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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
十六章 来客が多くても夜遊び

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408 引き留め


「手、借りていい?」

「ええ」


 フィリップが滑り込むような登場をし、2人で一通り照れ笑いをしたら、ホーコンの手を借りて立たせてもらった。


「しかし、いきなり足元に現れたから驚きましたぞ。何があったのですか?」

「いや~。急いで走ってたら、あそこの床で滑っちゃってさ~。まさかこんなに滑るとは思ってなかったよ~」

「あんなところからですか。殿下はお元気ですな。わはははは」


 なかなかいい雰囲気なったところで、フィリップは周りに目があることに気付いたから小声で喋る。


「僕、父上から辺境伯に伝言を頼まれてるの。場所変えよ」

「陛下からですか……わかりました」


 この場はいつフレドリクが現れるのかわからないので、ホーコンもすぐに了承して移動する。

 フィリップが前を歩き、ホーコンは後ろ。その現場を見た貴族は、大貴族であるホーコンに真っ先に挨拶して、ホーコンが「下、下」と指で合図を出したら焦りながらフィリップに挨拶する。

 デカイオッサンが目立つから、ちっさい第二皇子に気付かなかったみたい。


 ズーンッと気落ちするフィリップは、そのへんを歩いていたメイドに個室を手配してもらおうとしたら、いまの時間はどこも予約でいっぱいとのこと。

 仕方がないから外に行こうと思ったら、皇族食堂が近くにあるのを気付いたので、そこに移動する。


 しかし椅子がひとつしかないからフィリップは長いテーブルに座って。ホーコンは椅子に座った。目線はちょうどいいみたいだ。


「んっとね。父上の伝言なんだけどね~……その前に、お兄様と何を話したか教えてくれる?」


 フィリップはノープランでここにいるので、まずは情報収集と考える時間を稼ぎたい。


「たいした話ではありませんよ」

「そう警戒しないでよ~。嫌なこと言われてたら、父上にチクって怒ってもらうだけだし」

「陛下に怒ってもらう?」

「そそ。いっつも僕ばかり怒られているのは不公平じゃない? この機会にお兄様が怒られてるとこ見たいの~」

「それは殿下が悪いのでは……」


 ホーコンだってフィリップの悪い噂は山ほど知ってるので「そんなものだろう」と口が滑る。それを脅しのネタに使ったら、ホーコンはなんとか重い口を開いてくれた。


「登城した時の社交辞令的な会話のあとに、娘の蟄居(ちっきょ)を撤回してくれないかと願い出ましたら、お怒りになられまして……元はと言うと……なんでもございません」

「アハハ。お兄様が悪いもんね。そりゃ辺境伯も怒るよ~。アハハハハ」


 ホーコンにまた怒りが戻ったみたいなのでフィリップは味方に付いて笑ったが、あまり効果はなさそうだ。


「そういえば、エステル嬢はいまはどうしてるの? 結婚した?」

「皇太子殿下に婚約破棄されたのですから、見合いに応えてくれる者はほとんどおりません。なんとか見合いに漕ぎ着けても、娘が気に食わないと追い返すのでなんとも……」

「あらら~。それはご愁傷様」


 フィリップが笑顔でそんなこと言うので、ホーコンは拳を握り込んだ。馬鹿にされたと思われたな。フィリップは喜んでるだけなのに。


「てことは、エステル嬢はフリーか~」

「はあ……本人は一生独身でいると言っています。どうもまだ、皇太子殿下を引き摺っているような……あんな酷いフラれ方をしたのに……」

「う、うん。その右手、上げないでくれない? 僕、第二皇子様でまったく関係ないよ~?」


 ホーコンの握った拳が徐々に上に来たので、フィリップは殴られそうで怖い。でも、第二皇子を出したら、ホーコンは左手で右手を押し返して膝に付けてくれた。そうでもしないと怒りのやり場がないっぽい。


「んじゃ、そろそろ本題に入りますか」


 手に入れた情報は、ホーコンはフレドリクのことが大っ嫌いで怒ってる。エステルはまだフレドリクのことを想っている。

 これではフィリップもエステルとの結婚は難しい。もしくは政略結婚をしたあとに、クーデターの旗印とされそうなので、今回も諦めるしか無さそうだ。


「父上が倒れたってのは聞いた?」

「はい。皇太子殿下からは、少し疲れが出ただけだとは聞きましたが……陛下がお顔を見せないので、貴族たちはよからぬ噂を語っております」

「その噂、半分ぐらいは本当だよ」

「なんですと!? もう長くないのですか!?」

「落ち着いて。半分って言ったじゃ~ん」


 フィリップはそんな噂が流れてるんだと思ったが、顔には出さずホーコンを宥めた。


「父上の症状は、辺境伯にしか言うなと言われてるから、絶対に漏らさないでね?」

「は、はっ! 大丈夫なのですね!?」

「だから落ち着いて……正直言うと、かなり悪いよ。だから倒れたの。でもでも! さっき目覚めたから心配しないで。父上は不死身だ。まぁそれでもこの社交シーズンに体調は戻せそうにないみたい」

「おお! それは良き知らせ!!」


 皇帝の体調を聞いてホーコンは自分のことのように喜んでいるから、フィリップは「貴族ってこんなに忠誠心あるんだ」とビックリだ。


「その父上、真っ先に何を心配したと思う?」

「それは……自分の体のことですかな?」

「違う違う。辺境伯のことだよ。出来損ないの僕なんかを走らせるほど切迫詰まってたみたいだよ」

「お、おお……そんなにも私のことを……」


 さらにフィリップが嘘を足したらホーコンの目から大粒の涙が落ちたので「オッサンの涙は萌えないな」と気持ち悪そうにしてる。酷いヤツだ。


「んじゃ、父上の伝言ね。これからも期待している。体調が良くなったらダンマーク辺境伯領に足を運ぶから、旨い酒も期待しているぞ……だって」

「はっ! 心よりお待ちしておりますとお伝えください!!」

「オッケー。その時は僕も一緒に行くから、女も用意しといてね~」

「殿下もお好きですな~! わはははは」

「アハハハハ」


 こうしてフィリップは、嘘ばかりでホーコンの心を繋ぎ止めたのであった……


「あのオッサン、バシバシ叩きやがって……僕のこと第二皇子だと忘れてるんじゃないか?」


 その帰り道では、ガサツなホーコンに背中を叩かれまくったフィリップはイライラしながら歩いていたのであったとさ。


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