025 主人公に都合の良い特典がある世界?
本日2話目です。
ビーゼルさんの怪我は思った以上に悪かったようで、あれから5日が経過した。
お陰で裁縫も一通り習えたし、合羽も完成した。
ついでに薄手の手袋も購入してある。
今日は久々の絵描き仕事で、装備のお披露目でもある。
早速朝から装備して集合場所に行くと、エイさんからは疑問の声が。
ビーゼルさんからは、勿論ウサギを出せとの声が。
「……なぁ、誰かを暗殺でもすんのか?」
「しませんよ。これ、完璧な防具なんですって」
「ただの安物のコートに見えるが?」
「まぁ、元は安物のコートでしたからね」
俺の懐事情からすると、決して安物では無かったんだけど。
ビーゼルさんはウサギに夢中なので、歩きながら装備の説明をする。
「これ、俺専用なんですけど、完全防御なんですよ」
「……は? こんなペラペラなのが?」
「そうです」
俺が合羽と手袋に付けた注釈はこれ!
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『完全防御』『汚れない』『網目より小さい物は貫通する』
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何で弱点まで書いたかと言うと、書かないと光って消されたからだ。
刺繍の著作権マークには『完全防御』が適用されないので、裏地につけてある。
服と擦れて切れる可能性があるので、毎日チェックすると誓っている。
その他にも『疲れない』とか『筋力増加』とか書いたけど、これらも消された。
推測だけど、100ポイントあるとして、『完全防御』に99ポイントくらい取られてるのではないだろうか?
『疲れない』とか『筋力増加』が10ポイントなら取得出来ない。
『汚れない』だけが1ポイントでギリセーフだったと思う。
『完全防御』だけで、十分チートだけどな。
網目は5mm角くらいなので、針とかなら通り抜ける。
後、毒ガスとかにも意味が無い。
しかしこれは逆に言えば、空気も遮断する可能性があったので、しょうがなかった。
ちなみに、ちゃんと最悪は想定して対策済みである。
内側の腰の所にポーション入りの革袋を装備して、そこから管を口元まで伸ばしてあるのだ。
このポーション入り革袋は具現化で作成した。
ポーションの効能は『毒消し』『頭部限定で即治療』となっている。
頭部限定ってしなきゃ発現しなかった。神様(?)はお見通しのようだ。
手袋は、装備してから気付いた。
手だけ丸見えな事に。
実験として、服を着た状態で手をトゲのある植物に当てたら刺さった。服は引っかかる事も無かったのに。
なので慌てて購入したのだ。
やっとだ。やっと手に入れる事が出来た!
これで自由に出来る!
いやね、ラノベ情報だとね、主人公に都合の良い特典が世界にあるじゃん。
「冒険者は戦争免除」「そもそも戦争してない」「貴族が優しい」「王族も優しい」
「ドラゴンとか居る世界なのに街とかを襲ってこない」
俺、こんなの信じてないんだ。
世界観が中世ヨーロッパじゃん? その頃の貴族って、横柄だよ?
戦争となれば平民なんて徴兵されるよ? 逆らえば死罪だよ?
魔女狩りとか普通にやってたんだよ? まぁこれは中世だったか覚えてないけど。
そんな時代……かどうかは別として、具現化なんてチートな能力使って活躍してみ?
魔女狩りに会うか、徴兵されるか、国にこき使われるか、隷属されるか。
碌な事にならないよね?
だからラノベの主人公とかは自重しようとするんだけど、自重するなら生活レベルも自重しなきゃバレる。
俺は生活レベルを現代とまでは言わないけど、近い感じにはしたい。
だから自重なんかしない。貴族や国からの命令も断る!
この相反する行為を可能にするのが『完全防御』。
何されても無視してりゃ良いもん。怒って「殺してしまえ!」とか言われても問題無し。
完璧だろっ! ふははははは!
「なぁ、本当に完全に防御するのか?」
「そうですよ~」
「攻撃してみても良いか?」
「……はい」
エイさんが野獣みたいな目になってるのを見て、現実に戻った。
そして恐ろしい提案をされた。
大丈夫なはずだけど、恐怖はある。
しまったな。『恐怖耐性』も付けておけば良かった。
エイさんが思い切り横薙ぎに切りつけてくる。
その剣は俺の体に当たると、表面を滑っていった。
ふう、大丈夫だったぜ。
それを見たエイさんは剣を腰に仕舞い、タックルしてきた。
そして俺は押し倒された。
「ふ~ん、勢いは殺せないのか」
俺も初めて知ったよ!
耐えられるように筋力を付ける必要があるわ……。
ここまでが第1章になります。
明日から第2章が始まります。




