表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
十八章 代替わりしても夜遊び

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

444/522

444 農奴と初接触


 馬車の中から農奴を見掛けたフィリップは、興味が湧いたから接触を試みる。ただ、御者は色好い返事はしない。皇子が会うような者ではないらしい。

 しかしフィリップは馬鹿皇子。ちょうど5、6人が固まっていたから、そこに突っ込めと命令した。


「轢き殺すのですか?」

「「あわわわわ」」

「僕がそんな暴君に見える?」


 御者が物騒なことを言うものだから、カイサとオーセは信じて震える。なので、「あの人たちの近くで馬車を止めて。てか、ここまで言わないとわからないのか!」と、激怒するフィリップであった。

 御者たちは最初に怒って言うから勘違いしたのだと、心の中で言い訳しています。



 フィリップを乗せた馬車が急に曲がり始めたので、馬に跨がる騎士たちは慌てて進路を変える。

 そんな集団が近付いて来るのだから、農奴たちはどうしていいのかわからずに、フリーズ。馬車が目の前に止まると、とりあえず固まって土下座してやり過ごそうとしていた。


「やあやあ。楽に楽に」


 フィリップも馬車から降りて軽く挨拶したけど反応はナシ。顔も上げてくれない。


「無視? 僕が話し掛けてるのに? 立てよ」

「「「「「ははは、はいっ!!」」」」」


 脅してようやく農奴たちは立ち上がったが、その身形にフィリップは顔を歪めた。


「クッセ~! アハハハハハ。君たち、風下に行ってくれまいか? そっちそっち。うん。そっち」


 もしかしたら、体臭のせいかも? フィリップに笑われて、さすがの農奴もちょっとイラッとしてる。


「ちょっと聞きたいんだけど、君たちって農奴ってヤツ?」

「はあ……」

「やっぱりそうなんだ~。初めて見た~」


 フィリップがジロジロと見るから、農奴たちは何かされるのではないかと怖くなって来た。


「普段、どんな物食べてるの?」

「ス、スープみたいな物で、す」

「それは3食……朝、昼、夜ってこと?」

「えっと……朝と夜? だよな? たまに朝だけです」


 農奴は食べる時間はマチマチだから、仲間に確認を取ってからフィリップに視線を戻した。


「そんなんでお腹すかないの?」

「食べさせてもらえるだけマシ……ありがたい、ことです」

「な~るほどね~……」


 フィリップが悪い顔をして、農奴だけじゃなくカイサたち全員が「何するつもり!?」と震えたその時、馬が駆ける音が近付いて来た。

 なのでフィリップはその顔のまま、馬に乗る人を待つ。全員、何が起こるのだと震えていたら、そろそろ馬が到着しそうになった。


「お前たち~! 俺様の奴隷に何してんだ~~~!! ヒッ!?」


 するとガタイのいい男が怒鳴り散らしたが、フィリップの護衛騎士が抜刀して構えたから急停止。馬から転がり落ちて、土下座の体勢のままジリジリと近付いて来た。


「プププ……虫みたい……」

「はっ! 虫とお呼びください!!」


 見た目が貴族の御一行なのだから、殺されても文句が言えない。男は助かりたいがために、虫になってしまった。


「んで……虫君は何者なの?」

「はっ。ゼーバルト伯爵様からこの農園を任されている者の1人です」

「ふ~ん……農奴は何人ぐらい雇ってるの?」

「雇っているというか飼っているというか……」

「数を聞いてる」

「ははっ! 100前後です。正確な数はちょっと把握できていません……」

「なるほどね~……」


 フィリップがまた悪い顔で笑うから、虫君は殺されると命乞いしちゃったよ。


「とりあえず金貨10枚もあったら、全員に10日間、毎日3食、そこそこの物は食べさせてやれるかな?」

「たぶん、多すぎるぐらいですけど……」

「余ったらお前たちのボーナスにしたらいいよ。そのかわり、僕の言ったことをやらなかったら、お前たち全員殺すから。わかった?」


 フィリップがしゃがみこんでまで脅したが、虫君は唸っている。


「あの、私にはその権限がなくて……伯爵様に聞かないことには……」

「農奴はアイツの所有物ってことか~……ま、ライアンからの命令だと言えば、(こころよ)く許可してくれるよ」

「伯爵様をアイツ呼ばわり……しかも命令できるなんて……」

「そそ。僕、超偉いんだよね~……よかったね。虫になってなかったら、今ごろ首が転がっていたところだよ」

「はは~~~!!」


 虫君、何者かもわからないけど、助かったと心底ホッとした土下座。フィリップはパラパラと金貨10枚を落として虫君に拾わせた。


「んじゃ、ごはんの件、頼んだよ?」

「はいっ!」

「でも心配だから、僕の家臣を残して行きま~す。えっと……つ、つ、つ……」

「土魔法が使えるのは私です!!」

「そうそう。土の人……ケントだっけ?」

「そうです! ケントです! 覚えてくれてました~~~」

「なんのこと??」


 ケントは名前を呼ばれただけで感激。1年以上も名前を呼ばれていなかったらそうなるか。


「伯爵に事情を説明したら、次の町に追いかけて来てくれたらいいからね。伯爵にはもしも僕を裏切ったら、一族郎党皆殺しと伝えて。あ、農奴を管理してるヤツらも全員皆殺しにするから。僕は本気だからと念を押しといてね~」

「えぇ~……」


 でも、フィリップの口から物騒な言葉が出まくるから、ケントはもう喜びは吹っ飛んだよ。


「はいっ! 行動する!!」

「「はっ!!」」


 しかし動かないことにはいけない。ケントと虫君は、馬に(また)がり町に向かって飛んで行くのであった。



「さてと……しばらくお腹いっぱい食べられるから、その間に力を付けてね」


 フィリップが農奴たちに声を掛けて立ち去ろうとすると、農奴の1人が大声を出す。


「あの! あなた様はいったい!?」

「僕? 僕は~……聖女様の知り合いだよ。そんじゃあね~」

「「「「「聖女様!?」」」」」

「「「「「ありがとうございました~~~!!」」」」」


 その問いに適当に返したフィリップは、農奴の感謝の言葉を背中で聞きながら馬車に乗り込むのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ