379 神官への対応
「う~ん……うるさ~~~い!!」
フィリップを糾弾する多くの怒声を聞いたカイサとオーセは焦って寝室に戻ったら、ちょうどフィリップが飛び起きた。
「プーちゃん、なんか外が凄いことになってるよ!?」
「プーくんを出せって言ってるよ!?」
「はあ? 僕の眠りを邪魔するヤツはどこのどいつだ……全員、ブッ殺してやる……」
「や、やりすぎじゃない?」
「プーくん、冷静になって。ね?」
こんなに怒っているフィリップは初めて見たので、カイサとオーセも少し怖い。それができるほど地位が高い人なんだもの。
そんなキレているフィリップを宥めていたらノックの音が聞こえたので、カイサが走って護衛騎士から得た情報を持って戻って来た。
「外に集まっている人、全員、神官様だって。200人近くいるから、どうするか指示がほしいみたいなんだけど」
「神官? なんでそんなヤツらが……あ、聖女ちゃんのせいかよ~」
「急いでるみたいよ? 早く指示しないといけないんじゃない??」
「う~ん……じゃあ、殺しやすいように偉い人から順番に並べて、騎士も夜勤以外は全員呼んで帯剣させておいて」
「えっと……静かに整列させておいたらいいのかな?」
「いや、ころ……え? ムグッ!?」
カイサが優しい言い回しに変換したけどフィリップはまだお冠なので、オーセが口を塞いだ。
「プーく~ん。お着替えしようね~? カイサ、私がなんとかするから行って!」
「う、うん……苦しそうにしてるからホドホドにね……」
オーセの口の塞ぎ方は、フィリップをベッドに倒して顔をお尻で圧迫する方法。フィリップは両手両足をバタバタしているので、カイサも死ぬんじゃないかと心配しながら出て行くのであった。
カイサが護衛騎士に指示を伝えて寝室に戻ったら、フィリップとオーセは6と9が合体したような体勢でマッサージしていた。
なのでカイサは着替えを用意したらそこに参加して、フィリップの怒りを2人掛かりで素早く抜き取った。
これでフィリップの溜飲が下がったみたいなので、お着替え。護衛騎士に指示を出してから、20分後にフィリップたちは鉄格子作りの門の前に立った。
するとさっきまでザワザワしていた神官たちは、大きな声でフィリップを非難し始めた。
「うっさい! 黙らないと全員殺すぞ!!」
あまりにもうるさいので、怒りはぶり返し。カイサとオーセは「せっかく宥めたのに~」と落胆だ。
そのフィリップの怒りに、神官たちは黙らずにブーイング。一番前にいた神官も煽っている。
「もう本性を現しましたね! やはり聖女様を襲ったのは第二皇子だったんですよ!!」
「もう一度だけ言う! 黙らないと皆殺しだ!!」
二度目の警告も神官たちは無視するものだから、フィリップは護衛騎士を見た。
「総員、抜刀!!」
「「「「「……へ?」」」」」
「早く抜けよ! 命令してんだろ!!」
「「「「「は……はっ!!」」」」」
5人の護衛騎士は「マジで?」って顔をしたので、フィリップはこちらにも八つ当たり。そして全員が剣を抜いたら、神官たちも「こいつマジじゃね?」って顔をして静まり返った。
「僕の眠りを妨げた罰だ。この場にいる全員の首を切り落として持って来い!!」
「「「「「はっ!」」」」」
「「「「「うわああぁぁ~~~!!」」」」」
そこにフィリップのクレイジーな命令。護衛騎士は門に走り、神官たちは蜘蛛の子を散らすように逃げて行く。
「「「「「眠りを妨げた罰??」」」」」
でも、護衛騎士は鉄格子を握ったところでフィリップが変なことを言っていたと気付いて振り返った。
「あ、もうみんな逃げたでしょ? 追わなくてもいいよ。さってと、カイサ、オーセ。さっきの続きしよ~?」
「「「「「はあ……」」」」」
こうして皆が呆けた顔をしているのに、フィリップは何も説明せず根城に入って行くのであった……
「プーちゃん……さっきのって、ただの脅し?」
フィリップがベッドに飛び込んだすぐあとに、寝室に入って来たカイサは疑問を口にした。
「そそ。もっと粘るかと思っていたけど、全然だったね。アハハハハ」
「そりゃプーくんがずっと怒ってたら怖いよ~」
「だって~。あんな起こされ方されたら誰でも怒るって~」
「眠りを妨げた罰ってのも酷いからね? わかってる??」
「そうかな~?」
オーセは軽く説教。でもフィリップは聞きゃしない。なのでカイサも呆れた顔でアイデアを出す。
「ちょっとぐらい話をしてあげてもよかったんじゃない? アレじゃあ向こうも納得しないでしょ??」
「なんで証拠も無しに僕を非難する人の話をまともに聞かなきゃいけないの? 話す気がないヤツなんて、アレでいいんだよ」
「確かにプーちゃんに対して礼儀もなってないけど、このままじゃあ、プーちゃんはずっと聖女様暗殺未遂の犯人だと疑われ続けるわよ?」
「言いたいヤツには言わせておけばいいんだよ。そのうち父上かお兄様がなんとかしてくれるって~」
「「全部、家族頼み……」」
自分が疑われていても、フィリップは意に介さず。やったことはクレイジーな脅しだけであとは丸投げするので、カイサとオーセは「どんだけやる気ないんだ」と、違う意味でフィリップのことが心配になるのであった。




