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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
十九章 おめでたい話があっても夜遊び

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451 静かに飲みたい時もある


 帝国に世継ぎが誕生したのだから、その話は一気に広がる。城の中には物の数十分で。帝都の中には半日で。帝国中にはたった5日で全ての人間に届いた。

 平民からしたらただのおめでたい話なのだが、貴族にとっては死活問題になり兼ねない話。早くも水面下では、次期皇帝の取り合い合戦が始まっている。


 フィリップもそれに巻き込まれているのかというと、根城から一歩も外に出ないから蚊帳の外。貴族たちは、いまは忙しいから引きこもりの第二皇子には構ってられないらしい……


 しかし、根城から一歩も外に出ないと思っているのは外の人だけ。フィリップは世継ぎが誕生したその日から、夜の街に繰り出していた。


「どうしたの? こんなめでたい日に暗い顔しちゃって」


 ここは行き付けの酒場。フィリップがカウンターで安酒をチビチビやっていたら、二児の母になっても看板娘を続けているミアが隣に座った。


「別に……」

「えぇ~。キンさんが暗いの初めて見たかも? お姉さんが慰めてあげよっか?」

「旦那さんと上手く行ってないの?」

「そうなの。娘ばっかりかわいがって、あたしにはナシよ? 酷くな~い??」


 ミアは慰めるどころか愚痴に発展すると、フィリップはしばらく聞いていたけど立ち上がった。


「もう帰っちゃうの?」

「うん。静かに飲めるところ探すよ」

「あ、ゴメ~ン。でも、今日はというか、しばらくはそんな場所ないと思うよ?」

「だよね~……また来るよ」


 フィリップは金貨を置いて立ち去ると、ミアはカウンターに突っ伏してマスターと話す。


「キンさん、どうしたんだろ?」

「さあな~……去年から少し雰囲気が変わったから、アイツも大人になったんじゃないか?」

「大人になって落ち着いたってこと?」

「たぶん……初めて来た時から見た目変わってないな……アイツ、結局いくつなんだろ??」

「初めて見たのは~……10年前? え? ホントに何歳なの??」


 フィリップを心配していた2人、年齢が謎すぎてその気持ちが吹き飛ぶ。ついでに世継ぎのことも吹っ飛んだので、この店では2人だけが違うことを考えていたのであったとさ。



 世継ぎ誕生で夜の街は道まで酔っ払いが溢れていたが、フィリップは軽やかに避けて歩く。そしてやって来たのは……


「でんかぁ~ん。おめでとうございまぁ~す」


 奴隷館。キャロリーナも世継ぎ誕生で浮かれていたのか……いや、いつも通りフィリップに襲い掛かったけど、ヒョイッと避けられた。


「アレ? どうしたのぉ? マッサージしないのぉ~??」

「ちょっと気分じゃない。お酒もらえる?」

「え、ええ。すぐ用意するわ」


 フィリップがそんなことを言ったのもキャロリーナを避けたのも初めて。さすがにキャロリーナも察して、テーブルにお酒を持って行ってグラスに注いだ。


「何があったの?」

「ゴメン。言えない」

「そう……そんな時もあるわよねぇ。ゆっくりして行ってぇ」

「うん。ありがとう」


 キャロリーナはいい女。無理して聞き出そうとしない。隣に座って寄り添うだけだ。


「あ、調子出て来たぁ~?」

「まだまだ……ベッドでもいい?」

「もう~。それだといつもと変わらないでしょ~」


 でも、フィリップはエロガキ。隣に大きな柔らかい物があっては無意識に触ってしまったので、しばらくベッドでキャロリーナに抱き締めてもらうのであった……


 結局、マッサージを何度もしてから帰って行ったけどね。



 それからのフィリップは、いつもより暗いけどやることはやっているのでカイサたちには気付かれず。護衛騎士は訓練ばかりで面白味に欠けるみたい。

 今日はお客がやって来て勝手に入って来たから、フィリップも対応しなくてはならない。


「ネラさ~ん。病気で寝てるって聞かなかった~?」


 ペトロネラだ。地位が高いし彼女みたいな扱いだから、誰も侵入を阻止できないのだ。


「聞きましたけど、いつも通りたいしたことありませんよね?」

「たいしたことはないけど~」

「私には急ぎ、伝えたいことがありましたので、無礼を承知で押し掛けたしだいです」

「へ? ネラさんがそんなこと言うと怖いな~……帝国の一大事とかじゃないよね??」


 ペトロネラは帝国の中枢に近い位置にいるので、こんなに丁寧に対応されるとフィリップだけじゃなく、カイサとオーセにも緊張が走った。


「この度、私の結婚が決まりました。つきましては、殿下……私と別れてください!」


 でも、次の瞬間にはカイサとオーセはずっこけた。フィリップもソファーに乗せていたお尻がズルッと滑ったけど、ギリギリ耐えた。


「あ、うん。お幸せに」

「えぇ~! もっと名残惜しく泣き叫んでくださいよ~」

「いや、僕たち、付き合ってるフリしてただけだし。ずっと早くいい人見付かるといいねって言い続けたじゃん?」

「私は結婚して2人の娘と幸せな家庭を築いてると思ってたのよ~~~」

「どの世界の話?」


 どうやらペトロネラ、フィリップの根城を我が家、ペトロネラはダメな夫の代わりに仕事をする妻、カイサとオーセのことは自分がお腹を痛めて産んだ子供だという世界線にいたみたい。


「てか、真っ昼間から飲んでるでしょ? 酒臭いよ??」

「飲まなきゃ別れ話なんて切り出せないでしょ~~~」

「これ、ただの結婚の報告だから。僕のことは気にしないで」

「私のことを気にしてよ~~~」


 ダメだこりゃ。今日のペトロネラは感情が複雑すぎて話にならない。フィリップはとりあえずベッドに誘って寝かし付けるのであった。


「これから人妻になる人になんてことを……」

「この外道が……」

「じゃあ、この酔っ払い、どうしろって言うのよ??」

「「う~~~ん……」」


 カイサとオーセはフィリップを非難してみたけど、ペトロネラが静かになったから「本当にマッサージするしかなかったのでは?」と思ってしまったのであったとさ。


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