42 結果
ある朝貴族学園の廊下に人集りができていた。
前期試験の総合点数と順位が張り出されたのである。
最終学年の前期日程を全て休むことになったオフィーリアは全科目満点で文句なしの1位だ。
試験そのものには出席していなくとも、試験当日と同じテスト問題を前もって出題され満点でなければ休めないのだから当たり前である。
「あら、あの女が1位なの?」
大声でそう叫ぶのは御馴染みのあの方、フロイライン嬢である。彼女も当然試験は受けているので、張り出されている結果を見に来たようだ。
「ふぅ~ん、って何で私の名前が無いのかしら?」
トップから15位迄はデカデカと大きい文字で書かれているが、それ以降は15位毎に文字サイズが小さくなっていく。
そして最下位は豆粒より小さな文字になる為中々に見つけ辛い。
「心配せずとも、王女殿下のお名前も記載されておりますよ」
世話役の侯爵令息が、にこやかな笑顔で彼女に話しかける。
「え、何処にも無いわよ」
「ココですよ」
彼が指で示しているのは記載された文字の1番最後――つまり最下位である。
「え? コレって?」
「つまり殿下は最下位ですね」
ニコニコ笑う令息。
「え、またまた~嘘よねえ。いくらなんでも・・・」
そう言いながら顔を近づけ、文字をなんとか読むと『フロイライン・ヴァルティーノ』という小さな文字が書いてある。
「あら・・・おかしいわ」
「ナニがですか?」
「この国は順位は最下位から上に書くの?」
「いいえ最下位は1番最後です」
「ええッ、じゃあ私が最下位? 嘘よねえ。だって上位5位に入らないとアンドリュー様と婚約できないんだもの。困るわ」
「困ると言われましても」
――真面目に勉強しないからだよ
と侯爵令息は言いたかったが、周りは
――『しない』と『出来ない』は違うんだよねぇ・・・
と、思いながら、天井のシミや廊下の汚れを探していたようだった・・・
×××
「つまり、ことの発端はお祖母様に懸想した、と言う事ですの?」
王太子の執務室に呼び出され、アンドリュー王子と共に訪れたオフィーリアである。
「いや? まぁ、其れだけじゃ無かったんだけどねえ。スティール王国との諍いとかもあって、あの国の国力を抑えたかったのもあったみたいだけどね。アガスティヤの港は軍港にしたかったらしいし。色々と重なって今回の事に繋がったみたいだねぇ」
渋顔になる王太子オースティン。
「王女に関してはどうなったんですか?」
と、アンドリュー王子。
「リアが俺に婚約破棄されたって学園で言いふらしてたみたいですが? 流石に名誉毀損でしょう? リアが学園に戻った時に困るでしょう?」
「あ、其れはリア自ら火消しをしてくれたからね。周りは忘れちゃてるよ。もし誰かが思い出したとしてもアンディとリアが知らんぷりでイチャイチャしてるの見たらあの王女がおかしかったんだっていくら何でも気が付くさ」
肩を竦める王太子。
「そもそもお前とリアの婚約白紙撤回は無いって会談の時から言ってただろ?」
「でも、俺にリアと・・・」
「したって噂だけ流そうって言う意味だったんだってばっ!!」
思わず両手で鳩尾をガードする王太子。
その場でオフィーリアの笑顔が黒いことに気がついたのはオースティンだけだったようである。




