第330話 奈落50階層ボス
吸血鬼女王は突如現れた
漆黒フルプレートの姿をみて
安心したのか犬歯を見せニヤリと笑う。
乙女の寝室に無断で入室した
罰で殺すつもりだ。
それくらい重罪なのだ
そして鋭利な爪が伸び
「死ぬでありんす!!」
と黒騎士こと鎧さんに振りかぶり…
ガキン!!!
と火花が散る。
浮遊してたバスターソードが漆黒を纏い
主のクロノが寝ている鎧さんを守る。
「なっ!」
ただのオブジェクトくらいにしか
思ってなかった吸血鬼女王。
まさか何の予備動作無しにガードしてくるとは…
一旦距離をとる。
そしてお得意の技、自身の血を爪に吸わせ
「血爪牙!!」
とパワーアップした真っ赤な
血爪の斬撃を無数に繰り出した。
が、バスターソードに叩き落とされる…
そして、
バキバキバキバキ!!
出番がない黒騎士こと鎧さんは暇だからか
自身でそれを掴みに行き、手でそれを
粉々に砕いた。
「な?!
この前の覆面の化け物
(覆面レスラークロノのこと)といい、
一体なんなんでありんすか?!」
と明らかに動揺が見て取れる吸血鬼女王。
自分を強者と疑っていなかったが
覆面レスラークロノとの交戦では
一方的に負け、クロノの慈悲で生かされ
てはいるが、
今もまた得体の知れない漆黒フルプレートに
つい後ずさる。
自分の技が全く通用しないとは…
「剣よ!!妾の血を吸え!!」
と、剣をどこからともなく顕現させ
奥の手を出す吸血鬼女王
剣が真っ赤に染め上がり脈を打ち始めるが…
なぜか身体が漆黒フルプレートに
引き寄せられはじめる。
「えっ?な、なに?この現象?」
ついに足が地につかなくなり
漆黒のフルプレートこと黒騎士に
引き寄せられ腕を掴まれる
「くっ!は、離せ!離すでありんす!!」
ジタバタもがく吸血鬼女王
すると
頭上から漆黒のバスターソードが
まるで斬首するの如く浮遊している
「ひっ!!!ま、待つでありんす!!
待って!待って!」
「…」
しゃべらない黒騎士、
もといしゃべれない黒騎士こと鎧さん。
なので鎧さんは吸血鬼女王の片腕を
掴みながらジェスチャーする。
まずはメモを出し先ほど描いた城を見せる。
「ん?妾の城でありんすか?
献上せよと?」
鎧さんは首を横に振る。
そして胎内で寝ている覆面レスラー
ことクロノが見える様に
漆黒のフルプレートを半透明化させた。
「お、お前様は?!」
圧倒的敗北をうえ付けられ
見逃してもらった覆面レスラークロノを見て
驚いた吸血鬼女王だった。
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