18 留学生
高位の貴族ばかりを集めたクラスに短期留学生が転入して来た。
「初めまして、ヒューイ・ノックスです」
階段教室の1番下、学園教師の直ぐ横で優雅にボウ・アンド・スクレープをした彼は艷やかな黒髪に軍服を模した様な濃いグレーの衣装を纏っている。
靴は良く手入れされた黒いロングブーツ。
「身分は訳あってここでお伝えする事はできませんが、2ヶ月間宜しくお願いします」
高位の貴族らしい優雅な動きで教師の指差す1番前の席へと着席するヒューイ。
一瞬ざわついた教室だったが、講義が始まる頃には落ち着きを取り戻した。
最初の1時間目が終わると、あっという間に女子生徒の生け垣が形成され質問攻めに合うのを男子生徒が憐れんだ目で見ていたが、2時間が終わる頃には隣のクラスからやって来た女生徒が加わり山になる。
3時間目が終わる頃には接触不可能なくらい人が増え、何故か男子生徒が教室から追い出される羽目になった。
「確かにイケメンだった気がするけどなぁ」
「俺達顔すら見せてもらってないよなぁ。どんな顔だったっけ?」
廊下で立ったまま自分達の教室を遠い目で眺めながら、
「「「「まあ、そのうち眺められるんじゃないか?」」」」
肩を竦めると全員がウンウンと頷いた。
×××
「ノックス様は何方のお国出身ですか?」
「海の向こうのトリアステルですよ」
少しウェーブの掛かった黒髪は肩まであり、大きな二重の瞼をした二対の綺麗なアーモンド型の目は翠色の瞳をしている。
シュッと整った鼻筋高い鼻梁。
形の整った唇は艷やかだ。
まるでこの国の近衛騎士達も真っ青になりそうな美青年は、柔らかな口調で周りの女生徒達の視線を釘付けにした。
「トリアステル帝国といえば、真珠の養殖で有名なのでは?」
「ええ。レディはとても我が国のことに詳しいのですね、ありがとうございます」
にっこりと笑顔になるとまるで周りにバラが咲いた様に錯覚する女生徒達。
「「「「「「きゃあ~♡」」」」」」
「今回、この国の王太子殿下にお招きいただき東の離宮にて滞在致しますので、放課後などはお付き合いできませんが、後で食堂等を教えて頂けますか?」
ガタッ! ガタガタッ!
「「「「「尊いッ!」」」」」
ゆっくりと首を傾げると何処か妖艶さを伺わせるヒューイ青年は、この学年の女子生徒達をほぼ虜にした。




