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098 呼び出しといったら校舎裏か屋上か


 青空教室が終わって数日、昼は剣を打って夜寝る前にちまちま服作ったりして過ごした。


 ちなみに童貞を殺す……じゃない、コルセットスカートは前にも作ってたけど、今回はふりふりレースつきでちょっとお洒落っぽくしてみた。ブラウスもふりふり。ついでだし普段着用の服も適当に何着か作っておこうかな? なお、コルセットスカート自体はないけど、ボディスの類は普通にあるのでそこまで浮くような格好じゃなかったりする。

 魔剣のほうは、もうちょっと溜めてから纏めてやっちゃおうかな、と言うことでまだまだ地道に素材剣造り。あとは偶に槍とかも造ってみたり?

 なんてやってたらある日、朝早くからトリエラに呼び出された。というか連れ出された。収穫祭はまだだけど、何事? 私達の後ろをてとてととノルン達が付いて来る……二匹を見るに、危険は無さそう?


 一体どこへ行くのかと思えば、一般区の割と端のほう。それなりに近いところに衛兵の詰め所が有ったりするので、治安は悪くない筈? にある、ぼろぼろの一軒家。

 うわ、なにこの廃墟。とても人が住んでるようには……え? これ、トリエラ達が借りた家なの? マジで? ああ……うん、そうなんだ……


 えぇ……なんでこんな家借りたの……?


 理由を聞いてみるとなるほど納得。家賃が安いらしい。建屋自体はぼろぼろで廃墟と見まごうばかりだけど、立地は悪くない。市場や冒険者ギルドの出張所もそう遠くないし、端のほうに近いとは言え、第三区画でもそれなりにいい場所にある。

 建物はぼろいけど、これは勝手に直していいらしい。そして直しても家賃は据え置き。寧ろ直すことを前提に安い家賃で貸し出してるとも言える。なるほど、条件だけ聞けば悪くない。ただ、家を直すことが出来れば。


 で、トリエラが私を呼び出した理由はこの、やっと借りれた家を見せるためだったみたい。実は授業後半には借りてたらしく、昨日やっと掃除が終わって引越したんだとかなんとか。

 うん、これで拠点ができたわけだし、嬉しいのはわかるんだけど、これ、柱とか大丈夫なのかな?


 家の前にはクロが一人で待っていて、トリエラと一緒に私を家の中に案内してくれた。リコとアルルは食料の買出しに行ってるらしい。

 そんなわけで家に侵入。というか玄関扉が既にヤバイ。取れかけてる。大丈夫なのか、これは……

 気を取り直して改めて家に入る。ノルン達は玄関先で待機。正直、ノルンの重さだと床が抜けそう。で、入って直ぐが居間って言うかリビング。台所も併設してるみたい? 壁に大きな穴があいてるのが非常に気になる。普通にそこから出入り出来そうなんだけど……

 リビングの奥のほうに小部屋がふたつ。外れてしまったのかどちらも扉は無いけど、ひとつは倉庫にする予定らしい。もう一つは風呂場? とは言え排水溝の穴があるだけで湯船は無い。盥にお湯を張って体を拭くスペースとして使うらしい。うーん……

 もう一箇所、階段下に小さい小部屋、というか……これはトイレかな? 見た感じ和式便器っぽい。蓋もしてあるからか、幸い匂いはそんなにしない。でもここも扉がないからリビングまで多少匂ってくる。扉が付いてたような痕はあるけど……んー

 リビングを軽く見回すと大黒柱っぽい柱が二本あったので【解析】でチェック、どうやら腐ったりはして無い模様。というか普通に大丈夫そうかな?

 壁際に階段があって、二階に続いてるらしいんだけど、階段の板が何箇所か無かった。どうやら腐った板は外したらしい。危ないし、妥当な判断かな。

 二階は二部屋。どちらもそれなりに広い。それぞれ男女に分かれて使う予定らしい。ベッドも何も無いけど、ぼろぼろのシーツが数枚、部屋の隅に畳んであった。女子部屋だけ。……男子部屋は丸まって散らばってた。あ、一つだけ畳んであるのはマリクルのやつかな?

 そして一応ベランダもついてた。でも足場の板が無いので使用不可能だった。


 ……家賃が安いのはいいけど、これ、直すのってかなりお金掛かるんじゃない?


「確かにそうなんだけど、直した後も家賃が安いままって考えると、長い目で見たら掘り出し物かなーって?」


 うーん……それはそうなんだけど……


「もしかしなくても、直すのは自分達で?」


「うん、そのつもり。大工さんとかに頼むと高いでしょ?」


 不安要素しかない。壁の大穴とか、玄関の扉とか、早く直さないと盗みに入られると思うんだけど……もしかして男子が居ないのって、木材とか買いに行ってるから? 確認してみたら板を何枚か買いに行ったらしい。とりあえず玄関と壁の穴を何とかしようと思ったそうだ。

 うん、もうこれ駄目だ。見てらんない。


 と言うわけでレンちゃんリフォーム! 劇的使用前使用後だ!



 トリエラとクロを家の外に待機させ、一人で家の中へ戻る。改装作業中は危ないからね。


 まず最初に壁の穴を何とかしよう。土魔法で家の外壁を石壁にして強化。壁の穴も埋めた。とは言え、内壁も石壁にすると冬が寒いので、内壁は木板を張っていく。


 次、台所……は、見た感じ大丈夫そう? 暖炉兼竈が若干崩れてたのでこれも土魔法で補強。ついでで大黒柱も石で包んで補強。


 トイレは洋式に改良した。便座は石にすると冬場に心臓が止まりそうになる気がするので、木で。水洗じゃないのが残念無念。扉もつけて内鍵をつけて、鍵を掛けられるようにもしてみた。出会い頭での事故は許さない。


 次に風呂場。扉を取り付けて、床は滑らないようにざらざらした感じに変更。ついでに湯船を設置。これは石製。なんとなく大理石っぽい? 湯船の穴は木の栓で閉めて使う。

 大量のお湯を沸かして運ぶのが大変だろうから、【ストレージ】からお湯を出す魔道具を取り出して設置。予備で幾つか作っておいて良かった。

 これ、実は結構大きい。1m×60cm×60cm位あるので、持ち運びするのには向いてない。でもこれ、買うとかなり高いらしい。しかも市販のものは私謹製のものより2~3倍は大きい。私、小型化頑張った。

 とまあ、それを湯船の横に設置。蛇口がついてるのでそれを湯船に向けて捻れば簡単にお湯が張れる。ただし、永久駆動じゃないから魔力供給しないと使えない。なのでそこはリコとトリエラに頑張ってもらう。


 風呂場の前のスペースに新しく壁で小さく区切った小部屋を作って、そこを脱衣所として使う。ここの扉には内鍵を設置。ラッキースケベは許さない、絶対にだ。


 倉庫部屋は……布でも垂らして区切って貰おう。食料もここに仕舞うらしいけど……まあ、盗んだりした時の罰則とか、そう言うのはみんなで決めればいいんじゃない?


 お次は階段。手すりがなくて危ないのでまずは手すりを取り付ける。次に足場の板を張り直し、そのまま二階へ。


 二階の廊下の床板を全部張り直したら、男子部屋へ。


 男子部屋は適当でいいや。床板張って、壁板張って、終了。戸板? 野郎共にそんな上等なものは必要ない。自分達で布でも買って来て垂らしておけばいい。窓も元々のぼろい木窓のまま。マリクルは巻き添えだけど、許してくれるよね!


 そして次はもっとも重要な女子部屋。壁と床、綺麗に板を張りなおし、壁の中には断熱材も入れておく。ちなみにセルロースファイバー。

 窓にはガラスを使おうかと思ったけど、ガラスは普通に高級品なので止めて、普通に木窓。元々のものはぼろぼろになっていたので新しく造り直した。

 お次に二段ベッドを二つ設置。私謹製のマットレスは残念ながら設置しない。普通に厚手のシーツを使用。更に掛け布団用にシーツを数枚ずつ掛けておく。おまけで枕。木に布を巻いたものだけど、何も無いよりはいいと思う。

 空調の魔道具も置きたいけど、これはなんとなく止めておいた。存在を聞いたこともないので、なんだか拙い気がするし。

 最後に扉を設置。取り付ける壁も蝶番も頑丈に補強して、内鍵もつける。一応外から開けるための鍵も作った。女子全員の分で四つ。これはあとでトリエラに渡そう。


 女子部屋が終わったらベランダ。足場の板がないと使えないし?

 と言う訳で足場に板を張って、手すりを取り付ける。洗濯物とかシーツとか干したりすればいいんじゃないかな?


 ここまでで作業時間40分程。自宅の改築何度もやってるので我ながら手馴れたものだ。


 二階も終わったので最後に玄関の扉。こっちは鍵も取り付けないといけないので、トリエラに声を掛ける。


「玄関の鍵は持ってますか?」


「は? え? あ、うん。あるけど」


「貸して下さい」


 鍵を借り受けて、玄関扉作成。鍵も改良し、更に複製。聞いたところによると一つしか持ってないらしく、無くしたら大家のところに行かないといけなかったらしい。複製した鍵は予備ということで。トリエラとマリクルでそれぞれ持ってたらいいんじゃない?


 んー、取り敢えずこんなところかな? 手を入れたいところはまだまだあるけど、あとはトリエラ達で何とかしてもらおう。


「一先ずはこんなところですか……トリエラ、これ、鍵です。こっちの四つは女子部屋の鍵なので、後でみんなに渡してください」


「は? え? 一体なにが起こって……」


 んー? ちょっとやりすぎたかな? 目の前で見る見るうちに家が直って行くのを見て言葉も無いみたい? クロも目を見開いて固まってるし、久しぶりに自重を放り投げた自覚はある! でもまあ、あれだよ。


「引っ越し祝いです」


「いやいやいや! おかしいって! ちょっと色々おかしいから!」


「でもこれから家を直すとなると、冬支度は間に合いますか?」


「それは……」


 薪って普通に高いんだよね……それに冬を凌ぐ為の食糧備蓄とか、お金はいくらあっても足りないと思う。トリエラ達は唯でさえ大所帯だし。


「孤児院に居た時、冬場の隙間風、辛かったですよね……」


「……あー、もう! 考えるの止め! よくわかんないけどレンが凄いってことは分かった! 凄く助かった、ありがとう!」


 んむ。トリエラ達女の子が辛い思いをするのは許せないからね。与え過ぎ? 甘やかし? いいじゃん、別に。好きな子贔屓して何が悪いの? ただまあ、三馬鹿がお零れに与るのは多少不愉快ではあるけど。


 と言う訳でトリエラに設備の説明。魔力さえ込めれば毎日お風呂に入れると聞いて愕然としていた。魔力供給は【魔力操作】スキルを持っていれば簡単に出来るので、魔法の練習と思って頑張ってください。また、もし引っ越すとかになったのであれば、給湯器の魔道具は売ってしまって構わないとは伝えておいた。買い叩かれるかもしれないけど、そこは諦めるしかないと思う。

 ……多分、凄い安く買い叩かれるよね、あれ。世の中って本当に優しくないよね……


「私達の部屋だけ鍵付きとか、流石レン、露骨だね」


「お褒めに預かり恐悦至極」


 ふははは、もっと褒めていいのよ! 私は褒められて伸びる子! え? 褒めてない?



 そんなことやってたら、家の外でどさどさと何かを落とす物音が。


「なにこれえええええええええ!?」


 あー、出かけてたアルルが帰ってきたのかな?


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― 新着の感想 ―
[一言] 新人冒険者が性悪証人に騙されてすべてを失う展開希望
[気になる点] (拙い)という文字を使い過ぎ。 また、使い方としても意味が、違うので違和感がある。
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