357 主としての資質
フィリップがキャラ設定を付けたいと言うので、チビッコ3人組で会議。フィリップは真ん中ですんなり決まったけど、カイサとオーセのどちらが姉をするかで揉めている。
「どう考えてもオーセが妹でしょう」
「そんなことないよ? 私だってお姉ちゃんできるもん! やりたい~~~」
「そのダダのコネ方……」
「うん。妹はオーセしかできないよ……」
「なんでよ~~~」
オーセ、お姉ちゃんに憧れがあったみたいだけど、多数決で妹に決定。元々フィリップもカイサのほうがしっかり者だと思っていたし、オーセはかわいく感じてたもん。
「まぁ最初はこれでやってみて、しっくり来なかったらチェンジしてみよっか?」
「そうね。私が不甲斐なかったら、すぐ代わるね」
「うん……絶対に追い抜いてやるんだからね!」
オーセはカイサから姉の座を奪おうと、メラメラ燃えるのであった。
「オーセ、ア~ン」
「ア~ン。美味し~い」
「僕のも、ア~ン」
「ア~ン。これは妹の特権だね~」
でも、しばらくフィリップとカイサで甘やかし続けたら、妹設定をすんなり受け入れたオーセであったとさ。
敬語をやめて姉妹設定を足すことで、3人の仲は急速に進展。フィリップもカイサからは「プーちゃん」、オーセからは「プーくん」と呼ばれてる。
フィリップの名誉のために言うと、この「プー」は無職を表す言葉ではなく、名前の一番最後から取られたのだ。でも、フィリップは呼ばれる度に「無職のプー太朗」が頭に過るんだって。
それからもフィリップたちは根城で楽しく暮らしていたある日の夜、カイサとオーセにはまだ気になることがある。
「プーちゃん、また出掛けるとか言ってたけど、いつもどこから出て行ってるんだろう?」
「そういえばそうだね。こっちの玄関を使ってる音を聞いたことがないね……覗いちゃう?」
「覗いて怒られても知らないわよ?」
「プーくんなら怒らないよ~」
「それもそっか」
敬語をやめてから、フィリップはナメられっぱなし。2人は堂々と寝室に入ったら、バルコニー側のドアの前に人陰があった。
「プーちゃん?」
「プーくん?」
「わっ!? どうしたのこんな時間に!?」
フィリップはドアをこっそりと開けようとしていたので、ドキッとして慌てまくりだ。
「どうしたもこうしたも……その格好って、いつもそこから外に出てたの?」
「こ、これは……」
「プーくん。怒らないから言ってごらん? いつもどこに行ってるの?」
平民っぽい服を着たフィリップがあたふたしているので、何故か立場が逆に。フィリップも観念して「絶対に? ぜ~ったいに?」と言いながら正座で座ったけど、そこで立場を思い出した。
「えっと……僕がどこに行こうと自由なのでは? 僕、第二皇子だよ~??」
「「あっ!?」」
「忘れてたんだね……」
フィリップが第二皇子を前に出したら2人も思い出して土下座だ。
「「すみません。調子に乗りました……」」
「いいよいいよ。怒ってないから顔を上げて」
2人が顔を上げると続きを喋る。
「んっとね。僕がどこに行ってるかだよね? 2人を信用してるから言うけど後悔しないでね?」
「「はいっ!」」
いい返事が返って来たから、フィリップは普通の顔で言っちゃう。
「娼館だよ。女を買いに出てるの」
「「……はい??」」
「2人と出会った時も、家を抜け出してるって言ったでしょ? だからコソコソここから出て行ってるんだよ。僕が城を抜け出してるのを見たのに止めてないんじゃ、さすがに父上から怒られるかもしれないからね~」
「「聞くんじゃなかった……」」
これはフィリップの気遣い。それなのに真相を聞いて2人は大後悔だ。
「もう行っても大丈夫? あ、2人が誰かに喋っちゃうと、護衛の何人かは処刑されちゃうから秘密にしてほしいな~??」
「「誰にも言いません……誰にも言えません……」」
「ありがと~う。んじゃ、早く寝なよ? おやすみ~」
こうしてフィリップは、2人を軽く脅してから闇に消えるのであった……
「てか、どうやって城から抜け出してるの!?」
「殿下、出来損ないって言われてるよね!? そんなに動けるの!?」
「「気になる~~~!!」」
どこから出てどこに行っているかはわかったけど、その間が謎だらけなので、カイサとオーセの遠吠えが響き渡るのであったとさ。
翌日の朝、フィリップの寝室に入ったカイサとオーセ。フィリップは幸せそうに寝てるので、2人はツンツン頬をつついてた。
フィリップはまったく起きる気配がないので、朝の仕事に励む2人。お昼過ぎに起きたフィリップは、2人の何か言いたげな顔に気付いていたので、帝都学院の体操服を自分で着て部屋から出て行った。
「「どちらへ?」」
「庭でちょっと運動するだけだから、ついて来なくても大丈夫だよ~?」
「「仕事ですからお供します」」
「聞きたいことがあったら聞いてよ~~~」
2人の目から逃げたのに、ついて来ては逃げた内に入らない。何も聞かずにずっとヒソヒソやっているのは、フィリップも耐えられないみたいだ。
なのでフィリップは、訓練している3人の護衛騎士に接近。護衛騎士は久し振りにフィリップを見たので、「何しに来たんだ?」と動きが止まった。
「苦しゅうない。続けて続けて」
「「「はあ……」」」
なのでフィリップは訓練の続行を告げたら、その場にあぐらで座って護衛騎士を見続ける。護衛騎士はやりづらそうに、素振りをしたり軽い乱取りをしていた。
「そういえばお前たちって、魔法って使えるの?」
たいした動きじゃないのでフィリップが飽きて質問してみたら、護衛騎士は何やら目で語り合ってからゆっくりと集まった。
「「「知らなかったのですか?」」」
そう。護衛騎士は全員フィリップが集めたのだから、当然知っていると思っていたから呆れているのだ。
「「殿下……」」
「えっと……みんな、その目はやめてほしいな~??」
自分の護衛騎士の能力すら知らないのだから、カイサとオーセにもジト目で見られるフィリップであったとさ。
また一本、新しい小説をアップしました!
一万字ちょっとの短編ですのですぐ読み終わると思います。
『中年ニートの命の使い道』、評価等も宜しくお願い致します<m(__)m>




