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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
十八章 代替わりしても夜遊び

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426 フレドリク皇帝誕生


 会場の控え室で皇帝たちが笑っていたら、そろそろお時間。大きく開かれた扉から、フィリップとコンラード宰相が入場する。


 戴冠式の会場は、(ぜい)を凝らした作り。フカフカの絨毯を踏んだフィリップは、コケそうだから普通の床でいいのにとか思って歩く。


 出席している貴族たちは「あの馬鹿、ミスるんじゃね?」とニヤニヤ見ていたが、フィリップは背筋を正してシャキシャキ歩き、ふたつある右玉座の右隣に立つ。

 それと同時にコンラード宰相が左玉座の左隣に立ち、皇帝とフレドリクを呼び込んだ。


 皇帝たちが入場すると、貴族たちは一糸乱れぬ拍手。2人はその拍手に応えず、ゆっくりとだが力強い足取りで玉座に向かう。

 そうして皇帝がコンラード宰相側の玉座、フレドリクがフィリップ側の玉座に座ると拍手はピタリと止まる。


「彼の政変から……」


 続きましてのプログラムは皇帝の功績を褒めちぎるイベント。フィリップはここが一番寝そうだからって、太股を時々つねって耐える。

 そしてフレドリクを称えるイベントも終われば、ついにフィリップの出番だ。


 コンラード宰相が皇帝の被る王冠を両手で受け取ると、フィリップに目配せしてから歩く。フィリップも同時に歩き出し、中央で王冠を大事そうに受け取る。

 これをシャキシャキ歩いてフレドリクに渡せば、ミッションコンプリート。フィリップも珍しく緊張していたが、レベル99は伊達じゃない。コケそうになってもスローモーションなので、すぐに立て直してフレドリクの前に立った。


「お兄様、おめでとう」

「フッ……」


 ここは小声でアドリブ。フレドリクも一瞬だけ表情を崩してから王冠を受け取り、自分の手で被った。


 これにて、フレドリク皇帝の誕生。


 帝国の新しい時代の始まりだ。


 フレドリクの素晴らしい演説を聞いた出席者は、涙ながらに拍手を送り続けたのであった。


「なっが……いい加減、拍手やめてくれないかな~?」


 フィリップ以外……



 戴冠式は滞りなく終わると、その後は贅を凝らしたパーティー。貴族婦人も参加して、場を華やかに盛り上げる。

 パーティー会場にはカイサとオーセも第二皇子の付き人として入れたので、フィリップから戴冠式はどうだったかとヒソヒソ喋っている。フィリップの下には誰も挨拶に来ないからできる(わざ)だ。


 貴族たちがどこに向かっているかと言うと、もちろんフレドリクと元皇帝の下。フレドリクには期待の言葉を贈り、元皇帝には悲しみを告げる。

 大泣きして涙を流す貴族もいたが、そういう人はフィリップが指差して「離れたあとを見てな?」とカイサたちにゴニョゴニョと耳打ち。


「もう笑ってる……」

「さっき泣き崩れてた人よね……」

「アレが貴族の処世術」

「「こわっ」」

「皇族にバレてないと思ってるところが面白いよね~?」


 貴族は感情を簡単に使い分けられる能力を持っているのだから、カイサたちも恐怖にブルッと震える。

 しかしそれ以降は、「次はどんな演技するのかな~?」とワクワク見てる。フィリップと一緒に賭けまで始まっちゃった。


 そのおかげで、つまらないパーティーも楽しく終了。皇族は最初に退場するので、フィリップも背筋を正して元皇帝の隣を歩く。

 後ろからはいつまでも拍手が鳴り止まないからフレドリクは一番後ろで、後ろ向きに歩いて手を振っていたその時……


「むっ……」

「父上、僕の頭を掴んでなよ」

「……ああ」


 元皇帝が(つまず)き掛けたが、フィリップが素早くベルトを握って事無きを得る。その後は頭を撫でているような感じで、残りの距離を歩き切った元皇帝であった。



 控え室に戻ったフィリップは、すぐに椅子を持って来させて元皇帝を座らせる。フレドリクも控え室に入ったらあとを任せるみたいだ。

 元皇帝とは身長差があるから肩を貸せない悲しい理由があるみたいだけど、周りの従者には「また押し付けてる」と思われてるので、これだけは不憫だ。


 戴冠式はこれにて完全に終了だが、翌日もフィリップの仕事があるので逃げられない。


「「「「「フレドリク皇帝陛下、バンザ~~~イ」」」」」

「「「「「キャーーー! フレドリク陛下~~~!!」」」」」

「「「「「皇后様~~~」」」」」

「「「「「聖女様~~~」」」」」


 フレドリク皇帝の初お披露目。屋根のないオープン馬車に乗ってのパレードだ。

 フレドリクはパートナーのルイーゼと一緒に先頭の馬車で手を振り続け、民はその2人に向けての歓声が弾けている。


「すっご……」


 あまりにも歓声が大きいから、後続のオープン馬車に乗っているフィリップは引き気味。ただ、今日は元皇帝の膝の上に乗せられているから、小声でも文句は言えない。


「本当に凄い人気だ。俺の時は、ここまでではなかったのに……」

「ち、父上でも、そんなこと気にするんだ」

「当たり前だろ。俺も人間だぞ」

「や、やめて……笑っちゃいそうだから……」

「あんな顔に生まれたらと、どれだけ羨んだか」

「ブハッ! グッ……フフフフフ」

「まだまだある。まだまだ聞け」


 元皇帝、1人の父親に戻ってから愚痴を言い過ぎ。フィリップが吹き出しても口を必死に押さえていても、元皇帝の愚痴は止まらないのであったとさ。


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