479 悲しい現実
ボエルは相談したら気分晴れ晴れで帰って行ったので、フィリップたちは護衛騎士に話を聞きに行ったら予想通り。メイドカフェのことを根掘り葉掘り聞いてから帰ったんだって。
こんなに早く答えがわかったのでいつもの生活に戻ったら、ボエルが興奮してメイドカフェの報告をしに来たので、フィリップたちは「知ってる~」と指を差して笑ってた。
相も変わらずフィリップが夜だけ忙しくし、貴族用に作っていた高級メイドカフェと執事カフェが開店したら、執事カフェにはカイサとオーセを送り込む。
「これは男がハマるワケだ。ジュルッ」
「いい男のお姫様対応は、ええの~」
「う、うん。楽しかったんだね……」
店から出たらオッサンみたいになったので、フィリップは後悔。普段2人は、触れもできないイケメンが多い職場で働いていたから、相当溜まっていたみたいだ。
これは紹介したのは失敗だったと思っていたフィリップであったが、執事カフェも並ばなくては入れない大盛況になったので、2人も足が遠のいてくれたのであったとさ。
フィリップがメイドカフェ等を作ったのは、ステファンとの密会場所を確保するため。なのにどこも準貴族や貴族で溢れてしまったので、入るに入れない。
仕方がないので懇意にしていた薬屋に大金を押し付けて、2階の隠し部屋を借りて密談だ。フィリップは「最初からここを借りればよかった」と悔やんでた。忙しく働いたもん。
店主のキムは「この人、いきなり来なくなったと思ったら部屋を貸せって……うち、薬屋なんだけど~?」と店員に愚痴ってたんだとか。
あと「避妊薬のこと、もういいのかな?」と、忘れてることをラッキーと思ったんだとか……まだできてないんだね。ちなみに薬屋は国に認められた機関になったから、普通に看板を掲げて1階で薬を販売してるよ。
そうこうしていたら、そろそろ年末。カイサたちはフレドリクから早く礼服を作るように言われていると伝えたらフィリップは昼型になったので、「確実に仮病やん!」ってツッコンでた。
「うっ……ううぅぅ……ううううぅぅ……」
「で、殿下。元気出して。ね?」
「泣かないで。ね?」
「うわああぁぁ~~~~ん」
でも、身体測定をしたらフィリップの身長が18歳で止まっていたから、ツッコンでいる場合ではない。ずっと床に手を突いて泣いてるもん。
ちなみにフィリップの身長は142センチで確定。カイサ145センチ、オーセ144センチで順位も確定してしまったから、こんなに大泣きしているのだ。
「殿下。もう帰りましょ?」
「はい。立って。ね?」
「ううぅぅ……」
こうしてフィリップは、2人の肩を借りて泣きながら家路に就くのであった……
「「「「「ブハッ!」」」」」
「「「「「アハハハハハハ」」」」」
「「「「「ワハハハハハハ」」」」」
その話はあっという間に城の中を駆け巡り、貴族は涙を流しながら笑ったそうな……
フィリップが泣きながら帰ったことは大事件。フレドリクが訪ねて何があったと聞いてもフィリップは布団を被って出て来ない。
なのでカイサたちに聞いたら「そんなことで……プッ」と笑ったそうだ。フィリップはまた大泣きしました。
フレドリクは忙しいなか来ていたので、フィリップを半笑いで慰めたらすぐに帰って行った。もう限界だったのかもしれない。笑いを堪えることが……
その翌日、カイサとオーセが目覚めると一緒に寝ていたはずのフィリップの姿がなかったから、まさかのことを想像して飛び起きた。
「背が低いからって……」
「そんな面白い死に方しないよね? プッ」
「オーセ! 笑ってる場合じゃない……フフフ」
「カイサだって笑ってるじゃ~ん」
「「キャハハハハハハ」」
でも、捜したいけど動き出しが鈍い2人。自殺の理由としては面白すぎるもん。2人はやっと笑いが止まったら、バルコニーに出て下を見たけどフィリップの死体は見付からず。
それにはホッとしてリビングのソファーの裏や下、アイランドキッチンの収納扉まで開けて捜したがどこにもいない。フィリップはゴキブリじゃないぞ?
外に行ったのかと部屋の入口に向かったら、フィリップはそこでゴソゴソ何かをやっていた。
「プーちゃん。おはよう」
「おはよ~」
カイサとオーセはゆっくりと近付くと、いつものように挨拶をして身長の件には触れない。思い出したら笑ってしまうもん。
「あ、2人とも、おはよう」
フィリップは振り向いたら笑顔だっので、2人はもう吹っ切れたんだと感じた。
「こんなに朝早くから何してるの?」
「いや~……靴底の厚さを測ってたの」
「「靴底の厚さ??」」
「うん。測ってみたら、だいたい3センチぐらいあるんだよね。僕の身長が142センチでしょ? 足したら145センチ。四捨五入すると150センチになるの。もうこれ、150センチで公式発表していいよね?」
「「う、うん。そうだね……」」
悲しい現実逃避。フィリップは嵩上げを2回してまで自分を大きく見せようとするのだから、カイサとオーセは涙を堪えて肯定するしかできないのであった。
靴を履いて四捨五入してもギリギリだから哀れ過ぎるんだもの……




