353 来客の苦情
3年振りに再会したラーシュは、フィリップに「ブンテレンジャーでイエローしてた人?」と言われて撃沈。カイサとオーセは「2年間も一緒にいたのにかわいそう」と涙。
そんな居たたまれない空気なのに、フィリップはテーブル席に移動して、2人にお茶を催促してた。
「ゴメン。忘れててゴメンね? イエローもこっち来て座ろっか??」
「ラーシュです!!」
ラーシュにも気を遣って謝罪したフィリップだったけど、言い方が悪すぎる。ラーシュは怒りながら、ドスンと椅子に座った。
「ホント、ゴメンね。見た目が全然違うからわからなかったの~」
「「「名前から忘れてましたよね?」」」
フィリップが言い訳すると、これも不発。ラーシュだけじゃなくその現場を一部始終見ていたカイサとオーセも冷たいツッコミだ。
「いや、3年も昔のことだったし……ゴメンって~……あ、リンゴちゃんはどうなったの?」
「聞かないでください!!」
またしてもラーシュの嫌なことから思い出したフィリップ。これだけはフィリップも譲れないから聞き出したら、同じ国の公爵家の嫡男が入学したから、そっちに寝取られたというかリンゴちゃんが寝取ったんだってさ。
「アハハハ。だんだん思い出して来たぞ。クーデターの時、気絶してたよね~?」
「もう、なんでそんな私の恥ずかしいことばっかり覚えてるんですか~。殿下だって、女王様の胸を揉んで来たと高々と宣言してたでしょ~」
「あったね~。アハハハハハ」
なんだかんだで思い出話に発展。ラーシュの反撃にあっても、フィリップは笑い続けるのであった。
「他国の女王様の胸を揉んだって……」
「うん。馬鹿な私でもわかる……」
「「国際問題なのでは?」」
カイサとオーセは引いてしまい、フィリップが笑っている意味がわからないのであったとさ。
思い出話によってラーシュのことを完全に思い出したフィリップであったが、文句のひとつも言っておきたいことがある。
「昔はかわいらしいとこ残ってたのに、いまは微塵も昔の雰囲気が残ってないよ? それじゃあ僕も誰だかわからないって~」
「殿下も立派……変わらないどころか小さくなってません??」
「ラーシュが大きくなったの! てか、僕だって伸びてるんだからね!!」
「「「アハハハハハ」」」
でも、反撃にあって今度はフィリップが撃沈。カイサとオーセまで笑ってるから泣きそうだ。
ちなみにラーシュの現在の身長は180センチオーバー。フィリップと別れた時より20センチ以上伸びている。フィリップだって9センチ伸びてるけど、元が小さいからあんまり変わりません。
「そういえば、僕、カールスタード王国の情報流してって言ってたよね? アレって、1回しかくれなかったような……」
「それです! 私は何度も手紙を出していたのに、1回目以降、返事をくれなったですよね!? どうなっているのですか!!」
この話はフィリップの墓穴。ラーシュは返事がないのに2ヶ月に一度の手紙を2年間も出し続けたのに返って来なかったから、3年目は諦めたんだって。
「えっと……確か……急に手紙がやたら届いた時期と重なったのかも?」
「2ヶ月に一度、大量の手紙が来たと?」
「たぶん……読むの面倒だから、従者にそのまま捨ててって言った中に混ざっていたかも?」
「……本当ですか??」
「マジでマジで」
この話は、10分の1ぐらい真実。たまたまラーシュの手紙が届く日に、その他の手紙が多く届いたからフィリップは捨てろと命令した。
その2ヶ月後にラーシュの手紙が届いたけど、フィリップは名前を忘れてしまったから捨ててしまって常習化したのだ。つまり、100%フィリップが悪いね。
「今年、帰る旨の手紙も送ったのてすが……」
「ああ~……それも似たような感じ。学生から死ぬほど就活と婚活の手紙貰ったから、弾いたような……」
「つまり、3年前から私のことは忘れていたのですよね? 怒らないから本当のことを言ってください」
「絶対? 絶対に怒らない??」
言質を取ってフィリップは真実を告げたら、怒りを通り越して呆れたラーシュ。出会った時に忘れてたんだから、もう怒る気力もないよね~?
それからラーシュは喋る気力もなくなったのか、日本庭園風の庭を見ながらアイスティーを飲んでほっこりしているので、フィリップは話題を探す。
とりあえずクリスティーネの話を振ってみたら、知ってる情報しか出て来ないので面白くない。結婚式に参列した話もあまり聞きたくないのか、フィリップはすぐに話題を変えた。
「てか、遅い戻りだね。もうすぐ夏だよ? なんかトラブルあったの?」
「それです! 5月には戻って殿下に会いに行ったのに、いつも留守だったんですよ! 何してたんですか!?」
「どうどう……」
世間話程度に聞いた話も地雷。フィリップも珍しく冷や汗掻いてる。
「たぶん……たまたまここに来てる時と重なったんじゃないかな? 改築で忙しかったし」
「フレドリク殿下からは、体調を崩しているから部屋にいると聞いていたのですが……」
「たまたま体調良くなってたんじゃないかな~?」
これは全てウソ。ボエルが昼には出掛けていたから、フィリップはノックの音に気付かなかったのだ。
「僕と会えなかったあとはどうしたの?」
「実家に戻りしたよ。せっかく殿下を優先したのに……」
「父上とお兄様に帰還の報告をしただけでは?」
「そ、それもありますけど、殿下に会いたかったのは本当ですからね!!」
「「こんなに忠誠心がある人を疑うなんて酷い……」」
「カイサ~? オーセ~? そんな目で見ないでくれる~??」
「ですよね!? 私はこれでも殿下のことを信じていたんですよ~~~」
「ゴメンって言ってるでしょ~~~」
フィリップがあまりにも酷すぎるので、カイサとオーセもラーシュの味方に。ラーシュもカールスタード王国でフィリップのおもりがどれだけ大変だったかと懇々と語るので、フィリップは何度も謝罪するのであったとさ。




