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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
十六章 来客が多くても夜遊び

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404 フィリップの欲しい薬


 薬屋の隠し部屋に通されたフィリップは再びキョロキョロと観察。壁には棚が設置されており、薬ビンや丸薬等も見て取れるのでようやく薬屋らしくなった。

 店主のキムは自己紹介してからフィリップとキャロリーナをテーブル席に案内し、全員着席すると商談の開始だ。


「どういった薬をご所望なんですか?」

「痛み止め。それも強烈なのが欲しいんだよね~」

「痛み止めですか……ところで患者様は、いまはどちらに? できれば診察して、薬の量を考えたいのですが」

「すぐに処方しないとは、なかなかの名医だね。キャロちゃんが信用するワケだ。でも、それはできない。体格と症状を聞くだけでなんとかしてちょうだい」


 フィリップが褒めたり無理を言うと、キムは難しい顔で唸る。


「キャロリーナ様の紹介ですから用意してもよろしいのですが、効かない場合や効き過ぎた場合の事故は了承してもらわないとなりません。それでも構いませんか?」

「最悪の場合もあるよね~……わかった。それでいいよ」

「では、症状をお聞かせください」


 フィリップも完全にはわかっていないが、予想の病名を告げる。


「ガンって病気、知ってる?」

「いえ。初耳です……」

「てことは、膵臓(すいぞう)とか肝臓とか言われても無理かな~?」

「肝臓なら、内臓の名前なのでわかります」

「膵臓も内臓の一種だよ。まぁその辺りに病気の原因があるんだよね~……平民の中にも、内臓から痛がる人はいなかった? 最初はお腹辺りだったのに、いろんな場所が痛くなった人は? 治せず死んだでしょ??」


 そう。皇帝の病名は膵臓ガン。またの名をサイレントキラー。その名の通り発見が遅れて吐血まであったのだから、レベル4は堅い。他にも転移しているのではないかとフィリップは予想したのだ。

 フィリップが立て続けに質問すると、キムも思い当たる病名があったみたいだ。


死痛病(しつうびょう)……」

「あ、そんな名前で呼ばれてるんだ」

「はい。この病気を患った人は、100%亡くなります。それも死ぬほどの激痛が毎日のように襲うので、患者は死を望むほどです。どうりで痛み止めをお求めになるワケです」

「そそ。治すには切らないことには治らないからね~……苦肉の策だ」

「切る? 治る病気なのですか??」

「あ……」


 専門家のキムでも知らないことを言ってしまったフィリップだが、この世界に外科的治療があるのか知りたいので喋ってみる。


「お腹を切って開いてね。悪い部分を切除したら糸で縫うんだ」

「それはまたなんとも……悪魔的な治療方法ですね。画期的とも言えますが、そんなことをしたことのある人間は本当に存在するのですか?」

「さあね~。僕も本で読んだだけだから。フィクションかも知れない。あれ? 死者を(もてあそ)ぶ拷問官の話だったかな??」

「そんな拷問官がいれば、確かに人体の構造に詳しくなるのも頷けます。なかなか興味深いお話でした。ありがとうございます」


 フィリップはキャロリーナが妖しい瞳で見ていたからボケに走ったけど、キムはそれで納得。その顔が恍惚(こうこつ)の表情をしていたから、まさか死体漁りなんかするのではないかとフィリップもブルッと震えるのであった。


「話を戻すけど、さっきの内容でも痛み止め貰える?」


 フィリップの目的は緩和ケア用の薬。キムもいま思い出して答えを出す。


「はい。念の為、弱い薬、強い薬、その中間を用意させていただきます。まずは弱い薬から試してください」

「うん。そうだね。そうするよ」

「ただ、死痛病だと長期の服用となるので、かなりの費用が掛かるのですが……」

「誰に言ってんの。僕は遊び人のキンさんだよ? 好きなだけ要求しろ。そして避妊薬の完成を急げ」

「はあ……なんで?」

「はぁ~。最後がなかったらカッコよかったのにねぇ……キンさん、じゃなかった。ライアン君は無類の女好きなのよぉ。はぁ~」


 フィリップ、金でキムの頬を叩いたけど、欲望が出過ぎて締まらず。キャロリーナも呆れて大きなため息が出てしまうのであったとさ。



 皇帝の年齢と体格も伝えたら痛み止めは処方してもらえたので、待つ間にフィリップは根掘り葉掘り質問。痛み止めの正体はモルヒネを使った経口薬だったので、これは安心材料となった。

 なので副作用についても質問して、それに対する薬も追加。そして注射薬はないのかと聞いて注射の針を使い回したら病気になると注意していたら、キムはフィリップのことを同業者なのではないかと疑い出した。


「ねぇ? ライアン君。どうしてそんなに病気に詳しいのぉ~?」

「本、本。カールスタード学院の図書館で、禁書を漁って読んでたからだよ」

「禁書ねぇ~……ライアン君って馬鹿なエロガキじゃなかったのねぇ」

「エロガキはいまは必要ないのでは?」


 もちろんキャロリーナも疑っていたからなんとかごまかしたけど、余計な言葉がくっ付いていたから気になるフィリップ。

 そうこう2人でイチャイチャしていたら、薬は全て揃ったので支払い。キムは本当に多く要求していたが、フィリップはその10倍以上を出したからビックリだ。


「ちょ、ちょっとこれは貰えないです……」

「多いのは、避妊薬の研究費用も込みだからだよ。足りなくなったらキャロちゃんに言ってね」

「そういうことよぉ。有り難く貰っておきなさぁい。ただし、次回からは欲を掻かず定価にしなさい。こんな太客、二度と会えなくなって困るのはそっちよ。わかったわね?」


 キャロリーナはできる女。薬の価格もある程度は頭に入っているからキムのボッタクリはバレバレだ。


「はい! 有り難く頂戴します!!」


 なのでキムも今後フィリップに販売する時は、定価を約束するのであった。


「そう目くじら立てなくてもいいのに……もしも僕を裏切ったら、どうなるかキャロちゃんも知ってるでしょ?」

「ええ……本当に気を付けるのよぉ? あたしもあなたがいなくなると損失だものぉ」

「ははは、はい! 肝に銘じます!!」

「薬屋だけに? アハハハハ」


 ついでにフィリップが脅すとキャロリーナが合わせたので、絶対服従の薬屋となったのであったとさ。


 フィリップのギャグは誰にも伝わっていなかったけど……


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