メイドが欲しい
スネークス家は新興の家である。
当主しか居ないのだ。
貴族にとって、繋がりとは大事なものである。
嫁に出したり婿を取ったりで、親戚関係が出来る、それが派閥になったり、諍いの原因になったりする。
パトリックには、親兄弟はもう無い。
自分が殺したからであるが。
なので血縁関係と言えば、母の血筋のカナーン家のみ。
しがらみが無くて良いと思うパトリックだが、困った事もある。
人を雇うツテが無いのだ。
誰々の遠縁とかで雇う事もできず、貴族の子弟が通う学院にも行ってないので、同級生を雇うという事も出来ない。
王都に屋敷を買い、1人と1匹で暮らしているパトリックにとって、現在進行形で困る事に、屋敷の掃除がある。使っているのは、玄関ホールと、パトリックの寝てる部屋だけだが、トイレとシャワー室、廊下の掃除、洗濯、食料の買い出しが出来ない。
カナーン家の紹介で人を雇ったが、それは領地で働いている。
「メイドが欲しいなぁ」
パトリックは呟く。
軍で1番仲が良いのは、ウェインであるが、ウェインは入り婿が決定している。サイモン中将のところに。
そのサイモン中将に、
「メイドを雇いたいのですが、どこか良い所知りません?」
と、聞いてみた。
「メイドは、だいたいうちの派閥の貴族の四女や五女が来るからなぁ、斡旋所はあるが、貴族の屋敷で働くには、知識も教養も足りない人しか居ないらしいぞ?」
と、かえされた。
メイドに知識や教養が必要なのを、初めて知った。
兵舎を歩いていると、カナーン男爵当主、トローラ伯父が歩いていた。
「伯父様!」と、声をかける。
「おお! パトリック! 兵舎で会うのは初めてだな。普段は王城に詰めているから、兵舎にはなかなか用事が無くてな! ガッハッハ!」
豪快に笑う伯父に、
「メイドのアテ、ありませんか? 実は家を買ったのですが、掃除等が面倒で」
と、相談してみる。
「ふむ、家を買ったのか! どこだ?」
「旧ハーター子爵邸です」
「一人暮らしにはデカすぎるが、伯爵家ならば、相応だな。何人欲しい?」
「とりあえず私とペットしか住んでないので、1人で充分です」
と言うと、
「ふむ、知り合いに当たってみよう」
と言ってくれたので、ありがとうございますと頭を下げたら、
「伯爵が簡単に頭を下げるもんではないぞ! もう少し偉そうにしておけ」
と、笑いながら去っていった。




