プラム王宮
プラム王国上空を2匹の翼竜が飛ぶ。
漆黒の翼竜の背には、男が1人。
蒼い翼竜の足には、丸太に括り付けられた金色の獅子族の男。
「なあ、この扱い酷くないか?」
先程までギャーギャー喚いていた獅子族の男が、この状態に慣れたのか、観念したのかは分からないが、パトリックに話しかけてきた。
「お前、そんな事言える立場か? 時間がもったいないから、道案内させる代わりに生かしてやったんだぞ? なんなら殺して、プラム王国の街とか潰しながら王宮を探してもいいんだぞ?」
パトリックが男を見ながら言うと、
「それは頼むからやめてくれ」
と懇願してくる。
「なら文句言うなよ!」
「分かった」
「このまま真っ直ぐで良いんだな?」
「ああ、このスピードなら、1時間もすれば見えてくるさ」
「ふむ、ならば問題ない」
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プラム王宮。
石造りの豪華では無いが堅牢そうな城である。
その一室に、多くの女性たちを侍らせて、1人の獅子族の男が、食事をしていた。
この国の王である、レオナルド・ディス・プラムである。
金色の頭髪は獅子族の王家特有の色である。
普通の獅子族は茶色であるのにたいし、王家の血を引く者だけが、金色という特殊な髪色をしている。
190センチはあろうかという大きな身体を、豪華な衣装に身を包み、分厚い肉を手で掴み口に運んでいる。
「そろそろアントニーのやつが、メンタル王国に入った頃か?」
レオナルドが、側に控える男に聞く。
「おそらく」
聞かれた男が答える。
「上手く王女を連れてくればよし、失敗してもアントニーの責任にして、処刑しても良し。良いタイミングで話が来たものだ」
「最近、アントニーを慕う者達からの不満が、かなり多ございましたからな。王族の男は現在、陛下とアントニーだけ。アントニーが居なくなれば、文句を言う者も減りましょう」
「アントニーは戦死して、王女は部下が連れて戻るが、最上なのだがな!」
「そうなると良いですな!」
などと話しながら、掴んでいた肉を再び口に運ぼうとした時、慌ただしく1人の狼族の兵士が入室してきた。
「報告致しますっ! 上空に2匹の翼竜が現れ、その翼竜の背に乗る者が、陛下を連れてこいと騒いでおります! いかが致しましょうか?」
その言葉に、
「なにっ! 翼竜に乗る者だとっ? 貴様、夢でも見てるのではあるまいな!」
レオナルドの側に控えている男が、兵士に聞き返す。
「私だけでなく、全ての兵士が見ております!」
狼族の兵士が、そう答えると、
「むむ、翼竜に乗れる者とは、神の使いか悪魔の使者か。その者が乗る翼竜の色は何色だった?」
「漆黒でございます」
「漆黒、たしか暗黒竜の御伽噺だと、破滅をもたらす竜だったか?」
その言葉に応えるように、レオナルドが、
「我王国を滅ぼしにでも来たのか? たかが翼竜の2匹ごときで、このプラム王国が滅びるものかっ! とりあえず出て行って、翼竜とやらを見物してやるとするか!」
そう言ってレオナルドが席を立った。




