表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/55

20 東の離宮

 アバルティーダの王城は大まかに政務を司る官僚棟、軍事を司る軍務棟、王族や上位貴族が執務を行うための執務棟、外交や貴族同士の社交の場でもある王宮で成り立っている。

 更にその奥にある本宮が王家の住む家で、国王夫妻と未成年の王子王女が住む為の場所である。

 王太子宮は立太子した成人済みの王子の住まいで本宮の東南の方位に建てられていて、渡り廊下で本宮と繋がる造りだ。


 これらが大きな1つの建築物として成り立っているのが所謂『城』と呼ばれるものだ。


 他の王家所有の建物は馬車や馬で移動しなければいけない程度に王城から距離を取った場所に独立して建っていて、総称して『離宮』と呼ばれる。


 各々の離宮の中でも王子宮は成人間近の王子が独り立ちするための住まいで、王女宮はその王女版。


 そしてそれ以外の離宮は外交や交流などで訪れた王侯貴族や、官僚、偶に王国から招待された大商人などが滞在するための宿泊施設である。


 王族用以外の離宮は王城を中心に、大きく距離を置き東西南北に建っていて東西の離宮は他国からの客、南北の離宮は王家と関わりの深い自国の貴族という形ではっきりと分けられていて、王城と離宮との丁度中間地点の北側に王子宮、南側に王女宮は存在する。


 現在西の離宮にはフロイライン王女とその身の回りの世話をする従者たち一行が滞在していて、真反対の東の離宮には『ヒューイ・ノックス』の一行が滞在中であり、本日はアバルティーダの王太子夫妻が訪れていた。




×××




 「なんか、学園でやりたい放題だって報告来てるけど大丈夫?」



 王太子が眉を下げながら目の前の紅茶に手を伸ばした。


 正面に座るヒューイは首を傾げると



「うん? 何もしてないですけど。その報告おかしいなぁ」



 と不思議そうな顔をした。



「女の子にキャーキャー言われてるんじゃないの?」



 王太子妃イザベラがクスクス笑いながら自身のお腹を愛しそうに撫でている。


 彼女は現在3ヶ月に入ったばかりの妊婦さんで腹部に負担のかからないエンパイアスタイルのドレスを着ているが、元々優しげな癒し系の顔なので装いが雰囲気にあまりにもピッタリ合っていて妊婦だとはちょっと見には分からない。



「まあ、きゃあきゃあ言われてはいますが想定内ですからね」


「そうよね、リアちゃん元が華やかな美人だから男装したら王子様になっちゃうものねえ。今の格好も素敵♡」



 うっとりと両手を頬に添えて目の前の男装姿のオフィーリアを眺める王太子妃イザベラ。


 黒髪になったオフィーリアは、白い艶のあるドレスシャツに黒い細身のトラウザーズにロングブーツという簡単な装いだが、妙に色気がある・・・



「俺より王子様じゃん。リアの息子とか生まれたらめっちゃヤバそう」



 へらっと笑う王太子。



「で? なにか動きはありましたか?」


「ああ。例の国境付近の廃教会に武装した連中が集まってるらしいと隣国からも連絡があったよ」



 王太子の言葉を拾うように王太子妃が続けた。



「例の将軍が繋がってたのは彼女で間違いないわ。3日前侍女が預かった手紙の宛名がね・・・やっぱりあの子は頭が弱いのかもしれないわねぇ可哀想に」



 ほうっと若草色の瞳を細めて溜息をつくと、



「子供の教育って難しいのねぇ」



 と呟いた。



「はい、お義姉様」



 オフィーリアがポンと手渡したのは『楽しい育児』と書かれた本である。



「私はもう読みましたから。参考までにどうぞ」


「あら、ありがとう。すご~い6歳児迄の育児に関しての総集本なのね。読んでみようっと」


「ねえ、君ら何しにココに居るのか分かってるの?」



 王太子が呆れた顔になったのは言うまでもない。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ