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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
一章 帝都で夜遊び

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005 装備の確保


 部屋の前で待機する女騎士は、毎日違う者が現れるのでフィリップは品定めしつつ釘を刺す毎日。いちおう皇帝に言われたことは守っているようだけど、なんとかならないものかとも考えている。

 その前段階で仲良くなる手段を取り、フィリップは度々声を掛けていた。よっぽど、あんなことやそんなことをしたいのだろう。


「なるほどね~。そんな感じで兵士が城を守ってるんだな。この辺りが穴だな」


 いや、警備の穴等を聞き出していたみたいだ。城の見取り図をノートに取って配置を書き込んでいるから、真面目にやってるな。


「あとは武器とかマントが欲しいんだけどね~……明日にでも、武器庫にでも忍び込んでみるか」


 というわけで、フィリップは明日のことを思い浮かべ、ワクワクして眠るのであった。



「さあ! いっくぞ~!!」


 人々が寝静まった時間、フィリップは窓から身を乗り出し、氷で作った棒を掴んで滑り下りる。


「うお~~~。けっこう怖かった。氷だから摩擦係数が低いんだったな。もっと高い場所からなら、風魔法で減速は必要だな」


 思ったより落ちる速度が速かったので少しビビリながらも反省したら、フィリップは昨晩考えた道順を進み、身を隠しながら先を急ぐ。

 たまに巡回の兵士を見掛けるが、ほとんどは眠そうにしてたいした確認もせずに通り過ぎるので、「たるんどる!」とか思ってはいたけど報告するつもりはない。そのままのほうが脱出するのは楽だもん。


 思ったより簡単に武器庫に辿り着いたフィリップは、ドアノブを握ったけどそうは上手くいかないみたいだ。


「だよな~……鍵が掛かってるよな~……」


 残念ながら、危険物を置いている部屋なのだから最低限の防衛はしている模様。フィリップも諦めて、剣やマントが落ちていそうな場所を見て帰ろうかと考えた。


「いや、閃いた!」


 しかし、鍵穴を覗いたところでアイデアが思い浮かんだので試してみたら、簡単に扉が開く。


「フフン♪ 氷魔法、万能だな。ピッキングの道具いらずだ」


 そう。鍵穴の形に氷を作れば、鍵なんてあってないに等しい。フィリップはドヤ顔で武器庫に侵入したのであった。



「重っ……ソードってこんなに重いのか。兄貴は簡単に振ってたのにな~……まぁ、僕と違って小さい頃から、騎士から訓練受けているみたいだからレベル差もあるか。他に何かないかな?」


 装備できないソードを諦めて、ロウソクの明かりだけの暗い武器庫をゴソゴソと漁り、フィリップは細身のレイピアを試したけどこれも振り回されていた。しかしソードよりは扱いやすそうなのでキープ。

 結局はナイフぐらいしか装備可能な武器がなかったので、レイピアは肩に担ぎナイフは腰にベルトを巻いて持ち出すことにした。


「う~ん。けっこう重い。これで戦うのは厳しいな……あ、アイテムボックス。ダンジョンで手に入るんだった。それだけはなんとしても確保しなくちゃ。いや、ここにないかな?」


 無限に入るといってもいいぐらいのアイテムボックスは指輪型をしていたので探してはみたが、それらしい物は見付からないので諦めるしかなかった。


「残念。あとはマントを……デカイのばっかだな。最悪、切ったら行けるかな? おっ。これは小さいけど……」


 重ねて棚に入っていたマントは全滅みたいだったが、1枚だけあった黒いマントを広げてみたら小さかったけど問題がある。


「なんでフードは猫耳? 変な趣味のヤツでもいるのか? サイズ的にはちょうどいいんだけどな~……僕に似合わないだろ~」


 とか言いながら、これしか体に合う物はないのでフィリップは猫耳マントを羽織ってもう少し武器庫内をゴソゴソ。

 HPポーション3本、MPポーション3本、毒消しポーション1本を、棚に置いてあったショルダーバッグに入れて持ち去るのであった。



「フッフッフッ。あとはここを登ればミッションコンプリートだ」


 巡回の兵士を掻い潜り、なんとか自室の窓の下まで辿り着いたフィリップは変なテンションになってる。このドキドキ感が楽しかったっぽい。


「さっきの反省を踏まえて、こんな物を作ってみました」


 フィリップの作った物は窓の上まで伸びた氷の棒。一番上は壁にくっついており、一番下は地面にめり込み両足を乗せる突起物が付いている。


「テレレレッテレ~。1人用エレベーター」


 そう。ロッククライミングするより、氷魔法で足場の氷を操作したほうが楽だとフィリップは気付いたのだ。


「いえ~い! らっくち~ん」


 これならば足場に気を付けて登らなくてもいいので、フィリップは難なく自室に戻ったのであった。でも、出した氷の量が多くて証拠隠滅にはけっこう時間が掛かったので、もう少し考えてやればよかったと反省するのであった。



 長い棒を氷魔法で操作して大きな塊に変えたフィリップは、窓から出したところでせっせと熱を加えて溶かしたら、姿鏡の前に立った。


「いや、猫耳マント、めっちゃ似合ってるな……」


 似合わないと思っていたマントは、かわいいフィリップにピッタリ。そもそもフィリップというキャラは、乙女ゲームでは金髪クルクルパーマのショタ皇子として人気が高かったのだから、かわいい物が似合わないわけがないのだ。


「この姿って……もう完成されてるんじゃね? ここから成長しないのか~~~」


 そのことを忘れ、いまの姿が完成形だと悟ったフィリップは、一生この姿なのかと悲しくなるのであったとさ。


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