてきた座標へと出向くと、そこには館があった。

曰く、妖光の館というダンジョンらしい。

森の中、それに加えて暗い雰囲気のある館の前にいると、少しだけ怖い。


立っていても仕方ないため、扉をすこーしだけあけて【霧海】を侵入させようとする、が。


『これより先のエリアには侵入できません』


というログが出現し、何度【霧海】を使おうにも、扉の先を感知することはできなかった。


おそらく、ネタバレ防止のための制限なのだろう。

中に入れば問題ないだろうし、ちゃっちゃか入ってしまうことにする。



中に入り、一番最初に見たのはいつか見たような小部屋だった。

おそらくセーフティエリアか何かに設定されやすいのが小部屋なのだろう。


いつまでもここにいても仕方ないため、装備を確認した後に外に出る。


「さぁて、戦闘開始っと」

「ギィ!!」

「ギィギィ!!」


扉を開けた先には、ゴブリンが2匹立っており、私を見るや否や仲間を呼び始めた。

……ふむ。最初に飛びかかってこないで、確実に殺すために仲間を呼んだのかな。


有効な手だと、私は思う。

ただただ戦って、ただただ死んでいくよりもよっぽどマシだ。

そして、いつの間にか後ろへ回り込んでいたゴブリンがこちらへと短剣を突き立てようとしてきていた。


「ギギィイ」

「【分裂槍】」


だが、それも奇襲相手に対して有効かと言われれば……相手による。

【霧海】を発動させた時点で、奇襲という奇襲はそのほとんどは事前に分かるのが私だけだ。


【分裂槍】を発動させ、背後から来ているゴブリンを貫く。

そしてそのまま分裂させ、前にいる2匹の頭を貫く。


「うーん?ゴブリンってどう解体するんだろ」


私はあまりモンスター相手に戦闘はしない。

というか、別にしなくても【五里霧】があるためある程度安全になっている。

そのため、解体作業については真面目によくわかっていない。


「物は挑戦、とも言うしやってみるかぁ」


護身石の短剣を片手に、ゴブリンの腹に刃を入れる。

意外とするっと刃は入り、開いた腹からは血の匂いがもわっと広がった。


「こういう匂いって、ゲーム側に登録されてるのか、頭の中から呼び出してるのかどっちなんだろ」


事前知識として、ゴブリンを解体する場合彼らから採れる有用なアイテムは心臓部しかない、というのがある。

それ以外は特に役に立たない。


そも、魔法にも物理にも弱い皮や筋ばかりで美味くもないし量も少ない肉など、あっても困るだけだろう。


心臓部あたりには、ごつごつとした紫色のうっすらと光る石があった。


「これがよく言う魔石って奴かな」


【魔力視】してみると、魔石というだけあり少しだけ魔力が籠っているようだ。

恐らく、こういう魔石を使い魔力を纏った武器を作ったりするのだろう。

しかし、この魔石が取れるのはダンジョン内だけと聞いたことがある。

……ゲームシステム的に、魔石がどこでも取れるとダンジョンの存在意義がなくなっちゃうからかな?


きっとそういうことなのだろう。


「【変異】」


手でもう一体のゴブリンの死体に触れながら【変異】を発動させる。

すると、死体は魔石とゴブリン肉のブロックへと変化した。


「前にやった時は肉にしかならなかったけど、これは知識の差なのかな。それとも経験の差?」


どちらなのか。

まぁとりあえずどちらにしても、これから【変異】でも解体を正しく出来るようになったと考えていいだろう。


パパッともう一体も解体し、そのまま奥へ進んでいく。


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