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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
二十章 最後まで夜遊び!!

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491 騎士団長の説得


 カイとイデオン騎士団長の決闘を止めたフィリップは、太上皇を出してイデオン騎士団長の溜飲を下げた。それだけではまだ騎士団長謀反の解決に至らないので、フィリップは説得を続ける。


「確かにお兄様のやり方は、ちょっと性急すぎるよ。でも、よく考えてみて。帝国にこんなに兵士は必要なの?」

「……必要だと思います。他国に弱味は見せられませんので」

「わからないか~……じゃあ、これは?」


 イデオン騎士団長は馬鹿ではないし、長年続けていたやり方が一番正しいと思っているタイプなので、フィリップは違う角度から攻める。


「いまの帝国のスタイルって、貴族が兵士を雇って食わしてるじゃない? んで、侵攻するか他国が攻め込んで来たら、貴族を招集して兵を送るでしょ?」

「はい。それが帝国の強みです」

「そうかな~? そんなことしなくても、最初から国境近くに他国の倍の兵士を置いておいたらいいじゃない? それで逃げ帰るよ」

「それだと突破された場合はどうするのですか? 民は誰にも守ってもらえず蹂躙されますよ」

「そんなの間に合わなければ同じことじゃない。貴族ってヤツは、ちんたらするの好きでしょ」


 2人は熱い戦争論に発展。イデオン騎士団長はこれまでの戦法が正しいと語るが、歴史で習った戦争、近代戦争、漫画で読んだ戦争を知っているフィリップは全てを論破だ。

 その議論の中に、フィリップは貴族批判を混ぜるので、イデオン騎士団長も貴族が兵士を持つことが正しいとは言えなくなって来た。


「そもそも貴族が兵士を自由に使えるのって、危ないじゃない? 隣と喧嘩したり皇家に牙を剥くことだってできちゃうよ」

「まぁ……歴史上、そういったことは繰り返されていますね……」

「でしょ? だからお兄様は、軍を皇家に一極集中させようとしてるんじゃないかな? いまはその過程だよ」

「なるほど……しかし……」


 フィリップの言い分はわかるみたいだが、イデオン騎士団長はまだ伝統的なやり方を崩せない。


「長年続けたやり方だもんね~。変えるのは大変だ。でも、お兄様ならやり遂げられるよ。いまは我慢の時……いまさえ乗り越えられたら、あとはバラ色の未来だ。軍に使っていたお金をインフラに注ぎ込み、帝国初の超好景気がやって来るんだよ~!」


 ならば、その先の未来を想像させて、伝統なんて掻き消す。フィリップは立ち上がり、拳を突き上げた。


「しかし……」


 でも、騎士団長は乗って来ない。


「しかしですね。皇帝陛下からそんな話はひとつも聞いたことがありません。皇后陛下の意向としか答えが返って来なかったのです。本当にそんなことを考えているのでしょうか?」


 だって、フィリップは嘘と話術で騙そうとしてたんだもの。


「また聖女ちゃん案件かよ……」


 フィリップもルイーゼが関わっていると聞いて、苦虫を噛み潰したよ。


「ま、まぁ、謀反なんてやめときな。いま死ぬのはもったいないって。父上も悲しむし」


 だが、そんな顔をしている場合ではない。パッと顔を明るくし、一番効果のあった太上皇で謀反を阻止だ。

 しかし疑念が復活してしまったイデオン騎士団長は唸りながら腕を組み、たまにフィリップをチラッと見てる。「こいつを信じていいのか? バカだぞ?」という心の声が聞こえて来そうだ。



 フィリップがチラッと見られる度に「どっちだ?」と思っていたら、7度目にイデオン騎士団長も答えが出た。


「仮に殿下の考えが正しいとしても、それでも私はいま苦しむ部下を救いたい。謀反の罰も受けましょう。今回の件、目を瞑っていてください」


 説得は失敗。騎士団長はやる気だ。


「もう! さっき命を助けてやったのに~! 命の恩人の言うこと聞けないの!?」


 なのでフィリップはプンプンだ。子供みたいに地団駄も踏んでるから、さっきまでの賢い発言も台無しだ。


「命を助ける?」

「カイに殺されるところだったじゃん」

「私が? 息子に? ありえませんね」

「本当はわかってんだろ? カイが本気を出してなかったことも。あの時、僕が止めなかったら絶対死んでたね」

「そ、そんなことありません!!」

「ほら~? 言い淀んだ~。あ、謀反は失敗するとわかってたから、息子に斬り殺されて自分のチンケな誇りを守ろうとしたんだ。ちっちぇ~」


 フィリップが作戦を変えて煽りまくると、イデオン騎士団長は怒りのあまり立ち上がった。


「剣もまともに振れない殿下に何がわかると言うのですか! 勝手に我々の決闘を決着させないでいただきたい!!」

「それがわかるんだな~……」


 フィリップは耳をほじり、その指にフッと息を吹き掛けた。


「消っ……ガハッ!?」


 次の瞬間には、フィリップはイデオン騎士団長の目の前から消え、鎧の前部の隙間を掴んでそのまま前に力尽くで引き倒した。


「な、なんだこの力は……」

「喋るな! 舌噛むぞ! 頭守っとけ!!」

「ぐっ。うう!?」


 次は鎧の首の部分を掴んで、イデオン騎士団長を放り投げる。騎士団長は凄まじい速度で地面を平行に飛び、ドーンッと大きな音を出して壁にめり込んだ。


「ど、どうなってるんだ……」


 フィリップが忠告してくれていたから、後頭部をしっかり守り切ったイデオン騎士団長。ただし、混乱で思考はままならない。


「頭が高い……」

「ぐっ……」


 そこにフィリップがいきなり登場。イデオン騎士団長はまた鎧を掴まれ、壁から引っこ抜かれると床に押し付けられた。


「と、このように、僕って超強いんだよね~? ニヒヒ」


 ここでフィリップのシリアス顔は解除。そんな子供っぽく笑うフィリップを、化け物を見る目で見上げるしかできないイデオン騎士団長であった……


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