092 お金持ちのケンカ
高級娼館に庶民のマッツを連れて来たら、あら大変。高級娼婦は逃げ惑っていたけど、お金を前払いで貰ったこの店ナンバー1娼婦であるドロテーアに諭されて整列させられていた。
フィリップは……すでにナンバー2と3の綺麗な女性を両脇に抱えてソファー席で揉んでるな。そんなことをしていたら、入口から宝石をジャラジャラさせた男が入って来た。
「なんだこの騒ぎは……おいお前! そこの女だ。アニタを連れて来い」
その男は入店するなり偉そうに命令しているが、娼婦たちは一向に近付こうとしない。
「なに突っ立ってるんだ! 私は客だぞ!!」
館内は静まり返り、男の喚き散らす声だけになると、フィリップはコソコソとナンバー2から話を聞いていた。
「何あいつ? モミモミ」
「聞くか揉むかどっちかにしない?」
「僕はお客だよ~?」
「あいつと同じこと言ってる……はぁ~」
フィリップのエロイ顔と手は止まらないので、ナンバー2は仕方なく説明。あの男は、貴族のヨアキム・ストール伯爵。アニタという女性がお気に入りらしいが、性癖に難があるので出禁になっているそうだ。
その話を聞いていたら、見かねたドロテーアがストール伯爵の元へ近付いて対応し出した。
「伯爵様。先日申した通り、伯爵様の入店は禁止となっております。周りにもお客様がいますので、どうかお引き取りを」
「なんだと……客なんて、貧乏人と子供しかいないだろうが……子供?? いや、娼婦如きが偉そうに命令するな! 私は貴族だぞ! アニタを出せ!!」
「アニタはアレ以来、お客を取れなくなっております。ですので、お引き取りを」
「だったら誰でもいい! 金ならあるぞ! わははは」
ドロテーアが何を言ってもストール伯爵は聞く耳持たず。フィリップの容姿には一瞬固まったけど、それも乗り切った。
なのでマッツが……端のほうで柱になりきってるな。こいつじゃなかった。フィリップがしゃしゃり出た。
「オッサン、うるさいよ」
「なんだこのガキは……ガキ? いやいや、ガキがなんでこんなとこにいるんだ??」
おかげ様で、ストール伯爵は混乱。やっとテンションが下がった。
「てかさ~……女の子に暴力振るったらしいじゃない? そんなヤツは、この店に相応しくないの。おとなしく帰りなよ」
「だ、だったらなんだ! 私はそれだけの金を払ってるんだ! ガキこそこの店に相応しくない! ……合ってるよな??」
やはり、フィリップの見た目ではテンションを上げるには難しいみたい。ストール伯爵も娼婦たちに助けを求める目を向けたら、全員ウンウンと頷いてるもん。
「お金なら払ってるから、立派なお客だよ。それも、あんたより大金をね」
「ハッ……いくらだ? どうせ端金だろ。ド庶民が」
「お金で決めるなら、僕は王様だ。よし! 今日は朝まで全員買ってやる!!」
「はあ~?? どこにそんな金が……」
「ニヒヒ~」
「白金貨!? それも10枚も!?」
フィリップが見せ付けるように白金貨を10枚手に持つと、ストール伯爵は後ろに2回飛び退いた。1枚でも驚きなのだから、その反応は正しい。
「は~い。店じまい。さっさと帰れ帰れ」
「ふざけるなよこのガキが……大人の怖さ、教えてやる……」
「暴力? 暴力ならウェルカムだよ~? 僕、女王様とお友達だから、言い付けてお取り潰しにしてもらうよ。さあ。かかっておいで~?」
「ウソばっかり言うな!!」
「ほら? クリスティーネ女王からの紹介状持ってるから、僕はここに入れるんだよ。お金持ちも事実。どこに嘘があるのかな~??」
「くっ……」
「さあさあさあ? 早く殴ってくれな~い? その時点でお前は終わりだ。できないならさっさと帰れよ!!」
「チッ……覚えてろよ……」
煽りまくったラストは脅し。紹介状の真偽はわからないが、ストール伯爵も手を出すのは得策ではないと考え、捨て台詞を残して立ち去るのであった……
「「「「「はは~……」」」」」
フィリップの権力と圧倒的財力に、ドロテーア筆頭に高級娼婦たちは漏れることなく跪く。マッツも最後尾で同じことしてる……
「そんなのいいって。てか、みんなを守ってくれるオーナーとかいないの?」
「先日、横領罪で連れて行かれまして、私がひとまず店長も兼任しているのですが、至らないところばかりであのような客が出てしまったのです」
「あらら……そりゃナメられるね。今度、女王様に兵士を派遣できるように頼んでおいてあげるよ」
「有り難き幸せ」
「そういうのやめてよ~。僕はお客。全員買ったんだから、朝まで頼むよ~??」
「「「「「……へ??」」」」」
嘘から出た実。白金貨は売り言葉に買い言葉で見せびらかしただけだと思っていたドロテーアたちは、同時にとぼけた声が出てしまった。
「マスターは2人までだよ? 早く決めないと取り分はなしだよ~??」
「一生ついて行くッス!!」
「「「「「本気なの!?」」」」」
「出したお金は引っ込められないよ~。僕に恥を掻かすつもり~?」
「「「「「嘘でしょ……」」」」」
こうして女性たちが青ざめるなか、マッツがはしゃぎ回り、フィリップはドロテーアたちを引き連れてVIPルーム消えるのであった……
「マスター、僕帰るけど……何があったの?」
フィリップには制限時間があるから全員はさすがにマッサージできなかったけど、帰りにマッツが楽しんでいた部屋に寄ったら、マッツは燃え尽きていたので1人で帰って行ったとさ。
毎日投稿はここまで。一日置きの更新に戻します。
ちょっと無理したので、ストック大丈夫かな~?w




