表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
226/316

アメリアの実家

コナー子爵家、それは王都から西に向かう街道沿いにある、宿場街が主産業の領地である。


軍の輸送部隊や、商人がよく利用するので、寂れた雰囲気は無いが、華やかでもない。

そんな領地だったのだが、ここ数年は好景気である。


理由はさらに西にあるスネークス辺境伯領。

そこは王都と同じくらい、いや王都よりも賑やかな領地となりつつあるため、そこに向かう商人が急増し、コナー子爵領の宿場街に泊まる客が増え、宿屋や土産物店の売り上げが倍増したためだ。


コナー子爵家は質実剛健がモットーの家で、贅沢な事は嫌うため、屋敷も古いのだが、丁寧に補修されているため、みすぼらしさは無い。


そんな屋敷に早馬が到着する。

門番の男が、早馬から降りた兵士に問いかける。


「コナー子爵家に如何様なご用事でしょうか?」


兵士は、

「スネークス辺境伯家の兵で、リスモと申します。我が閣下より手紙を預かって来ました。コナー子爵様が御在宅なら取り次ぎをお願いしたく、ご不在ならばこの手紙をお預けしたいのですが、御在宅でしょうか?」


と、丁寧に述べながら、手紙が入っていると思われる封筒にある家紋を見せる。

それを確認した門番は、


「確認してくるが故、この場で少しお待ち下さい」


と、居るとも居ないとも言わずに、屋敷に向かう。

数分後に門番が戻ってくると、


「お会いになるそうだ。ご案内するのでこちらに。おい! このお方の馬を頼む!」


門番はリスモにそう言ってから、屋敷の使用人に声をかけた。


「ではどうぞ」

そう言ってリスモを屋敷内に案内する。


屋敷に入ったリスモは応接室に案内され、かけて待つように言われたが、立って待っていた。

そこに当主が入室する。


「お待たせした。当主のディグ・フォン・コナーです。スネークス辺境伯からの使者とか?」


と、声をかける。


「はっ!お初にお目にかかります。スネークス辺境伯家から参りましたリスモと申します。我が主人より手紙を複数預かって参りました。先ずはこちらからどうぞ」

と、頭を下げてから手紙を差し出す。

「うむ、娘からか。どれ」


そう言ってコナー子爵は、机の上にあるペーパーナイフを手に取り、封筒を開けると、手紙に目を通す。

読み終わった手紙を机に置くのを見たリスモは、


「次はこれを」


「ふん。相手の男か」

そう言って少し顔をしかめるコナー子爵は、仕方なく読むような素振りをする。


「次は我が主人からです」


手紙を受け取り読み出すと、コナー子爵の目付きが険しくなる。


机の上に置いてあるペーパーナイフを掴み、リスモに向かって投げる。


顔目掛けて投げられたナイフを何事も無いように避けたリスモ。


ナイフが壁に刺さる。


「お戯れを」

リスモが言うと、


「ほう。怒りもしないのか」


「殺気が有りませんでしたので」


「噂に聞くスネークス辺境伯領軍の腕を見ようと思ったのだがな。失礼した。どうぞかけてくれたまえ」


「いえ、すぐに戻りますゆえ」


「ふむ、なるほどな。アメリアのやつと辺境伯の騎士との事承知した。到着は何時ごろかな?」


「私が出た後に出発しているはずなので、2日後には到着するかと」


そう聞いたコナー子爵は、ペンを取り手紙を書くと、


「では、スネークス辺境伯には、これをお渡し頂きたい」


「承知致しました。では失礼します」

そう言ってリスモは頭を下げて退室していく。


入れ替わるようにコナー子爵の妻が入室して来る。


「どういった御用向の使者でしたの?」


そう聞いた夫人に、手紙を渡しながら、


「アメリアめ、なかなか面白い男を主人に持つ男を捕まえたようだ」

と、笑いながら言うコナー子爵だった。


2日後、コナー子爵の屋敷の前に赤い馬車が到着する。まあ、大きな黒い馬車や、他の馬車も続いているのだが。


「ここか」


パトリックの視線の先にある古い屋敷。


「はい、私の実家のコナー邸です」

と、アメリアが言う。


「なかなか年季が入ってるな」


「初代が建てたものをそのまま使ってますので。まあ、建て増しや修繕はしてますけど」


「緊張してきた」

と言うミルコに、


「しっかりなさい!」

と肩を叩くアメリア。


「うむ!」

と気合いを入れたミルコ。


既に門は開かれている。

執事と思わしき男が玄関から出てくる。


「閣下お気をつけて」


伝令役を務めたリスモが小さく告げる。


「ああ、なかなか油断ならぬ眼をしているな」


パトリックがニヤリと笑った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 蛇と狐と・・・・次は狸かな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ