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085 割と重要だけど地味な修行回 そのいち


 みなさんおはようございます、レンちゃんですよー。うん、この入り方も久しぶりだ。


 昨日はあの後は帰る途中で斜向かいの鍛冶工房覗きにいったんだけどね……門前払い食らったんだよ。ふぁっきゅー!

 いやね、私ってアルノー工房に間借りしてるから、それでスパイだのなんだのって言われちゃってね? それはもう一方的に、聞く耳持たない感じで一気に捲くし立てられて。

 しかも最後に塩撒かれた。あまりの怒涛の勢いにこの世界にもそういう文化あるんだ、なんて変に感心しちゃったよ。

 ただ、一応ショウウィンドウに飾られてた剣は何とか【鑑定】と【解析】使ってチェックした。【無属性魔法 LV1】だった。剣自体は『良品質』。思ったよりもしょぼい? でもあれか、店頭に飾るものにそこまでいいものは置かないかな? 盗まれたら大変だろうし。となると、もう1~2はレベルが上のものを作れると思ってもいいのかな? んー。


 商業ギルドはまだ行く気起きない。怖いから。その内覚悟して行こうとは思ってます、はい。


 と言うわけで今日はとうとう魔力剣作成です。でもその前にがっつり体力つけようと思います。腹が減ってはなんとやら、だから今日の朝ご飯は私が作る! 今日の鍛冶修行は気合入れたいから、と説明したら問題なく厨房貸してくれました。


 と言うわけで、れっつ・くっきん! 今日作るのは豚丼です。牛丼じゃないよ。

 牧畜してる牛は基本的に貴族用なので庶民は買えないし、牛系魔物の肉は普通に高級品。だから代用で豚。っていうかオーク。つまりオーク丼。

 まず先にご飯を大量に炊く。お米は一応厨房に常備されてた。美味しく調理できないので従業員達にも余り人気は無い模様。土鍋は私の持ってるものを使った。土鍋は沢山作ったので大丈夫。

 土鍋と火の加減を見つつ、並行して上に乗せる肉も調理。玉葱を大量に刻むのは女将さん達にお願いした。作り方を横で見られてたけど、あわせ出汁とかみりんとか使ってるから多分味の再現は無理だと思う。似たようなものは作れるかもだけど。


 そして豚丼は大好評だった、とだけ。



 さて、お腹も膨れたので早速魔力剣作成実験に取り掛かろうと思います。実験! 実験! 楽しい実験の時間だー! ひゃっほーう!


 ……っては言うものの、まずは一般的な魔剣作成について、おさらい。


 魔力剣や魔剣を作れるのは一部の鍛冶師か錬金術師。鍛冶師であれば秘伝的な作成技法を受け継いでないと作れない。そう考えると錬金術師のほうが技能習得の敷居は低そうかな?

 鍛冶師による魔力剣の作成方法についてちょっと色々考えてみたけど、多分素材の鉱石精錬する時に魔石とか、魔物の素材を一緒に放り込むんじゃないかな? 或いは剣を打つときにインゴットと一緒に放り込む、辺りじゃないかなぁ、と思う? 多分だけど。

 多分、その辺の配合比とか、どんな素材を使うのかとか、そういうのが秘伝じゃないかなーと、思うんだけど……?

 錬金術師だと、【魔道具作成】スキル辺りからの派生じゃないかな、多分? 前にコンロとか作った時に自分でもやったんだけど、魔力回路的なものを書きこむ要領で、色々書き込んで付与を成立させるんじゃないかなーと思うんだけど……この辺は錬金術の魔道書とかに書いてるんだと思う。

 で、今回自分で作ってみるわけだけど、私はどっちも無理。なので【創造魔法】で無理やり作る。素材は自分で打った剣と自分の魔力。とは言え失敗するのもアレなのでまずはスローイングダガーでお試し。100本以上あるし、多少失敗してもへーきへーき。

 と言うわけで、おりゃ!


 ……うん、出来たね。【無属性魔法 LV1】の付与に成功。

 次、二本目は【魔法付与】って言うスキルで試してみる。このスキルってどうやら固有ユニークスキルっぽいんだよね。ステータスで見ると【創造魔法】とかと同じ並びにあるし。

 固有スキルっていうのは過去に取得してた人が一人だけだったとか、数人しか居なかったとか、そういうレベルで稀少で、且つ、強力な性能を持つスキルのこと。私の【創造魔法】はどう考えても固有スキルだし、同じ並びに並んでるなら【魔法付与】とか【マルチタスク】とかも多分固有スキルだと思う。

 んで、この【魔法付与】スキルと【技能付与】スキルで付与できるスキルは自分が持ってるスキルのみ、付与できるスキルのレベルはこのスキルのレベルまで。私は無属性魔法はLV8で持ってるけど、LV3までしかつけられない、と言うわけ。こっちでも作れるなら【創造魔法】と併用で両方にスキル経験が入るんじゃないかなー、というせこい考えです。

 と言うわけで、おりゃ!


 ……うん、こっちでも出来た。【無属性魔法 LV3】。さっきの一本目もLV3に付け直して、次はこのままそれっぽいスキルが増えるまで同じことの繰り返し。

 ……あー、10本目で【魔力剣作成】スキルを覚えた。思ったよりも早かったのでなんだか拍子抜け。ちなみにいきなりLV3。もしかして【魔法付与】と連動してる? レベル上げが楽になるから別にいいんだけど……

 次は各種属性魔法で同じことの繰り返し。取り敢えず火属性魔法辺りから試してみよう。と言うわけで今度は最初から【火属性魔法 LV3】を付与していく……こっちも10本目で【属性剣作成】スキル習得。こっちもLV3。やっぱり連動してる? 普通は別だと思うんだけど……【魔法付与】スキルの所為かな? 上位互換スキルを持ってると下位互換スキルに影響がある? まあ、何にしてもレベル上げが楽になるんだから別にいいかな?

 さて、取り敢えず魔力剣と属性剣は作れるようになったわけなので、まずはこの二つのレベルを上げてみよう、と言うことで手持ちのスローイングダガー110本、この工房に来てから打った剣213本。その全部に全ての属性魔法を付与してみる。


 ……流石に時間掛かった。もうお昼近い。途中で何度もMP回復ポーション飲んだし。でもお陰で【魔法付与】【魔力剣作成】【属性剣作成】のスキルレベルが全部5になった。うん、かなり成長早いんじゃない?

 それにおまけで各種属性魔法のレベルも上がってたのは予想外の出来事。レベルが低かった闇属性と雷属性が3LVずつ、他は全部2LVずつ上がって、無属性と水属性がとうとうLV10に!

 そしてついでに【魔剣作成】スキルが増えてた。……いや、複数属性の属性剣って魔剣扱いになるんだよね。だから多分その所為。とは言え、こちらも最初からLV3。こっちは【技能付与】と連動してるのかな? ともあれ次は属性系ではなく技能系スキルを付与してみようと思います。


 ……でもその前にお昼ご飯ね。お腹すいた。あとMPも減りすぎ。ポーション飲んどこ。ぐびぐび。



 と言うわけでお昼ご飯食べたので作業再開。の前に、さっき作ったLV3全属性剣を全部LV5に付け直す作業。レベル上げ大事! ……途中で【魔力剣作成】とかのスキルがLV6になって全部やり直す羽目になったのはここだけの秘密だ!

 でもまあ順調順調。次はスキル付与だね。っと、その前にMP回復ポーション飲んでMP全快しておこう。何があるかわからないし。


 さて、やることは午前の魔力剣と同じ、【創造魔法】で無理矢理スキルをくっつけるテスト。取り敢えず付けるのは【攻撃強化 LV1】です。念のため最初はスローイングダガーから。と言うわけで、おりゃ!


 ……んー、一応出来た? なんだか結構MP消費多い感じ? でも一応魔剣が作れたね。なんか割とあっさり作れちゃったなあ……またしてもちょっと拍子抜け。でも消費MP多いのが気になる。

 実験として次は【創造魔法】【技能付与】【魔剣作成】を併用して付与してみる……うん、大分消費MP減った? じゃあ次は【耐久強化】でもつけてみよう。壊れにくくなる上にメンテの手間が減る便利スキルだ。……うん、問題なく付けられた。

 こうなると多分本で見た他のスキルも付けられると思うので、一先ずはこの【攻撃強化】と【耐久強化】を全部の武器に付けて経験稼ぎと行きますかね?


 ……途中で何度もMP回復ポーション飲んだけど、問題なく作業完了。お陰でお腹たぷたぷ。途中、またしても【魔剣作成】とかのレベルが4に上がって最初からやり直したけど、これで私の【操剣魔法】による剣の投射攻撃の威力がアップだよ!

 ……あと何故か【鍛冶】のレベルも一つ上がって8になってた。魔剣作成が『剣を造る』って広義の意味で鍛冶の経験に分類されたってこと? いや、ありがたいけど……なんかコレジャナイ感が凄い。


 さて、魔力剣も魔剣も問題なく造れたわけなので、次は……聖剣と暗黒剣、だっけ? いや、いけそうな感じはするんだけど……うーん、取り敢えずは試してみよう。おりゃあ!


 ……あ、だめだこれ。無理。くらくらする。

 なんだ、何が足りないんだ? あー、多分だけど、剣関係作成スキルのレベル? 何となく全部LV10とか要求されそうな気がする……あながち間違ってなさそうなのが怖い。でもステータス見たら【聖剣作成】をLV0で覚えてた。足掛かり程度には覚えたってこと? なんだかなぁ……

 【鑑定】で【聖剣作成】スキルを調べてみたところ、暗黒剣も【聖剣作成】スキルで造るらしい。どういうことなの……?


 閑話休題。


 んー、そうなると次は何しようかなあ? 取り敢えずは【鍛冶】のレベル上げ? 【魔剣作成】とかのレベル上げるにも、材料になる剣がないと経験稼ぎも出来ないしね。となると親方に頼んで鉱石を譲ってもらおう。そうなると明日からはまた鍛冶修行かあ……

 え? ミスリル使ってないだろうって? あー、それもあったなあ……うーん、いい加減ミスリルも使ってみようかな?


 あ、もう夜だ。晩ご飯食べよう。




 晩御飯の後に、出来れば肉のほうも教えて欲しいけど、お米の炊き方を教えて欲しいと女将さんにお願いされたので、後日教えると言うことになった。朝に食べた感じだとお腹に溜まるので、お米が使えれば色々助かる、とのことらしい。お米、小麦よりも安いしね……


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