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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
十九章 おめでたい話があっても夜遊び

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455 リネーアの結婚式


 3月の後半……めっきり暖かくなり、花のつぼみが次々と開き、お城の中は明るくなっていたけど、フィリップの根城はどんよりとした空気が流れていた。


「ボエル……休日は、自分の宿舎で休んでくんない? 空気悪くなるから」

「そんな冷たいこと言うなよ~。オレと殿下の仲だろ~」

「皇子と家臣だよ。忘れないで?」

「悪友だろ~~~」


 どうやらボエル、彼女が里帰りしているから休日は寂しいからってフィリップの根城に来ている模様。寂しさの理由には、里帰りしたら気持ちが変わるかも知れないから怖いんだって。


「主人の親に挨拶しに行くだけでしょ? すぐ戻って来るって」

「男爵様に反対されたらどうしよう?」

「知らないよ~」

「権力使ってくれよ~」

「それ、友達が言うセリフじゃないよ?」


 ついでに長年お世話になったアクセーン男爵にも辞める挨拶をして来るらしい。だから余計怖いんだって。


「紹介状書いてやるから、娼館行って来い」

「えぇ~。浮気になるだろ~」

「喜んで行ってたじゃん。あ、カイサとオーセに頼んであげよっか?」

「もっと浮気になるだろ!?」

「面倒くさいな~~~」


 ボエルがうっとうしいので、フィリップは話題を変える。


「そういえば、ボエルの所にもリネーア嬢の招待状届いた?」

「オレは直接モブ君から渡された。あの2人、来月には結婚か~。いいな~」

「どうなるんだろうね。ネラさんも6月に結婚を控えてるから、僕も忙しくなりそうだよ」


 フィリップが今後の予定を告げると、ボエルはキョトンとした顔になる。


「ペトロネラ様、結婚するのか?」

「知らないの? あ、歳だから恥ずかしいって、身内だけのこじんまりした式にするからか」

「接触ないから知らなかった! オレもお世話になったから、出席したいんだけど……」

「僕が連れてってやるよ。でも、たぶんだけど、めちゃくちゃ高位の人しか出席しないから、ボエルは浮いちゃうかも?」

「うっ……どうしよう??」


 ペトロネラは公爵家の生まれ。必然的に付き合いのある人間は位が高くなるので、騎士爵程度では低すぎる。でも、フィリップだってクソガキに見えて浮くだろうと、ボエルも出席することに決めたのであった。



 それからもフィリップは仮病を使いつつ夜遊びと結婚式の準備を調整して行っていたら、ついにリネーアとコニーの結婚式となった。

 場所は、まずは神殿から。神官が執り行う厳かな儀式を、出席者は微笑みながら見ている。


 出席者は両家の親族と同僚が多数。両家の場合は同じ子爵家だから妙に親近感があるそうだ。

 同僚が多い理由は、2人は帝都学院時代にできた友達が少ないから。結婚すると聞いた同窓生は慌てて擦り寄って来たけど笑顔でお断りしたんだとか。


 何故同窓生が擦り寄って来たかというと、皇帝夫婦と第二皇子の帝国トップ3が出席すると聞いたから。

 フレドリクは、同級生でダンジョン制覇を手伝い近衛騎士になったコニーとは近しい仲となったから。フィリップはリネーアと親密にして、コニーとも親交があったから出席しているのだ。


 当然両家の親族は大盛り上がり。結婚式が続く中、両家の親族はハンカチを目に当て、新郎新婦よりフレドリク夫婦とフィリップばかりチラチラ見ていた。子爵家だから皇族のほうが気になるのね……


 ちなみに家名は、どちらも家督を継げないから新しい家名を必死に考えて、モルダース男爵家と決めていた。

 フィリップが適当に言った「モブ家」の一文字は残したらしいけど、フィリップに伝えたら「そんなこと言ったっけ?」と忘れてたんだって。



 披露宴は場所を城の中にある会場に変えて、パーティー。フィリップが手配しようとしたら、すでにフレドリクが場所を取ってくれていたそうだ。

 ここで行われることは、食事やダンスもあるが、メインは出席者の祝辞。フレドリクの出番の時には、割れんばかりの拍手が起こったので「主役は新郎新婦だろ」とフィリップは思ってた。


 フィリップもいちおう祝辞を述べたが、順番がフレドリクの後だったので超手抜き。2人に「おめでとう。幸せにね」と声を掛けただけで引っ込んだ。

 あとはご歓談。最初はフレドリクに人が群がっていたけど、「主役は新郎新婦だから」と追い払ったので、出席者は食事やダンスをしながらチラチラ見ていた。


「フィリップ殿下。少々よろしいでしょうか?」


 フィリップが食事をしながらフレドリクと喋っていたら、リネーアとコニーがやって来た。もちろん2人はフレドリク夫婦に先に挨拶してたよ。


「う~ん? どったの??」

「今日の私たちがあるのは、全て殿下のおかげです。本当にありがとうございました。うっ……うう……」

「ちょっと~。幸せ絶頂の新婦が泣かないでよ~」

「ボクからも感謝させてください。リネーアを助けてくださり、近衛騎士に推薦してくださり、本当にありがとうございました。必ずリネーアを幸せにします。グスッ」

「コニーも泣かないの。涙は両親への感謝まで取っておきな」

「初めて名前を呼ばれました~! うわああぁぁ~ん!!」

「号泣!?」


 フィリップが名を呼んだだけで、コニーは男泣き。そのせいでリネーアの涙は引っ込んで笑顔に変わった。


「まぁなんだ……さっきの祝辞は短かったけど、僕は本当に2人を祝福しているよ。末永く仲良くね。あ、離縁したくなったら、僕のことは気にしないで。幸せの形なんて人それぞれだからね……って、こんなめでたい場でする話じゃなかった。ゴメンね」

「いえ。私たちの未来まで心配してくれて、本当にありがとうございます」

「殿下に心配されないように、何か起きましたら2人で相談して乗り越えて行きます」


 フィリップから本当の祝福された2人は、仲睦まじく席に戻って行く。そんな2人をフィリップだけじゃなくフレドリクも微笑ましく見ていた。


「フフフ。フィリップは意外と世話焼きだったんだな」

「乗り掛かった船ってだけだよ」

「それだけではあんなに感謝はしないだろう。よくやったな。エライぞ~?」

「もう~。頭撫でないでよ~」


 フレドリク、フィリップの意外な一面を見て嬉しくなる。そのフィリップは、フレドリクの撫でる手が一向に止まらないので、「これ、お父さんみたいに永遠に続くんじゃないよな?」と少し怖くなるのであった……


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