27 続・婚約白紙撤回?! 〜アンドリュー王子視点〜
「嫌ですッ!!」
思わず噛みつくように兄に向かってそう云うと、父が更に渋顔になり
「だよなぁ・・・絶対にそう答えると思ってたよ・・・」
と呟きながら、王太子である兄の顔を見た。
「そもそもアンドリューとリアを引き剥がすなんて事は無謀すぎて、私はやりたくない・・・」
何故か顔色が悪くなり、鳩尾を抱えて小さく呟く父。
「・・・では、兄上の提案ですか?」
頷きながら此方を見据える兄を睨む。
「そうだ。今回の件はあまりにも根が深い。ここで全ての原因を取り除くことが望ましいんだ。ヴァルティーノ国王とも意見は一致しているが、あの国が困っているのは例の王女が絡んでいるという事だ。どこまで知っていて、何処まで加担しているのか。それ次第で処分が決まるらしい」
顎に手を添え首をひねる兄を見ながら、例の王女の事を思い出す。
自分とはたった1歳違いだがまるで子供のような振る舞いと稚拙な物言いは、王族として外に出せるレベルでは無いだろう。
「切り捨てという事ですか」
「王族の女としては不合格だろうが、その辺の沙汰は我が国は関知しない。途中経過を手伝うだけだ」
結局は自分次第ということか・・・
「だからと言ってリアと婚約解消はできません。少し考えさせて下さい」
×××
私が1日返事をせずに閉じこもっているうちに兄はリアにその話を持っていったらしい。
「裏付けはアガスティヤに任せる事になったよ。王家は軍事面の調査と対応だ」
侍医が、救護室で
「アガスティヤの姫君に何を言ったんですか・・・ホントに気を付けて下さい、王太子殿下」
呆れ顔になりながら兄の鳩尾に軟膏を貼り付けた。リアにやられた? じゃあ、父上もひょっとして・・・
「やー、的確に痛みだけ与えるように手加減する巧みさを身に着けたのは称賛に値するね。以前は確実に気を失っていたからねぇ」
兄上はマゾヒストかもしれない・・・多分父上は違うだろうな。
×××
「殿下、出立の準備が完了しました!」
昨日、ヴァルティーノ国王からの書状で我が国に救援要請が届き、約1週間かけて辺境伯領に向けて1個小隊を引き連れて出発する事になった。
ヴァルティーノ王国軍の半分近くが、国王ではなく将軍を支持すると半旗を翻したらしく、将軍の軟禁に反発して彼を連れ出したらしい。
国境近くに出没するという賊も国軍ではないかという報告が辺境伯領から届いた。
兄の言う通り、ここが踏ん張りどころなのだろう――
リアの髪の毛を編んで作ったブレスレットを左手にはめると、私は立ち上がり侍従が待つ出口へと向かった。




