カナーン領へ
パトリックは、馬車に揺られる。
目的地は、カナーン領。
デコースに会いに行くためだ。
一応子爵になったパトリックは、領地を運営しなければならない。
元リグスビー家に居た者達のうち、半分くらいはその後も雇う事にした。
主に別館で働いていた者達だ。
本館で働いていた者は、ほとんど逃げた。
パトリックからの仕返しを恐れて。
まあ、クソ親父達と一緒に、パトリックに暴力をふるっていたので、まあ逃げるだろう。
役所の方は、ほぼそのまま採用である。
ただ、1人を除いて。
その男は、助役的な立場で、リグスビー家の言いなりで、不正に金を集めており、領主がパトリックに変わった途端に、逃げたのだが、領民に捕らえられ、今は牢屋の中である。
領軍のほうは、先の反乱でかなりの数を減らしており、追加募集をかけているが、まだ数は足りて無い。
なにより、将や佐官、尉官が足りない。
国軍を退役した者達で、なんとか動ける者をかき集めてる状況である。
カナーン領、領都トニル。
国の南部に位置するカナーン領は、緑溢れる農作地が多い。
トニルは人も多く、農作物を運ぶ馬車が走り回り、活気にあふれている。
その中央にカナーン家の屋敷がある。
2メートル程の塀に囲まれた屋敷の門の前に、馬車が止まる。
中年の細身の門番が御者に声を掛ける。
御者がそれに答え、門番頷き、門が開く。
パトリックは、馬車の小窓を開け、門番に声をかける。
「やあ、チャーリー。久しぶり」
「パトリック様? おお! まさしくパトリック様! 旦那様よりお聞きしておりましたが、ご立派になられて!」
青い眼をパトリックに向けて話す金髪の男は、少し嬉しそうだ。
「うん、ありがとう。明日にでも、前みたいに稽古つけてよ」
「懐かしいですなぁ、承りました!」
馴染みの顔を見たパトリックの顔は、優しい表情であった。




