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066 ノルンさんマジパネェです


 と言うわけで夕方近い時間まで薬草採取してみた。


「結構採取できましたね」


「結構って量じゃないと思います」


「リリー、もう諦めよう。レンさんに私達の常識は通用しない」


 私の評価は相変わらず酷いみたいだ。もっと優しくしてよ!


 でも、うん。割と容赦なく採取した。だってまた来るの面倒だしー? 三人で山分けしてもそれなりの収入にしようと思うと、ね?

 依頼書の内容からすると、一人頭金貨5枚分になる位の量だけど、問題ないよね! 大丈夫大丈夫! 【鑑定】でみた感じまだまだ全然残ってるから。


 なんてやってたらノルン達も戻ってきた。何も咥えてないので安心してたら、何も無い所からどさどさと魔物の死体を出してくださいました。あるぇー?

 ……なんでも、【アイテムボックス】使えるようになったんだってさ。だから収納量の限界までつめて持って来たんだって。

 もう、どこから突っ込めばいいのか……ところでこのでっかい鶏は何でしょうか? 私よりも大きいんですけど? え? コカトリス? 卵も獲って来た?

 コカトリスってBランクの魔物なんですが。Cランク以上の熟練したパーティーが戦う相手ですよ?

 ……私も大概だと思うけど、ノルンも相当に酷いと思うんですが。リリーさん達も固まっちゃってるし。

 取り敢えずこのでっかい鶏は【ストレージ】に死蔵することにしよう。肉と卵は食べて証拠隠滅。他の素材は何れ売却するか何かの材料に使うか……



 リリーさん達を何とか正気に戻し、野営や食事の準備に取り掛かる事にした。

 と言うか、自宅を使うことにした。この二人とはかなり仲良くなったと思ってるし、もしこういったものを見せても黙ってくれるような気がする。

 何より私が二人のことを完全に気に入ってしまっていて、仮に言いふらされても仕方ないかなーって所まで情が移ってしまった。


 で、自宅を出した結果。


「なぁにこれぇー?」


「意味がわからないです」


「私の自宅です」


「……」


「……」


「頑張って作りました」


「ア、ハイ」


「ソウデスカ」


 もっと驚いてもいいのだよ?

 馬車の時と同じように二人が怯えて入りたがらないので今回も私が先に家に入り、中に招くとやっと二人も家に入ってきた。


「あ、靴は脱いでそっちの棚に入れてください。

 室内ではこっちの履物を履いてくださいね」


 下駄箱に靴を入れるように言ってスリッパを指差して履くように指示。このスリッパも自作。私は中の人が日本人なので室内でも外履きで居るのは落ち着かない。

 いずれは畳とか和室も作りたいけど、イグサが見つけられなくて作業が進んでない。水辺の近くなら生えてそうなものなんだけど。


「……凄い」


「これを、作った?」


 リビング兼ダイニングで二人が辺りをきょろきょろ見回してる。中央にテーブルと椅子。奥の壁際にはソファー、入り口から向って左の壁際には台所と竈、暖炉がある。あー、暖炉もそのうち冷暖房の魔道具に取り替えないとなー


「取り敢えず今夜は二人はこの部屋で寝てください。ベッドも二つありますので」


「レンさんはどこで寝るんですか?」


「二階に自室があるので、そっちで寝ます」


 リビング右側にある客間を使うよう言いながらドアを開けて二人を案内する。部屋にはベッドが二つと、小さいテーブルと椅子が一脚。壁にはハンガーが架けてあるので、上着やマントはそれに掛けるように使い方を教える。

 リビングに戻って、奥にあるトイレとお風呂も案内する頃には二人とも疲れたような顔になってた。私、快適な生活を送るためには自重しませんので。

 尚、この家のトイレは洋式トイレ。この世界では和式とかおまるが主流なので使い方も教えておく。便座にはカバーも付いてるので冬場も冷たくない、と言うと感心したように頷いていた。

 二階には案内しない。私の寝室見せても意味ないしね! 何故か二人はやたら見たがってたけど!


「そう言えばリリーさん、ごめんなさい」


「はい? 何がです?」


「折角野営の準備してたのに……」


「そんな、気にしないでください! このお家のほうが快適ですし!」


 リリーさん、野営の準備で一人で全員のテントも張っててくれたのだ。その労力を無駄にしてしまったので、ちゃんと謝っておかないと。こう言うことはちゃんとしておかないといけない。

 謝罪の意味も込めて今日のご飯はちょっと豪勢に行ってみようかな? 獲れたてのコカトリスを使った親子丼を作りたいと思います。幸いコカトリスの卵もあるので材料は完璧。作り方は特に捻りも無く一般的な親子丼のそれ。

 フライパンに出汁とスライスした玉葱を入れて火を通す。出汁は鰹と昆布の合わせ出汁にしてみた。どっちも南の村で手に入れたしね。次に一口サイズに切った鶏肉……コカトリス肉? もう肉でいいや、肉を投下。火を通す。最後に溶き卵を加えて、蓋をして半熟になるくらいに火を通す。あ、それぞれの行程でちゃんと火加減は調整してるからね? 丼ご飯の上に盛って三つ葉ものせて出来上がりー。

 付け合せは白菜の柚子漬けとおすまし。こういうのはシンプルでいいのよ。

 先にノルン達の分を持って行って、それからこっちも食べる準備。二人に声をかける。


「出来ましたよー」


「来たー!」


「アリサ! お行儀悪いよ!」


「リリーだって顔がゆるゆるだよー!」


 はいはい、喧嘩しない。


「召し上がれー」


「「いただきます!」」


 と言うわけで早速食べる。私は箸、二人はフォークとスプーン。二人とも箸も使えるらしいけど苦手なんだって。

 ぱくりと一口。うわ、何だこれ……すっごい美味しい。脂が乗ってて、旨味が凄い。鶏肉なのにふんわり柔らかでジューシー。卵も味が濃厚なのに何故かくどくなく、食べやすい。箸が止まらない。

 と言うわけであっという間に完食! コカトリスヤバイ。マジヤバイ。これは乱獲確定だわ。あとでノルンにお願いしておこう。

 こんな美味しいものを獲って来てくれたノルンさんマジパネェです。やはり私の女神か……!


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― 新着の感想 ―
[一言] コカトリスの卵で卵を買った回のことを思い出したんですが、浄化すればサルモネラ菌も大丈夫だったのでは…?鮮度はどうしようもないけど。
[気になる点] 家入る前に洗浄かければ土足でも良いような。 と言うか全身、砂とか泥とか草とか汚れが酷いだろうから洗浄は必須じゃなかろうか?
[良い点] > 「なぁにこれぇー?」 もっと腕にシルバー巻くとかサ!
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