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馬車
草むらから一本の矢が御者の喉を貫いた。
御者は手を手綱から離し、喉を掻き毟る。
呻き声は馬車の音にかき消される。
が、異変を察知した護衛が、声をかけようとしたとき、草むらから人影が4つ。
「敵襲!」
護衛が叫ぶ。
手綱を捌く人間が居なくなり、馬はスピードを緩める。
馬車がゆっくり止まったとき、既に護衛の2人はミルコ伍長と監視官と、斬り合いになっていた。
パトリックは馬車の後に回り、幌をめくる。
そこには、太った40歳程の男が1人。
「抵抗すれば斬る。言うことを聞くなら、命は助ける。今すぐ選べ!」
剣を突きつけ、男に言った。
「ひっ、ひいぃぃぃ!」
「もう一度言う、抵抗すれば斬る。言う事を聞けば、命は助ける。選べ!」
「聞きます! 聞きますから! 命だけは!」
「よし! 賢明な判断だ!」
護衛2人は、既に斬られた後だった。
パトリック達は鎧を脱ぎ、護衛や御者に変装する。
人数的に変装できるのは3人だが、パトリックは、馬車の中にいた商人の替えの服を上から纏うことにした。
太っていたから、鎧を脱ぐとサイズが合わなかったからだ。




