新しい分岐、戦闘での使い方
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「落とし穴は効かないかな!」
こちらの設置した落とし穴を簡単に回避しつつ、こちらへと迫り剣を振るう。
それをある程度の余裕を持ったうえで躱しながら、対策を考える。
……落とし穴が見破られている以上、何かしらの感知、もしくは索敵系の魔術を持っていると考えるべきか。
ならば、と【憤怒】を限界まで自身にかけ、強化として使用する。
これをやるのは、確か館の支配者との戦闘以来だっただろうか。
あまりやりたいものではない。
「おぉ!?なんだろうそれ!みたことはないな」
「ふフ、喰らっテみる?」
【怒煙】を短剣に纏わせ、【身体強化】を足に重点的にかける。
そして、もう一度【五里霧】を発動させる。
「また姿を消す術か、興味深いな」
……感知系索敵系をもっていようと、速度でこちらが優れば回避、カウンターは容易ではないはず。
そう、私の【霧海】にも言えることで、感知系索敵系の魔術はあくまでも、それを扱う術者の思考速度に縛られてしまう。
これを感知した!よし、じゃあそれに対してこれをしよう!……と、機械ではない分余計なことを考えてしまったり、ここでこれを挟めば……とある意味で人間的な予測までいれてしまう。
そんな弱点があるからこそ、それを知っているからこそ、私はそれを利用する。
【五里霧】により姿を消しホーネットの左側から突っ込んでいく。
【憤怒】による強化、【身体強化】による足の強化と、バフを重ねたためにその速度はかなり速い。
「おっと危ない危ない」
されど、ガキンと防がれる。
同じように、今度は背後から攻撃しようとも、またガキンと音が鳴る。
それを繰り返しながら、攻撃させないように立ち回る。
……これは、どういうことだ?
「ごめん、僕に近接で挑むのは流石に悪手だと思うんだ」
彼は光る剣を振るいながらも、そう言う。
私だってそんなことはわかっている。
……ならばどうする?
では、と短剣で突っ込みつつ、【範囲変異】を相手の足元から発動させる。
槍の足元指定版だ。
短剣が彼の剣に当たり、またもガキンと音を立てた瞬間に彼の足元から槍が複数飛び出してくる。
「ぐっ」
ある程度は感知されていたのか、槍に対しての反応が早く大部分を躱されてしまったが、その中の一つが彼の足へ突き刺さる。
しかし、これもある程度予想通りなのかもしれない。
【五里霧】を解除しつつ、話しかけてみようか?
「貴方、感知系の魔術持ってるんです?」
「ふふ、それはどうだろうね?」
まぁそうか。
ここで手の内を晒すバカは、すぐにカモにされるだろう。
【怠惰】を周囲の土へとかけつつ、彼に対して【爆破槍】を発射し牽制する。
一種の砲台のように。
「それは一度みた、かな!」
「どうでしょうね。起爆」
「なっ!?」
まだ彼に見せていない【爆破槍】のもう一つの起動文を使い破裂させる。
今回は【怒煙】を使っていないタイプのために、破片が当たったところでダメージにしかならないが、今回はそれでいい。
複数の槍が一斉に破裂したことにより、彼はある程度の破片が身体へと突き刺さりダメージを受けたようだ。
しかし、まだ降参とは宣言していないために、戦意は衰えていないのだろう。
「こんな隠し玉は……初めてだ」
「そりゃどうも、まだ行きますよ」
【怠惰】を周囲にかけるのを忘れずに、今度は普通の槍と【爆破槍】を混ぜたものを発射する。
ホーネットは、先ほどの破裂を思い出しているのかあまり近寄っていなす、ということをせずに、あくまで余裕をもって避けることにしたそうだ。
しかし、それはこちらもわかっている。
【霧海】が発動しているために、現在進行形で自分の発射した槍の軌道も、彼の動きも読めている私は、普通の槍に対し魔力を注ぎ、もう一回【変異】させてやる。
イメージは、枝分かれ。一本の大きな槍から、複数の細い槍が出現する、そんなイメージだ。
「これが、私のもう一個の手ですよ。分散」
「はは、面白いなぁ」
そのまま発動させる。
すると、普通の槍はまるで爆発するかのように膨張し、複数の槍が枝分かれするように飛び出してくる。
彼はそれに対応しつつも、さすがにすべては避けられないのか、何本かの細い槍に掠っている。
私は【霧海】を周囲の【怠惰】をかけていた土に対し感知をかけさせる。
……ちょうどいい、かな。
「まだ参ったとは言ってくれないんですね」
「そりゃそうさ、まだまだこれから、だろう?」
そういいながら彼はこちらへと突っ込んでくる。
私は、それに対し短剣を構えながらも他にはないもせずに受けようとその場から離れない。
「はは、万策尽きたってところかな?」
「あは、そんなわけないですよ」
ある程度近づかれたために、もう一つまだ使っていなかった私の切り札を発動させる。
【霧海】で相手の足が次にどこに着地するかを感知し、そこに開いた状態で【チャック】を発動させる。
最近出番のなかった、【チャック】を使用した近接戦闘系に対しての足ひっかけだ。
「うぉう!?」
そして彼は見事に引っかかる。
走っていたからか、そのままの勢いで足を取られずざざーっと、こちらの近くまで滑り込んでくる。
そう、こちらの近くまで。
「これ、は……?」
「あは、そこ細工しておきました」
【怠惰】を執拗にかけたことにより、変容した土へと突っ込んできた彼は、立ち上がろうと腕に力を入れるも、土のほうが泥のように緩くなっているために、うまく立ち上がれない。
そんなチャンスを逃す私ではない。
「まだ参ったとは?」
「いわないかなぁ?」
その言葉とともに、【怠惰】を彼へとかけていく。
ついでに【爆破槍】ともう一つ。先ほどイメージして作った枝分かれする槍……【分裂槍】を彼へ叩き込んでおく。
ガキンガキンと音がなるが、次第に彼の受けるダメージが増えていく。
それもそのはずだ。
【怠惰】によって、カウンターを発動させるのにも精一杯だろうから。
そもそも、かけ続けているためか彼の身体は動かすことも精一杯な状態だろう。
「これで、終わりっと」
最後に槍で彼の頭を貫いて、戦闘は終了した。




