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21 理想の王子様②

 「「「「「「きゃあ~♡」」」」」」



 学園の闘技場で黄色い悲鳴が上がった。


 黒髪の美青年が素晴らしすぎる位の剣技を披露? している所である。


 彼が何かをする度に観客席から悲鳴が上がるので、非常に賑やかである。



「うへえ、つっよいィ!!」



 相手をしていた侯爵家の青年が変な声を上げ、鍔迫り合い中のサーベルから『ジャリンッ』という変な音がした。



「両者それまでッ!」



 剣術の講師がストップを掛ける。



「勝者ヒューイ・ノックス」



 またもや黄色い歓声が上がる。



「ありがとうございました」



 ペコリと頭を下げる彼に又もや黄色い悲鳴が大きくなる。



 ――飽きないねえ・・・てかウルサイ。



 若干腹の中で舌打ちしながら観客席にも頭を下げるヒューイ(オフィーリア)。




×××




 ヒューイ・ノックスとして学園に通い始めて早くも3日目である。


 学園は彼の噂で持ちきりで、オフィーリアがアンドリュー王子から婚約破棄されたらしいという学園内での不名誉な噂は掻き消えてしまった。


 そんな自分達に関係のない根も葉もない噂なんかより、謎の貴公子の正体を知りたい御令嬢達はソワソワと彼の情報をいち早く手に入れるために、いや、ただ見たいだけかもしれないが休憩時間になると彼の元へと大勢が押しかけて来るのである。


 但し他の学年や違うクラスの生徒は教室に入れない決まりが急遽出来た為、廊下から眺めるだけである。


 しかし



「あなた達、他の学年でしょう?」


「あなた達こそ別のクラスじゃありません事?」



 廊下で別グループが鉢合わせをすると、そこかしこで小競り合いが始まる。


 そうかと思えば違う集団が・・・



「王太子妃殿下が、昨夜の夜会で華真珠のロングネックレスをしていたんですって!」


「私も聞いたわ~! トリアステル産の真珠だそうよ。何でもイヤリングもお揃いで親指の先位大きさがあったんだって!」


「前日に東の離宮に王太子夫妻が訪れて手に入れたらしいわよ」


「それ誰情報よ?」


「王宮の出入り商人が家のお抱えなんですのよ~」


「じゃあ、もしかしてノックス様が王太子妃殿下に献上したのかしら?」



 噂話しをしながら、チラリチラリと高位貴族ばかりを集めたクラスの中に視線を送るが、視線の先の黒髪の貴公子は今日は珍しく男子学生達と話し込んでいる。



「いや、だから君は構える時の型は凄くいいんだけど、迎え撃つ時の姿勢がつい反り腰になってしまうから受けた時にグラつくんだよ・・・」



 何やら先程の剣技の授業内容をお互いに嬉々として話し合っているようだが、クラスの女子は何故か一塊になり教室の後ろの方でコソコソ話している。



「ヒューイ様? お話がありますのぉ」



 1人だけ男子の輪にズカズカと入ってきたのはフロイライン王女である。



「王女殿下? 何故私のファーストネームを貴女が口にするのですか?」



 ゆっくりと首を傾げるヒューイ。



「あら、いけなかったかしらぁ?」



 ニコニコと屈託のない笑顔で首をコテンと傾げるフロイライン王女。



 ――因みに見てるだけなら美少女。



「ええ。失礼ですが、貴方様と()()()()関係になった覚えはありませんので」


「大丈夫よ~、すぐそうなるから。貴方、本当はトリアステル帝国の皇子様なのでしょう? ワタクシ調べたの。第1皇子が黒髪に翡翠色の瞳をしていて、ワタクシ達と同い年だって。ほら、私って王女じゃない? 高貴な生まれだからぁ、貴方と釣り合うかなって思うのよねぇ~♡」


 「「「「「「・・・」」」」」」



 その場の全員の頭の上にクエスチョンマークが並んだ。



「何のことか分かりませんが色々と気の所為では? 私は皇子などという高貴な身分ではありませんよ」



 不快な表情は顔に出さずに、笑顔を貼り付ける貴公子(仮)である。



 ――公爵だけどなッ!!




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