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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
二十一章 おまけ

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第二皇子、行方不明だってよ5


 フィリップが帝都から消えて2週間と数日。今日は根城にリネーア&コニーのモルダース夫婦が訪ねて来たので、カイサとオーセはエントランスで対応していた。


「ウフフ。殿下とボエルさんらしい話ですね」


 リネーアたちはフィリップのことを心配していたが、仕事が忙しくて遅くなったと悔やんでいたので、カイサたちはとっておきの話を披露。

 リネーアは大笑いとはいかなかったが、コニー(いわ)く、久し振りにリネーアの笑顔を見たそうだ。


「リネーア様にもお手紙がありますよ。できる範囲でいいので内容を聞かせていただけると嬉しいです」

「殿下は私に対してはからかったりとかはしませんよ? コニーさんに対してはよくからかいますけど……」

「早く読んで! 殿下、ボクのこと書いてるかな!?」

「「「おそらく……」」」


 リネーアに宛てた手紙だから、コニーのことを書いているかは微妙なところ。いつもフィリップがコニーのことを忘れていたから、コニーは食って掛かったけど、リネーアたちは断定はできなかった。

 そのリネーアは手紙を読むと、2枚目に入ったところで少し険しい顔をした。しかしすぐに戻して、カイサたちに結果を知らせる。


「内容は、私を心配することばかりでした。昔、悪い貴族に酷い目にあったので、これから派閥に入る時は気を付けるようにと。殿下はけっこう心配症なんですよ」

「そうなんですか……ところでコニー様は?」

「コニーさん……ゴメンなさい」

「やっぱり!?」

「「プッ……クククク」」


 思った通り、コニーの話はナシ。コニーが怒った顔をしているので、面白い話なのにカイサたちは笑うに笑えない。あまりコニーと接点ないもん。

 しかしリネーアが「優しい人だから。笑ってあげて」と告げたら大笑い。2人もコニーのことが特徴がないと思ってたんだってさ。



 カイサたちからフィリップの話を聞いたリネーアたちは、ホドホドで立ち去る。そうして馬車の中ではコニーが嘆いていたのでリネーアは慰め、宿舎の部屋に入るなり真面目な顔に変えた。


「さっきの手紙、本当はコニーさんのことも書いてたよ」

「え……じゃあ、なんで隠したの?」

「あの場ではできない話だったから……殿下はあの2人にも喋るなと書いていたの……」


 フィリップの手紙の内容は、奴隷制度廃止による未来の出来事。皇帝に絶対服従しないと2人の実家は生き残れないとアドバイスが書かれていたのだ。


「こ、こんなこと、本当に起こるのかな?」


 しかしコニーは半信半疑だ。


「コニーさんは知らないだけなの。殿下はすっごく賢い人だよ。たぶん今回姿を隠したのも、帝国を救うために必要なことなんだよ」


 ただ、リネーアは第二皇子信者。命を救ってもらった恩があるから、フィリップの言葉は絶対なのだ。


「君がそういうなら信じるけど……ボクたちが言って親が言うこと聞いてくれるかな? 横領とかの話も、軽くあしらわれたし……」


 コニーはリネーアラブ。話が早いが、そもそも2人は子爵家の子供であっても爵位を継げない位置にいたから発言権も低いのだ。


「そこはペトロネラ様とラーシュ様の家が後ろ楯になってくれると書いてある。私たちの考えなんて、殿下は見通しているのよ」

「公爵家なら、確かに親も耳を傾けてくれるね」

「うん! やるしかないよ! 国のことは殿下に任せて、私たちは家を。ひいては民を救いましょう!!」

「おう! もう勅令は出てるはずだ。急ごう!!」


 ()くしてリネーアとコニーは、仕事を休んでまで親を説得しにお互いの故郷に向かうのであっ……


「ところでなんだけど……なんで殿下の名前を出してはダメなんだろう?」

「殿下は……殿下なんで……」

「そういうことか……」


 第二皇子より公爵家のほうが信頼は上。いくらフィリップを神のように慕っていても、そのことはけっして間違わないリネーアであったとさ。



 フィリップが消えてから2週間と数日、とある薬屋では……


「ペトロネラ様が言った通り、私にも指示がありました」


 ラーシュとペトロネラが秘密裏に会っていた。ステファンもいるよ。

 ラーシュとペトロネラが時間を空けて根城を訪ねたのは全公爵家の説得に走り回って忙しかったこともあるが、一番はフレドリクに睨まれないため。フィリップなら何か指示を残しているのではないかと予想して取りに行ったのだ。


「内容はどうなってます?」

「前の指示と似てます。違う点は、脅してでも貴族を皇帝陛下に絶対服従させろと。大恐慌が始まるから麦を早めに買っておけとも書いてありました。あと、3年後の春に戻るとも」

「私とほぼ同じ内容ですね。私には殿下の元侍女の家を必ず説得して生き残らせろと書いていたわ。両家でモルダース家の後ろ楯になれとも。それとステファンには手紙は用意してないから期待するなですって」

「ははは。そうですよね……」


 2人は内容を摺り合わせると、同席していたステファンをかわいそうな目で見た。フィリップと一番長く活動していた人に一言もないんだもの。ステファンも苦笑いだ。


「皆は、もう勅令書は読みましたか?」


 ここはペトロネラが司会をして話を逸らした。


「はい……かなり厳しいですね……」

「私の仲間も、やってられるかと怒っていました」

「そうなりますよね。ですが、陛下に逆らえばより多くの死者が出ます。殿下が戻るまで、なんとか耐えましょう!」

「「はいっ!!」」


 斯くしてペトロネラたちは、皇帝と第二皇子の争いの裏で、ヒッソリと戦い続けるのであった……


 一方、薬屋の1階では……


「店長……どうしてウチの店に偉そうな人が集まるのですか?」

「さあ? ライアンさんが隠し部屋を貸してくれと大金を置いて行っただけだから、私も知らない」

「これ、何かヤバイことに巻き込まれてません?」

「そう思うよな~? やっと自由に商売できるようになったのに、またビクビクして暮らさないといけないのか。はぁ~……」


 ペトロネラや知らない貴族が隠し部屋を使わせてくれと度々現れるので、薬屋のボヤキは止まらないのであったとさ。




 一方、その頃のフィリップはというと……


「毎日毎日、こんな所で何をなさっていますの?」

「暇だから、ちょっと……」

「わたくしたちばかりに働かせておいて、よく暇だなんて言えましたわねぇぇ~~~?」

「なんかすいません!!」


 悪役令嬢ことエステルの実家に寄生しているのに働きもしないので、ババチビルほど恐ろしい顔で怒られていたのであったとさ。


 これで本当に最後です。

 ですがぁぁ!

「悪役令嬢と手を組みます! by引きこもり皇子」のほうが、ちょっとだけ復活します。

 フィリップが大陸制覇しちゃいますよ~?

 そちらは明日から一日置きで更新しますので、お楽しみに~。

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