ペー、攻撃
それも鎧を着けた翼竜。
「なっなんだアレはっ!」
思わず叫んだ獅子族の指揮官。
その声に応えるかのように、上空から声がする。
「メンタル王国王都軍中将! 第2第8軍の指揮官! パトリック・フォン・スネークスである! プラム王国軍に告げる。これ以上進軍するならば、領土侵犯と見なし攻撃する。直ちに引き返せ! 繰り返す! 直ちに引き返せ! 受け入れられないならば、そのまま進軍しろ。友好条約は破棄されたものとみなし、五分後に攻撃開始する!」
パトリック・フォン・スネークスと名乗った男が叫んだ後、2匹の翼竜と共に上空高く消えた。
「翼竜だとっ⁉︎ そんな話聞いてないぞ!」
獅子族の指揮官が叫んだ。
「中将! どうします? このまま行きますか?」
近くの兵士が指揮官に問いかける。
「どうするも何も陛下からは、メンタル王国のマクレーン第3王子を国王にして、第2王女を貰ってこいとの命令だ。何もせずに帰れば処分されるのは我々だ、行くしかない」
「では、四方に散って走りますか」
「ああ、個々に散らばれば2匹ではどうにも出来んかもしれんだろ」
「では!」
「ああ! 皆の者、最速で突入しろっ!」
そう言って兵士達に突入させるのだった。
〜〜〜〜
「あーあ。せっかく忠告してやったのに、命を無駄にしやがって」
上空から双眼鏡で見ていたパトリック(ドワーフに作らせた)。
「ペー、攻撃開始! 好きなようにしていいぞ」
パトリックはペーを見てそう言った。
ギギッ
ペーが、そう鳴いた途端にペーの頭部の角が、ボンヤリと蒼く光り出した。
そして、ペーの周りに生成される無数の氷の矢。
いったい何本、いや、何千本あるのだろうか?
その矢は一斉に地面に向けて落ちる。
落ちた矢は、森の木々に邪魔されるが、邪魔されずに地面にたどり着く矢もある。
獣人達は、森を抜けるために前を向いて走る。上を見ながら走れはしないので。
そして、落ちてきた矢は獣人達の体を貫く。
1人2人、10人、100人、いや、千人は倒れただろうか。
地面から聞こえる呻き声。
上空のパトリックとプーは、それを黙って聞いている。
そしてその場にペーは居ない。
ペーは、矢を落としたと同時に高度を下げ、国境沿いにまで進んだ獣人達に向け、口から水を吐きかけていく。
まるで消防の放水のように。
氷の矢は避けられても、飛び散る水までは流石に避けられない。
獣人達もただの水だと、気にした様子もない。
が、先頭の猿の獣人が、突然木から落ちた。
濡れた衣服が少し白く見える。落ちた獣人の身体が地面に当たった瞬間、氷の板を地面に叩きつけたかのように砕け散った。それを合図のように、次々と獣人たちが凍って固まる。獣人達だけでなく、木々も凍る。
以前とある子爵が、翼竜の事を災害級の魔物と表現していたが、まさに自然災害のブリザードの再現のようだ。
「なあ、プー。ペーのやつ、何か怒ってるのか? 容赦無いんだけど?」
パトリックが、プーに問いかけると、
キャギャガァ、ギガギガグギギィ
「最近イライラする事が多いの? なんでだろうな? ちゃんと遊んでやってるのになぁ?」
キャウ〜
「まあ、ペーには逆らわない方が良さそうだなプー。凍らされるぞ」
ギャッ!
「さて、1番偉そうなやつをとっ捕まえに行くか。プー! あの金色の偉そうなやつ捕まえるぞ!」
ギャイギャッギャー!
プーが鳴きながら高度を下げていくのだった。




