413 珍しい第二皇子人気
式典はフィリップが寝ていても滞りなく進み、貴族のオッサンだらけの立食パーティーに突入。皇太子夫妻と一緒にフィリップも登場すると、大きな拍手で出迎えられた。
その前にフィリップはルイーゼの膝枕で寝ていたことをフレドリクに怒られていたよ。ルイーゼがまた助けてくれたけど、「起こしてくれたらよかっただけなのに」と、あまり感謝はしていない。
カイサとオーセは何をしているかと言うと、ルイーゼ専属侍女と共に給仕。基本的にフィリップが見える場所に立って、呼ばれたら飛んで行く。
たまに貴族のお偉いさんにもお酒等を運んで行き、空いたグラスも下げる。2人はその時、イケメンやイケオジを探して点数付けて楽しんでいたらしい。
このパーティーは皇族が貴族を持てなすパーティーなのだから、フレドリクが先頭を切って派閥事にご挨拶。フィリップもついて行ってはいるが、盾役の皇帝がいないので、貴族に話し掛けられているから迷惑そうにしてる。
フレドリクの場合は、先程の式典を褒める声が多い。フィリップの場合は、ほとんど縁談話。しつこい時はわざと大きい声で「皇后の父親になりたいんだ~」と冤罪を生み出してる。
そんなことを言うので、フィリップに近付く貴族は仲を深める作戦に変更。自分の家の収入やお妾さんの数を出してフィリップに興味を持たせる。
これはフィリップも興味があるので、根掘り葉掘り聞いて頭の中でメモ。羽振りがいい領地の場合は娼館の話を聞いて盛り上がる。
すると、フィリップの周りに貴族が集まり出したので、これはチャンスだと他の貴族も話に入って輪が大きくなった。
「フィリップ……なんの話をしていたのだ?」
そりゃいつも貴族を寄せ付けないフィリップが貴族を集めて喋っているのだから、フレドリクも気になるってモノ。
「えっと~……たいしたことじゃないよ。ね?」
「「「「「はい~」」」」」
でも、御下品な話しかしてないから、フィリップたちは言えません。全員、ヘラヘラ笑ってごまかそうとしてる。
「そこの者、何かよならぬことを考えていないだろうな……」
どうしても知りたいフレドリクは、一番若く見える貴族をロックオン。
「よからぬことと言えばよからぬことなのですが……」
「ハッキリと申さぬか」
「はっ! 各地の娼館で働くお勧め娼婦の話で盛り上がっていました!!」
「は??」
なので若手貴族はゲロッちゃったけど、フレドリクがする話題にはひとつも上がらないネタだったので、呆けた顔になってる。
「フィ……フィリップ?」
一瞬、頭が真っ白になったフレドリクがフィリップを見たら……
「フィリップはどこに行った??」
「ト、トイレに行くと……」
「フィリップ~~~!!」
もぬけの殻。もうすでに逃げ出したあとであったとさ。
パーティーは中程でフィリップが行方不明。そのフィリップはほとぼりが冷めた
頃に戻って来て、カイサとオーセの後ろに隠れてる。
「お兄様、なんか言ってた?」
「いえ。何か怒っていましたけど、そのあとは笑顔で皆さんと喋っていますよ」
「殿下は何をやらかしたんですか?」
「いや、楽しくお喋りしてただけだよ? 娼婦の話とかを」
「「こんな場でするから怒られるんだよ」」
ここは社交界の頂点。それに似合わない話をしていたのだから、カイサたちにも怒られるフィリップ。
なので居心地が悪いし、皇族の仕事を放り出しているのも怒られる原因になりそうなので、フィリップはテーブルや人に隠れながらフレドリクに近付いて行った。カイサたちは「何してんだ」と呆れた顔してる。
フレドリクの斜め後ろにまで近付いたフィリップは、グラスを持ってしれっと紛れ込む。そうしてウンウン相槌を打っていたら、フレドリクにバレた。
そりゃ目の前の貴族が斜め後ろの下辺りをずっと見てるから気付くよ。もちろんフレドリクから「皇族らしい話題をしろ」と怒られました。
それからのフィリップは、下世話な話は自主規制。挨拶に来た貴族に「皇族らしい話題ってどういうの?」と質問して残り時間をやり過ごす。
ちなみに皇族らしい話題は、貴族もよくわからないんだとか。だいたいが「世継ぎのことじゃないですかね~?」とか言うから「他には?」とフィリップは質問ばかりするので、自分のしたい話は一切できなかったそうだ。
なんとかかんとかパーティーを乗り切ったフィリップは根城に帰ろうとしたけど、フレドリクに首根っこを掴まれて皇帝の私室へ。フレドリクに今日のことをチクられて冷や汗だ。
皇帝は怖い顔で聞いているもん。でも、怒られずに「貴族と会話できるようになったんだな」と褒められて撫で回されたので、いつも通りの混乱だ。
どうも皇帝は、フレドリクがしない話題をフィリップが聞き出していたのだと勘違いしてるみたいだ。
フレドリクが忙しいからと出て行ったら、フィリップに詳しく聞いていたから確実。フィリップも怒られたくないからって、他領の夜の経済状況について語っていました。
私室から出て来たフィリップはフラフラだったので、カイサとオーセは「こっぴどく怒られたな」と勘違い。肩を貸して、フィリップを根城に連れ帰る。
「「それで~。陛下にどんな怒られ方されたの~?」」
「ん? 別に父上からは怒られてないよ」
「え? フラフラだったじゃない?」
「ボエルさんの取説にも、陛下と会ったあとに頭がグチャグチャだったら怒られた証拠って書いてたよ?」
「あぁ~……」
2人はしつこく怒られたと決め付けるので、フィリップは本当のことを教えてあげる。
「それ、ボエルの勘違い。あの怖い顔のまま頭を長時間撫で回すから、怒られているのか褒められているのかわからなくて混乱してるだけなの」
「「なんで撫でられてるの??」」
「知らないよ~~~」
理由を聞いても、カイサとオーセは納得できずに謎が膨らんだだけであったとさ。




