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048 卵と牛乳が欲しいです、切実に


 昼食終了。三人とも放心して使い物になりそうにない。話しかけても反応が鈍いのでそのまま放置してお暇することにした。

 んー、もうお昼過ぎてるし今日は採集とか行く気はまったく起きない。

 そういえば、南の村への行き帰りで色々スキル増えたんだよなあ。スキル効果はステータス開いて【鑑定】使えば分かるんだけど、習得条件とかは良く分からないし、ちょっと調べてみようかな? と言うわけで資料室へゴー。


 と言うわけで色々調べてみた。

 まずは【ゴーレム生成】【ゴーレム制御】【オートマタ作成】。自動人形の作成にちょっと行き詰ってる感があるから、ちょっと困ってたのだ。

 で、分かったこと。多分前提スキルが足りない。

 そもそも【オートマタ作成】は【ゴーレム生成】の上位スキルで、その【ゴーレム生成】も元を辿ると【錬金術】スキルからの派生、と言うことらしい。ちなみにポーションを作る【調合】も錬金術からの派生。【錬金術】スキルの覚え方は調べても載ってなかった。んー……困った。

 【創造魔法】を使って生産をしてると、それに近い類似系統のスキルを覚える、と言うのは何となくだけど分かってた。ただ、その所為でこういう前提スキルが足りないという状況になってる、と言うことかな。便利だけど不便だなあ、【創造魔法】って。MP消費多いし。取り敢えず錬金術関連は保留かな。


 次に調べたのは【身体制御】スキル。

 これは【肉体維持】スキルの上位スキル、との事。【肉体維持】は怪我や病気で寝込んだりしたときの筋力低下を防いだり、病気になりにくくなるスキル。上位になる【身体制御】の場合は更に身体を使ったスキルに補正が掛かったりするらしい。また、身体を使う系統のスキルを覚えやすくなったりするとか何とか。つまり、効率よく身体を動かすためのスキル? と言うことらしい? まあ、スキル効果については鑑定使って調べたから大体分かってはいたので、一応の確認だったんだけど。

 覚えるには筋トレとか柔軟とか、そういった身体をより理解して効率よく動かしたり鍛えたりするようなトレーニングをすると覚えやすい、とかなんとか。

 私、日課の最中に覚えたんだけど……いや、もうなにも言うまい……


 そしてもう一つ。

【身体強化:魔力】。オーガロード戦の後に覚えていたスキル。使用するとSTR・VIT・AGIを上昇させると言う強力なものだ。でも使用中はMPを消費し続けると言う燃費は劣悪極まりないスキルでもある。

 で、調べた結果。覚える条件はよくわからない。私の場合は多分だけど、魔力を通して視力を強化したのが原因じゃないかとは思う。

 ちなみにこの【身体強化】スキル、魔力による強化以外にも闘気によって強化するタイプもあるらしい。両方を覚えることも出来るらしいけど、それを成した冒険者はあまり居ないとか。

 ちなみに闘気って言うのは戦士系の人が必殺技的に使う剣技とかに必須のもので、斬撃を飛ばすとか、広範囲を吹き飛ばすとか、漫画みたいな技を使うのに必要な魔力の戦士版みたいなもの。魔法はMPを消費するけど、闘気の場合はHPを消費する。尚、HPとMPはどっちも使いすぎて0になると死にます。

 そして最後に燃費の悪さについてだけど、これに関してはそれを補うスキルがあるらしい。それは魔力、闘気、それぞれに在るらしいんだけど、ここにある資料にはそのスキルが何と言う名前なのかは書いてなかった。むーん。


 【身体制御】のアレコレとか【身体強化】のほうが最後までわからなかった所為で、ちょっと微妙な気分で資料室を出る。まだまだ日が高い。この後どうしよう?

 んー、さっき消費した分のお米を補充するためにニコルさんのお店に行くことにしようかな。



「こんにちは」


「これはこれはレンさん、こんにちは。お米ですか?」


「はい、お願いします」


 ニコルさんのお店に行った時は必ずお米を買っているので、顔を出せばこの反応だ。と言うかお米を買うときにしか行かないとも言うけど。


「あ、今日は小麦粉もお願いします」


「小麦粉もですね。ロイド、小麦粉も頼む」


 南の村に遠出した時に小麦粉も使い切ってしまっていたので、これも補充。どちらもかなりの量をまとめて買う。保存を考えれば普通なら怪しまれるところだけど、そこはニコルさん。私の事情を色々察して何も言ってこない。


「そういえば最近見かけませんでしたけど、どこか遠出でもしてたんですか?」


「はい、ちょっと南の村のほうまで」


「南の村ですか、声を掛けてくださればご一緒したのに」


 それだと私の自由行動ができなくなるからね。そう言ってくるような気がしてたので敢えて挨拶しないで出かけたのだ。


「海の魚も扱えれば色々儲かるんですが、私は水魔法が使えませんからね、残念です」


「距離的にはここまでなら多少はがんばれるのでは?」


「冬場なら少しは扱えますが、夏場は無理ですね。それに冬は冬で雪が降ればそれだけで移動が困難になりますし」


「ああ、そういうのもありますか」


 やはり内陸の街で海の魚を食べるのは難しそうだ。

 たまに市場で塩漬けの魚を見たことがあるけど、旨みもなにもないらしい。どちらかと言うと保存食の類だしね……干物なんかの作り方は知ってるけど、別に教える義理はない。と言うか、また別の騒ぎの種になるだけだと思うし。


「あれ、これって蕎麦粉ですか?」


 世間話をしながら商品を見ていると覚えのある香ばしい香りがした。蕎麦粉だよね、これ?


「ご存知なんですか? ええ、蕎麦粉です。水で練って焼いて食べたりしますね」


「……これも頂けますか?」


「それはかまいませんが、これも多目に?」


「はい」


 蕎麦粉! お蕎麦が食べられる! ガレットもいいなあ……あ、思い出した。


「そう言えばちょっとお聞きしたいことがあったんですが」


「なんでしょう?」


「卵と牛乳って、どうすれば買えますか?」


「卵と牛乳ですか?」


「はい。ちょっと料理で使いたいもので……」


 そう、卵と牛乳だ。これらがあるとないとだと作れるものの幅が全然違う。料理もお菓子も。


「そうですね……この街で扱ってる卵は領都との間にある村から仕入れています。そこでは養鶏が行われてるので。場所は北東の川を越えた先の辺りですね。

 ですが、この街で卵を買うとなると商業ギルドで直接買い付けるしかありません。ただ、ギルドでの買い付けは商人として登録して無いと無理ですので、レンさんがギルドで買うのは少々難しいかと……私が仕入れてそれをお売りする、と言う形なら可能ですが、販売の際の値段の最低額などもありますので、あまりお安くするわけにもいきません」


 詳しく聞いてみると、この街の卵の消費は基本的に代官の貴族様、一部の商人、平民の富裕層の極一部がほぼ独占してる模様。私が泊まってる宿でたまに食事で出てくるのは余剰分が出た時に仕入れた時だけみたい? ちなみに販売価格の最低額が決まってるのも市場を乱さないためだとか。

 そして、養鶏自体は王都周辺の幾つかの村で行なってるらしいけどこの街の近くだと領都との間にある村ひとつだけで、その村も基本的には領都のほうに多く卸しているらしい。んー。


「村のほうに行って直接買い付けるというのは出来るんでしょうか?」


「そうですね、交渉次第では出来ると思います。ただ、商人ギルドに登録して無いと少し難しいかもしれません」


 うーん、でもそっちの方がまだ買える可能性はあるかな?


「次に牛乳のほうですが、残念ながらこっちは無理でしょうね」


「無理ですか」


「まず、商用に牛を育ててる村が王都周辺にしかありません。次に輸送に掛かる時間の問題があります。王都の近くからここまで運ぶとなると、その間に腐らせてしまいます」


 ですよねー。何となくそんな気はしてた。


「ですので、代用できるかは分かりませんが山羊の乳はどうでしょう?」


「山羊ですか……」


 前世で昔、飲んだことがある。正直癖が強くて個人的にはちょっと遠慮したい。


「山羊は使えないことはないんですが、好みに余り合わなくて」


「ああ、たまにそういう人もいますね。となると、王都の近くまで行かないと難しいですね……ああ、でも」


「なにかあるんですか?」


「確か、ここから北のほうに行った村で牛を育てていたような記憶が……村内消費の余剰が出た時にたまにここに売りに来たりしていたはずです」


 北かー。ちょっと行ってみようかな?


「えっと、具体的な場所をお聞きしても?」


「レンさんにでしたら構いませんよ。ええとですね……」


 商人にとって仕入れをするための場所は重要な機密だったりするから、教えてもらえるとは驚きだ。でもこれの代価に変なこと言い出される前に早くここから逃げよう。


「ありがとうございます、ちょっと行ってみようと思います」


「あ、私もご一緒しますよ?」


「いえいえ、今すぐにと言うわけでもありませんので。それに私の都合で其方の予定を狂わせるのも気が引けますから……それでは」


 買ったものは既に全て収納済み! 早々に離脱!


 さて、大体の村の場所は分かったので、次の遠征先はそこだね。どっちに先に行こうかな? 買うためのお金は多分大丈夫。オーガロード様様だ。

 あ、でもその前に子供達にも顔を見せておきたいかな?


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