462 一難去って……
カイに誘拐されて筋トレを強要されたフィリップは、仕返し。フレドリクに抱きつきカイの蛮行を伝えたら、説教タイムに発展だ。
するとフィリップはフレドリクからツーっとゆっくり離れて、オーセとカイサの間に立った。
「プププ……ざまぁみろだよね~?」
「さっきまで泣いてたのに……」
「嘘泣き……また騙された……」
2人はかわいそうだと思っていたのに、フィリップがニヤニヤ笑っていたのでそんな気分は吹き飛んだ。フレドリクが振り向いたら泣いたフリするからなおさらだ。
「フィリップ。すまなかったな。行き違いがあったみたいだ。治療費と修理費は、カイに支払わせる。許してやってくれないか?」
「うう……僕への慰謝料は?」
「そうだな。支払う時に2割増しで渡すよ」
「それなら……もう僕に近付かない約束もあると有り難いかな~?」
「それはちょっと……」
「ええぇぇ~。怖いぃぃ~~~」
これからフィリップの体力アップがあるから、これだけは約束できないフレドリク。モンスに回復魔法を使わせたら、忙しいからと帰って行くフレドリクであった。
「はぁ~……しんど」
フレドリクがいなくなると、フィリップは訓練が見やすいベンチに皆で移動して腰掛けた。
「いや~。いきなり殿下が現れたから焦った~」
オーセたち以外にも、ボエルを連れて来たフィリップ。その理由は苦情っぽいから、ボエルは先手を取ったと思われる。
「焦ったのはこっちだよ。ボエルに助けを求めたのにいないんだからね」
「オレじゃカイ様を止められないんだから仕方ねぇだろ」
「止められなくてもいいんだよ。時間稼ぎだけしてくれたら……」
「そう思って陛下を呼びに行ったんだよ!」
フィリップがボエルをカイの生け贄にした前科があるから、クマなりに頭を使ったんだね。
「ま、助かったよ。ありがとね」
「なんだよ急に……気持ち悪いな……」
「お礼言ってるだけでしょ~。あわよくば僕の盾になってくれたら助かるけど……」
「やっぱりじゃねぇか! オレはカイ様の部下だから止められないからな!!」
「えぇ~。僕、ここにボエルしか知り合いいないの~~~」
「いるだろ?」
フィリップはまったくわからないと首を傾げるから、ボエルはまたかと頭を押さえた。
「モブ君! リネーアと結婚したコニーだよ!!」
「あっ! ……ここにいたの??」
「アソコにいるだろ! なんだったら気付いてもらおうと、殿下の目の前から動かないぞ!」
「あのすっげぇモブっぽいヤツか……次は忘れないように覚えておこう。カイと戦わせたら、ちょっとぐらい持ちそう??」
「1人じゃ瞬殺だ。忘れてやれ」
せっかくフィリップが思い出したけど、生け贄ではかわいそう過ぎる。ボエルは忘れていたほうが幸せだと意見を変えてしまうのであったとさ。
カイにしごかれた翌日のフィリップは、筋肉痛で動けないとか言って、オーセとカイサに全介護してもらう。マッサージまで全自動だ。
「普通に歩いてるじゃない!?」
「だって、トイレは恥ずかしいし……」
「また騙された!!」
いや、まったく筋肉痛にはなっていない。レベル99だもん。全て演技だ。
そのせいで2人がヘソを曲げてしまったので、スウィーツを多く発注してマッサージは丁寧に。翌日には完全に機嫌は良くなっていた。
「ヤローども! 会議するぞ!!」
「「「「「はっ!」」」」」
庭に出てフィリップが大声で呼ぶと、夜勤以外の護衛騎士が走って来て整列する。初めての会議だから、顔も精悍だ。
「議題は、カイのバカをどうやって殺すかね」
「「「「「ええぇぇ~……」」」」」
でも、カイの名前が出た時点で情けない顔になっちゃった。
「えっと……本当に殺すのですか?」
「そこは言葉の綾。追い返すことができたら成功かな? 再起不能にできたら万々歳だけど」
「お言葉ですが、カイ様の実力は我々を凌駕しています。我々では返り討ちにあうと思われます」
「なに一回やられたぐらいで諦めてんのよ。だから会議してんだろ? とりあえず、戦った感想を言い合って、カイの弱点を探そう。わかった?」
「「「「「はっ!」」」」」
自信を無くしていた護衛騎士を焚き付けたら、真面目な会議。オーセとカイサには黒板に書き出してもらい、会議は白熱するのであった。
「「「「「穴がない……」」」」」
会議をした結果、カイは無敵。護衛騎士は余計落ち込んじゃったよ。
「接近戦はでしょ~。遠距離はどうなるか調べてもいないじゃない?」
「「「「「あっ!」」」」」
「次回は、前衛2人に盾を持たせて防御に徹してみようか。残りは上から石をぶつけてやれ」
「「「「「おお~……勝てるかも?」」」」」
ここは護衛騎士のホーム。地の利を活かせば突破口が見えると、護衛騎士はカイ対策の訓練に明け暮れるのであった。
「ねえ? カイ様って、皇家を守る騎士様よね??」
「うん。味方を倒す訓練って……」
「「いいのかな~??」」
それを見ていたカイサとオーセは、いらんことに気付いちゃうのであったとさ。




