454 苦手な物と好きな物
フィリップがカツラを取って第二皇子と暴露したからには、カロラの両親はフリーズ。帝国ナンバー2と一緒に食事を食べていたのだから、驚き過ぎて戻しそうだ。
「あの、こんなこと言うとアレなんですけど、第二皇子殿下といえば、酷い噂しか聞かないのですが……」
「いや、殿下は弱者にはすっごく優しいんです! オレみたいな人間も見捨てず助けてくれたんですよ? 他にも暴力を受けてた子も助けたり……いっぱいです!!」
ただし、第二皇子の名を出したのは失敗かも? 両親の顔に「騙された?」っ書いていたから、ボエルが必死にフォローするのであったとさ。
そんなことになっているかもしれないとうっすら笑うフィリップは、馬車の中でカイサたちに「正体明かすのマズかったんじゃない?」とか言われて帰宅。
ボエルが夜に根城を訪ねたら答え合わせ。やはり疑いを招いたと聞いて、フィリップは大笑い。ボエルたちは激怒だ。
しかし、第二皇子公認の結婚だ。両親は認めるしかない。ボエルの両親とも挨拶を交わして自分の町に帰る頃には、ホクホク顔になっていたそうだ。
フィリップが超豪華旅行をプレゼントしたようなモノだから、金に目が眩んだとも言える。でも、第二皇子によくしてもらったと言っても噓つき扱いされたから、それ以降は第二皇子と口にすることはなくなったそうな……
ここ最近、昼モードで過ごしていたからか、フレドリクからの呼び出しが来てしまったので、本日は渋々フレドリク邸に出向くフィリップ。
カイサとオーセはフレドリクに会えるから嬉しそうにしているが、フィリップは暗い顔をしているからどうしたモノかと聞いてみた。
「お腹、痛いかも……」
「プーくんが腹痛? 珍しいね。お断りして帰る??」
「オーセ。それ、たぶん、ダダこねてるだけよ。取説にも載ってたでしょ」
「あっ! そうだ! 怒られるから行きたくないのね。騙されるところだった!!」
「本当にキリキリしてるよ~」
フィリップの腹痛は、ストレスが原因。それなのにボエルが間違ったことを書いていたので、カイサたちはひとつも心配してくれない。
フレドリク邸にも着いてしまったからには、フィリップは覚悟を決めて入って行った。カイサたちは「何したんだろ?」とワクワクだ。
「わ~。かわいいね~?」
「そうだろう。フィリップの体調が良くなるの、息子も待っていたんだぞ~?」
でも、今日の呼び出しは赤ちゃん自慢。生まれたその日はフィリップは近付けられなかったから、かわいそうだと思って会わせてくれたのだ。
「それにしても、いい部屋だね。うちよりいい木材使ってない?」
「おっと。そのことの感謝を忘れていた。フィリップの屋敷を手掛けた大工が、改良して作ってくれたのだ。また作るかもしれないからって、床に適した木材を探し歩いたそうだぞ」
「そっか。職人だもんね。二度目はより良い物を作ろうと考えるか~」
赤ちゃん用の部屋は、根城のリビングより少し狭いが、超高級木材を床に使っているフローリング仕様。フィリップが勧めて、フレドリクが赤ちゃんのために作らせたのだ。
「暖かくて柔らかい。息子が歩き出しても怪我はしなさそうだ。いい物を教えてくれて、ありがとうな」
「気が早いな~。まずはハイハイでしょ。ま、フローリングの出番は、もうちょっとあとかな~?」
フィリップたちが赤ちゃんの顔を覗きながら喋っていたら、眠ってしまったので忍び足で退室。
その後、ランチを食べながら「また逆ハーレムメンバーが揃ってる」と思い、もう一度赤ちゃんを覗きに行くのは拒否するフィリップ。思った通り、授乳中だったのでルイーゼの悲鳴が聞こえたんだとか。
あとから入ったフィリップは、赤ちゃんに別れの挨拶をしたら撤退。馬車に乗り込むと、黙って窓の外を見ていた。
「プーくん、また変な顔してるよ?」
「ひょっとして、赤ちゃん苦手?」
フィリップが変な空気を纏っているのは二度目。それも赤ちゃん関係だと、カイサにバレてしまった。
「どちらかというと苦手かな~? 2人はどうなの??」
「あたしは早く欲しいかな~? かわいいもん」
「私もかわいいから欲しいわ。でも、育てるのは大変らしいわね」
「ふ~ん……早く欲しいなら僕といたらダメだな……代わりを探さなくちゃ」
フィリップはなんとなく呟いたら、オーセとカイサが飛び掛かって来た。
「代わり探すの!?」
「ウソウソ! 赤ちゃん嫌い!」
「あたしも赤ちゃんいらないから捨てないで~~~」
どうやらこの豪華な暮らしだけは捨てたくないらしい……必死だな。
「いや、2人が早く欲しいならって話だよ? ほら? 僕、いつ結婚するかわからないし……あ、どこからか養子をもらう??」
「「それはちょっと違う……」」
「だよね~? 2人が何歳になろうとも責任は取るから、気長に待ってて。あぁ~……僕も早く結婚して城を出たくなっちゃった。どこかにいい悪役令嬢でもいないかな~?」
「「悪役令嬢なんかと結婚したら、私たちがいびられるでしょ~~~」」
フィリップの狙いはエステル・ダンマーク。なので、ついつい悪役令嬢という言葉が出てしまうのであったとさ。




