395 ルイーゼと会議
門番をしていたボエルと話し込んでいたら、屋敷に走って行った門番が戻って来てルイーゼと会えるとのこと。もう少し喋っていたらメイドが準備ができたと呼びに来たので移動する。
若干ボエルは寂しそうにしていたけど、フィリップは気付かずだ。
ルイーゼと会う場所は、メイドからは庭の東屋を提示されたがフィリップが無理を言って応接室に変更。
そこでルイーゼと会ったが、まだ専属侍女が残っているのでフィリップとしてはなんとか排除したい。ここはルイーゼを使ってみようと耳打ちしてみる。
「話の内容は薬屋のことなんだけど……あの人は大丈夫??」
「ダメ! 出て行って!!」
ルイーゼもやっぱり心は平民。平民の間では高貴な人には箝口令が敷かれているので、ルイーゼもそれを守っているのか専属侍女を追い出してくれた。
応接室に残ったのは、フィリップ、カイサ、オーセ。それとルイーゼの4人。カイサたちでは切り出せないかと思い、フィリップが司会をする。
「まぁ僕は2人をお姉様に会わせるためにいるだけだから、石像だとでも思って。何を話そうとも、今日この場の会話は外に出さないと誓う。だからお姉様も警戒しないで2人の話を聞いてあげて。お願いします」
「うん……フィリップ君のこと信じるよ」
「ありがとう。それじゃあ、この子たちの紹介からするね」
フィリップはカイサたちを紹介すると、ルイーゼも平民だと知っていたので話が早い。あとは2人の情熱のこもったプレゼンをすれば、ルイーゼにも話の内容は伝わった。
「薬屋さんの地位を向上したいんだ……」
「はい。いまは神殿の力が弱まっているからチャンスだと思ったしだいです」
「ルイーゼ様なら、平民が気兼ねなく薬屋を使える未来を作れるはずなんです」
「「どうか、お力をお貸しください!!」」
カイサとオーセが立って頭を下げると、ルイーゼは少し考えてから立ち上がり、2人に近付いて手を取った。
「私でよかったらいくらでも力を貸すよ。ううん……薬屋さんの事情は私も知ってたんだから、私がフックンに言わなくちゃいけなかった。薬屋さんのこと、思い出させてくれてありがとう!」
「「ルイーゼ様……」」
そして力強い言葉をいただけたのだから、2人は感動だ。フィリップはフレドリクのことを「フックンと呼ぶな」と思いながら微笑ましく見てる。
「でも、私ってけっこうバカだから、薬屋さんをどうすれば助けられるかわからないの……2人にいいアイデアない?」
「「そ、それは……」」
ルイーゼがぶっちゃけると、カイサとオーセは助けを求めるようにフィリップを見た。この作戦はフレドリクを使うのだから、自分たちの口からは不敬だから言えないみたいだ。
「お姉様が難しいこと考えなくていいと思うよ。難しいところはお兄様がやってくれるから」
「それだとフックンの負担になっちゃう……」
「そうだけど、お兄様の力を借りないとこの問題は絶対に解決しないと思うんだよね~……お姉様は大まかな道筋だけを伝えたら、それだけでお兄様はやりやすくなるから、そこだけ考えたら?」
「うん……うん! それならできるかも! フィリップ君も手伝ってくれる?」
「僕は無理。2人からも戦力外通告されてるんだよね~」
やる気の出たルイーゼの要望は、フィリップはすかさず却下。カイサとオーセも「この人を頼ると裸エプロンになっちゃう」とワケのわからないことを言っていたので、ルイーゼも諦めてくれたのであった。
それから3人は、カイサたちが作ったボロボロ資料を開いて会議。フィリップは暇なので、応接室から出てお茶とおやつの催促をしてた。
それらの乗ったワゴンを受け取ると、フィリップがゴロゴロ押して給仕。ルイーゼたちは集中しているので、フィリップがいれたお茶を飲んでも感謝もしない。
ひとまずフィリップは3人の話し合いを眺めていたら、まったく決まりそうになかったから軽く助言してみる。
「もういっそ、その資料は忘れて一からやったら? 例えば、3人がこれだけは外せないってことを10個ぐらい個別に書き出して、同じ物は本決定にするとか?」
「フィリップ君、かっしこ~い」
「何も案は出してないけど……」
「また私の資料が無駄に……」
フィリップが考え方を提示しただけでルイーゼはベタ褒め。オーセは素直に褒められなくてジト目。カイサに至っては涙目だ。
3人の目が別々すぎるので「早く考えないと終わらないよ?」と皆の目を逸らし、プレゼン資料の完成を見守るフィリップであった。
「うん! 5個も意見が重なったから、これはやったほうがいいね」
「「はいっ!」」
暗礁に乗り上げていた話し合いは進み出したから、ルイーゼたちは笑顔。この5案を主軸にして話し合いを詰めていくみたいなので、フィリップは茶々を入れてみる。
「ふ~ん。商業組合みたいな物を作るんだ~……それってめちゃくちゃ儲かりそうだね。僕も一枚噛ませてもらってもいい?」
「一枚噛ませてって、どういうこと?」
「末端に名前だけ入れてもらってね。利益の数パーセントを僕の懐に入れたいな~?」
「ダメに決まってるでしょ!」
「プーくん仕事もしないつもりでしょ!」
フィリップがお金だけ奪おうとしたので、カイサとオーセは激怒。質問したルイーゼは、従者が主人を叱っているのでついて行けないみたいだ。
「そうだ! プーちゃんみたいな悪いこと考える人が出て来るかもしれない! それを防ぐようにもしとかなきゃ!」
「だね! プーくんは絶対に仲間に入れませ~ん」
「えぇ~。ケチ~」
「「ケチじゃない!」」
フィリップや貴族が介入できないように、第6案も追加。それをフィリップがブーブー言って2人が説教していたら、ルイーゼが笑い出した。
「ウフフフ。3人は仲がいいのね」
「「あっ……も、申し訳ありません! 申し訳ありません!!」」
するとカイサとオーセは、フィリップとルイーゼにペコペコと頭を下げ出した。だって第二皇子をあだ名で呼んで敬語も使っていなかったから、どちらに対しても不敬だもん。
「謝らなくていいよ。私は全然気にならないから。故郷では、そんな感じで友達と喋っていたもん。懐かしいな~……そうだ。私ともその口調で喋ってくれない? 友達にもなってほしいな~??」
「「そ、そんな……次期皇后様とお友達なんて……申し訳ありません!!」」
「えぇ~。私ともお友達になってよ~。ねえねえ~?」
「「殿下~。助けてくださ~~~い」」
「僕に助けを求められても……」
カイサとオーセが必死に断っても、ルイーゼはグイグイ来る。なのでフィリップに助けを求めたけど、フィリップはルイーゼと関わりたくないので嫌そうな顔をするだけであった。




