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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
二章 学校で夜遊び

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047 雑な模擬試合


「フッ……なかなかやるな」


 侯爵家のレンナルトが防御しただけで木剣を手放してしまったフィリップは、まだかっこつけながら木剣を拾った。


「えっと……まだやるんですか?」


 ボコられた仕返しに模擬試合を提案したレンナルトも、戦意喪失。一方的にやってしまうと、帝国が怒ってしまわないかと危惧しているのだ。


「当たり前だろ。次は貴様の剣を見せてみよ!」

「はあ……行きますよ?」

「あうっ……」


 ここまでノリノリで言われてしまうとレンナルトも引くに引けない。フィリップに怪我させないように、木剣だけを狙って叩き落とした。


「フッ……なかなかやるな」

「それ、さっきも聞いたんですけど……」

「ここからは本気を出してやろうじゃないか!」

「本気を出したところで……すみません。行きますよ?」


 それでもフィリップがかっこつけるのでレンナルトは止めようとしたが、フィリップに睨まれる。なのでレンナルトは謝罪してから、また木剣を叩き落とそうと狙った。


「フッ……この僕に、二度も同じ攻撃が通じると思うな!」

「ちょっと引いただけじゃないですか……」

「そろそろ貴様も本気を出してはどうだ! この臆病者め!!」

「別にいいですけど……木剣でも、当たったら痛いですからね?」

「さっさとしろ!!」

「では……」

「ぎゃああぁぁ~~~!!」


 レンナルトがちょっと素早く木剣を振っただけで、フィリップは無様な声を出しながら大きく避けた。


「フッ……止まって見えたわ。小童め!!」

「必死で避けてましたよね?」

「まだまだ余裕だ!!」

「では……」

「ぎゃああぁぁ~!!」


 レンナルトが剣を振る度にフィリップは無様に避けるので、レンナルトも熱くなって鋭い振りになって来た。


「なんで当たらないんだ!?」


 でも、フィリップにはかすりもせず。


「フッ……どのへんが剣には自信があるのかな~?」

「これだ!」

「ぎゃああぁぁ~!!」

「『ぎゃ~!』って言ってるだろ! 騎士が逃げるな!!」


 ここからは、フィリップは相手に背を向けて逃走。レンナルトも追い回すが、一向に木剣はフィリップには届かない。


「殿下~! 無様な姿を見せるなら、もう降参してくださ~~~い!!」


 それを見たラーシュは、フィリップが怪我するより恥ずかしさが勝る。こんな無様な試合なんてありえないもん。



 そんな感じでフィリップが舞台を大きく使って逃げ回っていたら、レンナルトも頭を使い出した。フェイントを入れつつフィリップを端に追い込み、逃げた方向から木剣を横に振った。


「セーフ! アハハ。おしかったね~。アハハハハハハ」


 しかし、フィリップは木剣の下をリンボーダンズのようにのけ反って滑り込んでかわし、逃げてった。


「クソっ! 騎士なら正々堂々戦え~~~!!」


 ここまで馬鹿にされてはレンナルトもキレて木剣を振り続けるのであった……



「そろそろかな?」


 レンナルトに限界が来たと感じたフィリップは、自分からレンナルトの元へ歩いて行った。


「アハハ。これなら僕でも倒せそうだ。いっくよ~?」


 フィリップが待っていたのは、相手のスタミナ切れ。ここぞとばかりに木剣を大きく振った。


「ナメるな!!」

「ぎゃああぁぁ~!!」


 でも、カウンターで斬られて倒れる……いや、フィリップはギリギリかわして倒れ込み、頬杖をついて寝転んだ。


「参った! 僕の負けだ」

「なっ……」

「「「「「わああああ」」」」」


 ようやく決着が付いたと生徒たちは湧き上がったが、木剣に当たった感触もなかったレンナルトは悔しそうな顔をしている。


「勝利を譲られて私が喜ぶとでも……」

「なんのこと?」

「騎士なら騎士らしく、正々堂々戦えと言ってるんだ!!」


 そんな中、レンナルトが悔しそうに怒鳴るので、辺りは静まり返った。


「よっと。なに勘違いしてるの?」


 フィリップは立ち上がると、冷めた目で見る。


「僕は皇族。騎士じゃないよ?」

「剣を持ったら誰でも騎士だ!!」

「変な理屈だね~……僕は上に立つ者だから、騎士を使う立場なの。こんなふうにね……ダグマー!!」

「はっ!」


 フィリップが呼ぶだけで、ダグマーが風のように現れて前に立った。


「まだやりたいみたいだから相手してあげて」

「どの程度痛め付けたらよろしいでしょうか?」

「攻撃なんてしなくても、殺気だけでいいんじゃない?」

(うけたまわ)りました」


 2人のやり取りに、レンナルトは納得せずに怒鳴る。


「汚いぞ! 大人を頼るなんて!!」

「だって皇族だも~ん。自分の手を汚すわけないじゃん。それより、気をしっかり持つんだよ~?」

「何が攻撃しなくて倒せるだ!!」

「やっちゃって」

「はっ!!」


 フィリップの合図で、ダグマーはとんでもない殺気を放った。


「あらら。漏らしちゃった」


 それだけで、レンナルトは尻餅を突いて失禁。周りの生徒も震えている。


「いい運動になったよ。ありがとね~」


 それと同時にチャイムが鳴り響いたので、フィリップはダグマーを連れて立ち去るのであった……



「ところで殿下……」


 更衣室に向かっていたらダグマーから質問が来た。


「ん?」

「何がやりたかったのですか?」

「暇潰し~。彼には悪いことしちゃったね」


 フィリップはこんなことを言っているが、実はレンナルトの剣を盗もうとしていた。ただ、人の目があるし、普通に戦ってしまっては隠れて見ていたダグマーに実力がバレてしまう。

 なので無様な姿を演じながらレンナルトの剣を見ていたけど、フレドリクよりかなり劣るから、からかうことに終始したのだ。


「それにしても、殿下はあんなに動けたのですね」

「当たったら痛そうだったから、必死だっただけだよ」

「そのわりには息も乱れてませんよ? これなら自室に戻るのも1人で出来るのでは??」

「はぁはぁ……今ごろ来た~。はぁはぁ……」

「遅すぎます」


 でも、スタミナがあることはバレてしまったフィリップであったとさ。


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