378 新しい情報
キャロリーナから薬屋の情報を聞いたフィリップは根城に帰ったあとは力尽きたのか、裸でベッドの端にうつ伏せになって寝ていたら、カイサとオーセが朝の仕事をしようと寝室のドアを開けた。
「一昨日あんなにやったのに、昨日もやったみたいね……」
「うん……力尽きるまでやるって、どんだけバカなんだろう……」
2日連続、第二皇子殺害事件現場みたいになっていても心配されず。フィリップは起こされることもなく、2人は仕事に勤しむのであったとさ。
それから数日、フィリップもマッサージに疲れたのか、カイサとオーセとしかしてない。2人も薬屋のことを聞いて来ないので「やっぱりバカだな~」とフィリップをヨシヨシ撫でてる。
なんの撫で回しかフィリップはわかっていないけど、2人が仕事について何も言って来ないから結果オーライみたい。
なので今日もフィリップはベッドでダラダラしていたら、メイド詰め所に行っていた2人が血相変えて戻って来た。
「「殿下! 大変です!?」」
「ん~? 不倫してた人の続報でも入ったの~??」
「「そんなことで大声出すワケないでしょ!!」」
「えぇ~……こないだ不倫ネタで同じくらい興奮してたじゃな~い」
2人がスキャンダルに興奮していたのは事実。その時フィリップも楽しそうに聞いていたから知りたいのに、今回はまったく違うネタらしい。
「メイドの皆さんが言っていたんだけど、ルイーゼ様が襲われたの!」
「その犯人が、殿下からの指示だと叫んでたって!」
「「やったんか!?」」
理由はルイーゼ暗殺未遂があったから。何故か2人はフィリップを犯人だと疑ってるよ。
「えぇ~……僕、そんなツテないよ~。2人も僕がこの部屋でダラダラしてるの見てたでしょ~」
「あ……そうよね。プーちゃん、そんなことに興味ないよね……」
「マッサージ以外には、やる気を見せないよね……」
「とりあえず、疑ったことと馬鹿にしてることを謝ってもらっていい?」
「「……ゴメンね? マッサージする??」」
「あとでするから、手紙とか受け取ってない?」
「「あとでするんだ……」」
さすがに2人も言い過ぎたと反省して体で機嫌を取ろうとしたけど、フィリップは後回しにしたので「珍しいけどやることはやるんだ」と素直に反省はできない。
ただ、フィリップ宛の手紙はあったので、反省した演技で手渡した。
「へ~……なるほどね」
フィリップは手紙を読むと、納得した顔で封に戻した。
「陛下からの手紙って聞いたけど、何が書いてあったの?」
「知りたい? たまに機密事項が書いてあって、ボエルに読ませたら後悔してたけど……知りたい??」
「「知りたくないけど気になる~~~!!」」
「アハハ。だよね~? 誰にも喋らなかったら大丈夫だよ。ボエルはそういうところ真面目だから、わざと読ませたら面白かったんだけどね~。アハハハハハ」
「「オモチャにされたってアレだね……」」
フィリップの取説にも3年間オモチャにされた恨み節が載っていたので、カイサとオーセも知ったが最後、オモチャにされるのではないかと不安な顔になった。
「2人にはそんなことしないから安心して。アレは打たれ強いボエルだからしてたんだよ」
「「かわいそうに……」」
その不安を払拭しようと本心を語ったら、今度は哀れんだ顔に変わったよ。
「父上の手紙の内容は、さっき2人が言ってたことの詳しい報告書だよ。聖女ちゃんを狙った刺客が、事情聴取する前に自殺したらしいから、背後関係がわからないから気を付けろだってさ」
フィリップが手紙の内容を告げると、2人はまた心配した顔に戻った。
「この場合って、私たちはどうしたらいいの?」
「う~ん……2人にも危害を加えられるかも知れないしな~……詰め所に行く時、騎士に守ってもらおっか?」
「そんなの、殿下の守りが弱くなるじゃない? それはダメだよ」
「別に僕はいいんだけどな~……」
「「いや、ダメでしょ? 皇子よ??」」
「……あっ!?」
「「なんで立場を忘れるのかな~?」」
自分たちを優先してくれたことは嬉しい限りだが、フィリップが立場を完全に忘れていたから素直に喜べないカイサとオーセであったとさ。
それから予定通りフィリップたちはマッサージしてから眠り、カイサとオーセは朝に起きて仕事を始めたけどフィリップは起きず。
今日はフィリップから2人だけで中央館に行くなと言われていたので起きるのを待っていたら、10時も回ってしまった。
「プーちゃん。昨日、中央館について来てくれるって言ってたでしょ?」
「いつまで寝てるのよ~」
昨夜は2人とマッサージしただけなのに、フィリップはなかなか起きられず。どうやら昨日はなかなか寝付けなかったから、2人が寝てるところをコッソリ襲う遊びをしていたらしい……
ここまで起きないのならば、2人も最終手段。寝ているフィリップを襲って優しく起こそうと頑張っている。
その行為が始まってから数分後、外が騒がしくなって来た。
「なんかうるさくない?」
「プーくんを呼んでるような……」
その声はどんどん大きくなり、数も増えているように聞こえる。だから2人は何事かとバルコニーから外に出た。
「第二皇子を出せ~!」
「第二皇子は謝罪しろ~!」
「聖女様に何をするんだ~!!」
「「「「「第二皇子、出てこ~い!!」」」」」
そこにはフィリップを糾弾する声ばかり。高い壁が邪魔して人は見えないが、100人は軽く超える人間が押し寄せていたのだ。
「これって……」
「うん。神殿の人たちだね……」
その怒声を聞いたオーセとカイサは、不安に駆られるのであった……




