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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
二十章 最後まで夜遊び!!

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507 イケメン除去手術


 フレドリクの変装は、カイサとオーセの目すら騙せないのだから、珍しくフレドリクも肩を落とした。


「ここは僕の出番だね」


 顔もそうだが最大の原因はイケメンオーラ。フィリップは夜の街でそのオーラに群がり勝手に倒れて行く女性を何十人と見ていたので、その対応策の変装アイテムを持って来ていたのだ。


「プッ。ハゲヅラ、ウケる……」


 いや、このチャンスに完璧イケメンで遊び倒そうとネタアイテムを持って来やがった。


「「ワイルドでカッコイイ~」」

「どこが!?」


 でも、頭頂部だけハゲたカツラでは、カイサとオーセの目にはフレドリクがイケメンに見えるらしい。

 フィリップは「そういえば西洋人はハゲとか関係ないんだった」と反省したら、次は顔の下半分を隠せるヒゲ面にチャレンジだ。


「こんなに顔を隠したら誰かわからないですよ」

「いえ、カイサ。目を見て。このギャップはいいかも?」

「「カッコイイ~」」

「なんで!?」


 でも、2人はギャップ萌え。付き合って初めてヒゲを剃った時のことを妄想してキャピキャピ言ってるよ。

 目がダメなら、分厚いグルグル眼鏡。ハゲヅラ、ヒゲ面、平民服のフル装備によって、ついにフレドリクのイケメンオーラが消えた。


「正直、陛下にはこんな姿、お似合いになりません」

「殿下、これでは誰が誰だかわからないですよ」

「「それでいいのでは??」」

「「……あっ!?」」


 カイサとオーセ、目的を完全に忘れてた。これはフレドリクの変装を見破られないようにする審査会なのだから、皇族に同時ツッコミされた2人は土下座する勢いで謝るのであったとさ。



 とりあえずフレドリクの変装は決まったけど、フィリップはルイーゼの変装も心配。なのでルイーゼも呼んで審査しようと思ったら、ルイーゼは書斎に入るなり大笑いだ。


「フックン! もお~。誰かと思ったよ~。アハハハハ」


 だって、ハゲヅラグルグル眼鏡でヒゲボーボーのフレドリクが立っていたんだもん。


「フィリップ……もう少し普通の変装はできないか?」

「ええぇぇ~。これ以上、お兄様の姿を隠す変装はないよ~~~」


 でも、ルイーゼに笑われたくないフレドリクは、フィリップ案を却下。カイサとオーセも大反対するから、多数決で負けてしまった。

 ちなみにルイーゼはフィリップ案に一票入れてたよ。でも、ずっと笑っているから、フレドリクは初めてルイーゼに反対したのだ。好きな人にはカッコよく見られたいよね。


 ひとまずルイーゼの変装を見せてもらおうと着替えて来てもらったら、もっさい平民が登場。乙女ゲームではここから美しい女性に変身するストーリーだから必要なかったね。

 ここでフィリップは初めてルイーゼに見惚れる。元の世界で何百回と遊んだ乙女ゲームの回想シーンを見れたと感動したのだ。


「フィリップ……ルイーゼがどうしたのかな~?」

「へ??」

「見すぎだ……」

「わあ! 変装が上手すぎるから見惚れちゃったよ~」


 でも、ジックリ見たらフレドリクがオコ。慌てて言い訳をし、フレドリクの変装に力を入れるフィリップであった。



「う~ん……なんか貧乏男爵みたいになっちゃった」


 フレドリク最終形態は、平民が頑張って買ったような礼服っぽい服に、やや汚めの毛並みのカツラ、ボサボサのヒゲはそのままで、少し汚れた眼鏡で目力を削いだ姿だ。


「いいんじゃないですか? 平民でも手が届きそうですし」

「出世して身形がよくなっていけば……」

「「いいよね~??」」

「なんの話してんの?」


 でも、全てのイケメンオーラはカットできていない。カイサとオーセは結婚して内助の功で支えて行く未来を想像しているよ。


「ま、これなら平民も警戒しないと思うよ。ね?」

「うん! この服なら泥遊びで汚れても大丈夫だね」

「「「それはちょっと……」」」


 フィリップの質問にルイーゼは斜め上を行くトンでも回答だったので、フィリップだけじゃなくカイサとオーセも声を大にして違うと言いたい。


「まぁいずれにせよ、フィリップには助けられた。君たちも感謝する」

「いいよいいよ。僕も楽しかったしね」

「やはり私をオモチャにして遊んでいたな~?」

「わ~。ゴメンゴメ~ン」


 審査会の最後は、フィリップとフレドリクの中睦まじい兄弟喧嘩。ルイーゼは微笑ましくその光景を見守るのであった……


「陛下に感謝されちゃった……」

「一生の(ほま)れね……」


 オーセとカイサは、フレドリクスマイルが直撃して、しばらく金縛りにあっていたのであったとさ。



 それからフィリップは、モンスたちを呼んで来てくれと頼まれたから書斎に連れて来たけど、逆ハーレムメンバーだけで盛り上がり始めたから撤退。

 みんなルイーゼのもっさい服装を見て、幼い頃を想像してメロメロになってるんだもの。


 フィリップはフレドリクに帰る旨を伝えたけど聞いている雰囲気がなかったので、執事に言伝を頼んでフレドリク邸を脱出。

 まだフレドリクスマイルの余韻に浸っているカイサとオーセを馬車に積み込み、根城に帰って来た。


「それはそうと、陛下って、なんであんな格好してたの?」


 カイサは何か危険な匂いがしたから質問する気はなかったが、オーセは鼻が利かないからフィリップに聞いちゃった。


「お兄様から絶対に秘密にしろって言われたことなんだけど……2人ならいっか」

「ダメダメ。プーちゃんも簡単に喋らない!」

「えぇ~。いつも通り秘密にしたらいいだけでしょ~。カイサ、頭固くなったよね~?」

「じゃあ、オーセだけに教えるね。ゴニョゴニョ……」


 フィリップが耳打ちすると、オーセはキュンキュンし出した。


「え? ホントに? キャー!!」

「え? なになに? 何を言われたの?」

「カイサは聞きたくないんでしょ~?」

「意地悪しないでよ~。プーちゃ~ん」


 結局カイサも秘密を聞いてしまうのであった。


 フィリップは嘘の理由しか喋ってなかったけど……


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