484 フレドリクの相談
フィリップが帝国のことよりも自分のお小遣いの心配をしていたので、さすがのステファンも信頼が揺らぐ。フィリップはからかってるだけなのにね。
しかしこれはチャンス。この際、フィリップはステファンの信仰心を完全に取り払いたい。気持ち悪いもん。
「お小遣いがないと、メイド喫茶にも行けないじゃない? お前がしょっちゅう通ってるの聞いてるよ~??」
「うっ……あんなに楽しい空間は初めてだったので……」
「プププ。堅物はツンデレに弱いのか。でも、遊び方には気を付けなよ? あそこはただのカフェだから。過度な性的な要求は出禁になるからね」
「どこまで知っているのですか!?」
そりゃフィリップはオーナーみたいなモノだから、ステファンの性癖は全て知ってる。なので、その先ができる娼館を紹介して帰って行くのであった。
ステファンはその娼館にもハマってしまい、フィリップの信仰心はアップしたらしいけど……
ちなみにヨーセフの宰相就任で怒りを持った貴族のことを聞いてはみたけど、フィリップは貴族の名前をほぼ知らないので聞いた意味がなかったらしいけど……
フィリップが昼型で生活してカイサとオーセとマッサージしていたけど、そろそろ夜の街が恋しくなったので夜型に戻そう思ったら、手紙が届いたので我慢。
その日は家臣勢揃いで、玄関で出迎える。
「お兄様、お待ちしておりました」
「ああ。楽にしてくれ」
フレドリクの来訪だ。先にフレドリクが馬車から降りて来たのでフィリップは「いったいいつになったらルイーゼは先に降りるんだ」と呆れてた。カイサとオーセにも「いつになったらキュンキュンしなくなるんだ」と呆れてる。
手紙では軽いお茶会とは聞いていたが、何やら相談があるらしいのでエントランスではなく2階の自室にご案内。でも、人数が多いからフレドリク付きの従者も護衛も立ち入り禁止だ。
その中にコニーがいたけど、フィリップは気付いてない。コニーはリネーアから聞いていた、画期的なリビングをやっと見ることができると喜んでいたから肩を落としていたよ。
リビングのソファーに座ると、フレドリクはフィリップの体調から話し始め、ルイーゼがお茶を飲む音はうるさい。
そこそこ話し込んだら、フレドリクはカイサとオーセを2秒ほど見詰めたので、2人は息が止まった。超イケメンの目は、合っただけで死の危険があるみたいだ。
フィリップはその目の意味にすぐ気付いたから、カイサたちを自室に押し込む。「外せ」という合図だとも教えたけど、心ここにあらずだから聞いてないね。
フレドリクを待たせるワケにもいかないので、フィリップはすぐに戻って2人のことを謝罪していた。
「それで~……相談って、なんなの?」
カイサたちに聞かれたくないということは、そういうことだとフィリップから切り出してあげた。
「いまの帝国の状況はなんとなくだがわかっているか?」
「まぁ……うっすらとは聞いてるよ。詳しいことまではわからないけどね」
「それだけわかっているなら充分だ」
フィリップは「ついに来ちゃった~」と思ったけど、表情は崩さない。馬鹿皇子っぽくとぼけた演技をしてるから、崩れてるけど……
「昨今の帝国では、緊縮財政を行っている。それは皇家も同じだ。だからフィリップに支払っている生活費もそれに習って減らしたいのだ」
「それって……いくらぐらい?」
「急な提案だから、今年は2割減にしようと思う。すまないが、それで納得してくれ」
フレドリクは頭を下げはしないが、申し訳のない顔をしてフィリップの答えを待つ。
「あ、そんだけ? 2割と言わず、半分減らしてくれていいのに~」
「いや……そんなに減らしたらフィリップが困るだろ?」
「ぜんぜん。使わないもん。ちょっと待っててね。帳簿、帳簿っと」
驚くフレドリクを他所に、フィリップはチョコマカ走って帳簿を持って来て見せる。ちなみに裏帳簿と裏金は、もしものことがあるからアイテムボックスに入れて隠蔽だ。
「本当に使ってないな……年間の支払いの3割以下か……」
「ね? ずっと貰い過ぎだと思ってたんだよね~。余りまくってるから、それも持ってく?」
「いや、それは取っておけ。お見合いも組んであるからな」
「はい?」
「今度のお見合い相手は、間違いなくフィリップに相応しい女性だぞ? きっとフィリップも気に入るはずだ。余ったお金は結婚資金に使ったらいい」
「えぇ~……聞いてないよ~~~」
お金の話だけかと思ったのに、お見合い話まで持って来たのだから、フィリップも超嫌そうな顔になっちゃった。フレドリクはフィリップの病気が悪化しないうちに、懸案事項をまとめて持って来たみたいだ。
「そう言わず、会ってやってくれ。遠いところから出て来てくれたんだぞ? 明日な」
「早い!?」
「あと、カイがフィリップの騎士をくれって」
「足さないで!?」
「じゃあ、私は忙しいから帰るな」
「待って~~~!!」
フレドリク、フィリップの返事を聞かずに颯爽と逃走。フィリップのことだからゴネると思って、用件だけ告げる作戦に出たのであった。
「フィリップ君。フックンがゴメンね?」
「お姉様を置いてくな~~~!!」
部屋のドアが外から押さえ付けられて開かなかったからトボトボとリビングに戻ったら、ルイーゼが普通に座っていたので、フィリップはバルコニーから叫ぶのであったとさ。




