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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
二十章 最後まで夜遊び!!

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510/522

510 大誤算


 根城に押し掛けた千人規模の貴族を追い返したフィリップは、門を潜る。するとペトロネラが立ち塞がった。


「努力するだけですか……」


 フィリップが貴族に言い放った、「皇帝を説得する努力だけはする」では納得いかないのだ。


「ちょっと時間ちょうだい。考える。どうせしばらく馬車も出せないし。エントランスで待ってて」


 怒ったような顔をするペトロネラのお尻をムギュッと握ったフィリップは、根城の中に入って行くのであった。ペトロネラに手を叩き落とされていたけど……



 フィリップは根城の奥に進むと、カイサたちにはペトロネラたちにお茶を出すように指示をしたら、1人だけで地下牢に入って行った。


「クソッ! クソクソ! クソ~~~!!」


 誰にも声が届かない場所に来たフィリップは荒れ荒れ。頭を掻き毟り、地下牢の中をグルグル歩き回ってる。


「兄貴のヤツ、僕を騙しやがったな……デートじゃなくて、農奴の視察に行ってやがった!?」


 そう。数日前のフレドリクの帝都脱出は、農奴の現状を見に行くため。本当はフレドリクは前日にフィリップだけには教えようと思っていたけど、病気で寝てると聞いて、手紙には詳しく書けないから教えなかったのだ。

 つまりこの件を知らなかったのはフィリップにも非があるね。


「いや、農奴のこと教えたの、僕じゃね? や、やっちまった……」


 さらに罪はプラス。フィリップがお見合い旅行に出た時に、農奴を何度か助けたと報告したのもフレドリクの興味を引いた。

 ただ、財政改革の真っ只中で問題が多数降り掛かった上に、家臣からは何も問題ないと報告をされ、自分の目で確認しなくてはならなくなったからこれほど遅れてしまったのだ。


「いやいや聖女ちゃんなら遅かれ早かれやってたか。僕、悪くない」


 でも、責任転嫁。確かにその可能性はあったが、時間を加速させたのはフィリップだ。


「いやいやいやいや……聖女ちゃんの危険性はわかっていたんだから、何もせずに遊んでいた僕も悪い? さっさと皇帝の椅子を奪っておけば……」


 それでもフィリップはネガティブな考えが頭を(よぎ)る。これまでもフレドリクの奇行はあったのだから、太上皇を説得すれば蹴落とすこともできたのでは、と。


「嘘だろ~。ハーレムエンドは幸せに暮らすってなってたじゃ~ん。僕の異世界引きこもりライフが台無しじゃ~~~ん」


 結局は自分の心配。異世界スローライフは聞いたことがあるが、それよりも最低で自堕落な生活をフィリップは送り続けたかったらしく、嘆きに嘆くのであったとさ。



「あぁ~……クソッ」


 しばらく嘆いていたフィリップであったが、こんなことをしていても解決はしないので気持ちを切り替える。


「はぁ~……どうすっかな~?」


 フィリップはやる気なさげにこれからのことをダラダラ考えて答えを出すと、地下牢を出る。

 引きこもってからおよそ20分後にフィリップの顔を見たペトロネラとラーシュは駆け寄って問い詰めたが、フィリップは地下牢で話すと告げて2人だけを地下牢に連れて行った。


「正直に言うよ? 奴隷解放を阻止するのは無理だ」

「「なっ……」」

「話もせずに諦めるのですか!」

「殿下ならやりそうだと思っていましたよ!」

「待って待って! 落ち着いて最後まで聞いて! ラーシュはあとで殴る!!」


 フィリップが口を開くと全員興奮することになったが、落ち着かないことには話にならないので口を閉じた。ラーシュはまったく信じてなかったからの罰だ。


「2人も聖女ちゃんが絡んだら、お兄様が政策を曲げないの知ってるでしょ? それとも知らない??」

「「知っております……」」

「ね? 無理でしょ? だから、僕は時間稼ぎをする案を出す。できたら10年。最低1年でも伸ばせたら御の字だ。これがいまできる最善の手。違う??」

「「……」」


 ペトロネラとラーシュは顔を見合わせて同じことを思う。


「「殿下が賢いこと言ってる……」」

「知ってて頼んだんじゃないの?」


 確かに時間稼ぎしかいい方法は残されていない。そのことに気付いた2人は褒めるよりも、フィリップの賢い発言が不思議すぎて信じられないのであったとさ。



「「殿下……」」


 フィリップたちが地下牢から出ると、カイサとオーセは不安な顔で立っていた。


「馬車の準備はできてる?」

「「はい……」」

「じゃあ、出掛けて来る。2人は留守を頼むよ」

「「……」」

「ゴメンね。これは国の大事な話なの。2人には何も言えなくてゴメン。やるだけやって来るから、祈って待ってて」

「「はい。いってらっしゃいませ」」


 フィリップたちが馬車に乗り込むと、カイサとオーセは頭を下げて見送るのであった……


「ねえ? 私たち、ちゃんとプーちゃんを見送ったの初めてじゃない??」

「うん……初めてちゃんとした出発を見送ったね……」


 ただし、メイドになって初めて主人を見送った2人は、複雑な表情をしていたのであったとさ。



 フィリップは中央館に着くと、ペトロネラとラーシュをお供に廊下をズンズン進む。その姿を見た城で働く者は「ついに第二皇子がまともになった」と、期待の目を向けていた。

 執務室の前室に入ったフィリップはペトロネラたちには外で待機と言い渡し、さらに先に進もうとしたら執事が止めることもなくドアを開けようとした。


「おじいちゃん。手を貸しちゃダメだよ。これは全て僕の責任でやる。下がってて」

「は、はっ……」


 フィリップが優しく声を掛けると、執事は「ご立派になられて」と涙ぐみながら下がって行った。


「さあ、戦いの時だ」


 フィリップは小さく呟き、凛々しい顔でドアをバーンッと勢いよく開けた。気合い充分だ。


「うそ~ん……なんで全員いるんだよ~……」


 しかしそこには逆ハーレムメンバー勢揃い。フィリップは早くも凛々しい顔が負け顔になるのであった……


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