第153話
悪党侯爵はオレ本来のチカラ、完全なる(無)
に一生閉じ込めた。
そして
「ミーも、もう殺してニャん…」
片手片足欠損
目にはボロボロの包帯
幼い猫人
言葉では饒舌し難いほどの仕打ちを
受けて来たのだろう…
まるで死が救いだと言わないばかりに。
「少しだけでいい…生きてくれないか…
頼む…」
オレは懇願してしまった…
「嫌ニャ、お願いニャ!」
「…」
オレは幼い猫人の願いを
聞かず無責任にエリクサーをかけた。
傷がみるみる治るが
「ミーは死にたいのに…なぜ治すニャん?」
一度壊れた心は治らない。
「オレの勝手なエゴだ…
少しだけでいい、
頼む…頼むから生きていてほしい…
それでも死にたくなったらちゃんと
オレが介錯する。
だから…頼む…」
懇願しか出来ないオレはやっぱり無力だ…
「それがいまニャ!」
「1日!1日だけでいいから!
頼む。1日だけ!1日!!1日!」
もう、どんな理屈かもオレ自身わかってないが
ひたすら1日と連呼していた。
「わ、わかった…ニャん…」
「ありがとう…ありがとう…
生きててくれてありがとう…」
無意識に幼い猫人を優しく優しくオレは
抱きしめた。
少しでもチカラを入れたら間違いなく
壊れる、身体も心も…。
「どうせ明日にはお別れニャん…」
「…」
今のオレにこの子を生かす策は無い…
ましてや虐げていた同じ人種だ。
オレも本来なら恐ろしかろう…。
あ!なら拠点に連れていくか!
あそこなら!獣人か亜人しかいない!
「わかった、ならオレの拠点へ行こう。
西国、帰らずの森。最奥にあるんだ」
「好きにしたらいいニャん」
「痛いとこやお腹は空いてないか?」
「あ!いつの間にか大丈夫になってる
ニャん!あと、なんか眩しいニャん!」
エリクサーが失明も治したからだろう。
「よかった!なら転移で拠点に行くか…ん?」
懐かしい気配を感じるオレ。
これは?!メイド長とじいやかな?
幼少の頃からの教育係とお世話係で家族だ。
なぜこんな国境付近の辺境へいるんだ?
久しぶりだし、ちょっと様子でも見に行くか…
鎧さん、もとい今は漆黒の仮面は
身内でも元王子とわからないように、
認識阻害してくれている。
身バレは大丈夫そうだな。
「少し寄り道をする!
そしたら拠点に行こう。いいか?」
「好きにしたらいいニャん!」
「抱えても?」
「…」
返事はないが優しく優しく猫人を抱えるオレ。
そして外に一緒に出た。
すると獣人ワンたちと戦ってるメイド長
が目に入る。
鬼人オニと
エルフミミはやられていてか…横たわっていた。
そしてトドメをさそうとしてる
メイド長。
獣人ワンに短剣を振り下ろす。
が、オレは猫人を抱えたままわって入る。
蹴りでメイド長の短剣の刀身を粉砕した。
「何者?!」メイド長
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