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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
十五章 新生活を始めても夜遊び

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351 奇行


 両腰に2本の剣、背中には2本の剣を交差して背負い、右手には抜き身の長い剣を引き摺ったフィリップが中央館に入ろうとしたら、カイサたちからめっちゃ止められた。


「な、何をなさるのですか!?」

「殿下。帰りましょ? ね?」

「「お願いします!!」」


 せっかく「討ち入りじゃ~!」と意気揚々と踏み込もうとしたのに止められたフィリップは、不機嫌そうに振り返った。


「ちゃんと父上には許可もらってるから大丈夫だよ。みんなに迷惑掛けないから……どうやっても掛かるか。気狂い皇子に仕えて大変ですね~って! アハハハハハ」

「「「「わかってるならやめてくださ~~~い!!」」」」


 カイサたちの説得は無意味。フィリップは大声で笑いながら歩いて行くのであったとさ。



 フィリップが先に進んでしまっては、従者のカイサとオーセはついて行くしかない。護衛騎士に「生きて戻って来いよ~」と手を振って見送られ、泣きそうな顔で追いかけた。

 するとフィリップは警備の騎士と揉めていたけど、すぐに解放されて中へ。そのまま剣を引き摺りギーギーという音を鳴らしながらズンズン進んで行く。


「うぅ……私たち、なんでこんな人に仕えてるんだろ……」

「大金に目が眩んだ私たちが悪かったね。うぅ……」


 カイサとオーセ、後悔を通り越して死を覚悟。ブツブツと最後の言葉を残している。

 フィリップの耳にもその声は届いていたけど、ニヤニヤ前進。すると、前からメイドが2人歩いて来た。


 そのメイドはフィリップに気付いたら左端に避けたけど、もう少し近付いたところでギョッとした顔のまま立ち止まった。


「あ、君たち~。おはよ~~~」


 その瞬間、フィリップは笑顔でダッシュ。引き摺っている剣はガランガランと音を立て、カイサとオーセは顔を見合わせてから追いかけた。

 メイドの2人はサーッと血の気が引き、逃げるか残るかどうしようかと首を左右に振り続けてる。


 その時間が無駄だ。フィリップはメイドの目の前まで来てしまった。


「いつも僕の侍女が世話になってるみたいだね。ありがと~う。もう名前も知ってると思うけど、ちゃんと挨拶しておこうか? カイサ、オーセ」

「「は、はい!」」


 カイサとオーセは前に出て、自己紹介をして「よろしくお願いします」と頭を下げる。


「んじゃ、握手もしておこうか?」

「「よ、よろしく」」

「本当によろしく頼むね? 2人は右も左もわからない新人なの。楽しくお喋りもしてくれたら、僕も嬉しいな~。いいこともあるかも?」

「は、はい!」

「私たちにお任せください!」

「ありがと~」


 カイサたちが握手をしたら、フィリップも頼み事。メイドからもいい返事がもらえたので、フィリップは礼を言って先に進むのであった。


 メイドは殺されると思っていたのか、フィリップたちが立ち去ったあとはペタンと腰を落としたけど……



 それからもフィリップはメイドを見付けては笑顔で駆け寄り、カイサとオーセのことを頼んで握手をさせる。メイドは腰砕け。2人に嫌味を言ってたんだから怖いんだろうね。

 たまに騎士に止められる場面もあるが、フィリップが紙を見せてゴニョゴニョ言うだけですぐに解放される。


 カイサとオーセは、まだこの展開について行けてないのか冷や汗が止まらない。お昼前にはフィリップの奇行が「殿中~。殿中~! 第二皇子、御乱心!!」と城の中に轟き、メイドが逃げ惑っている。

 それでもフィリップはメイドを追い回し、いい頃合いだとメイド専用の食堂に突撃した。


「は~い。第二皇子ですよ~? みんな元気~?? 動いたら……アハハハハハ」


 メイドは逃げ出そうとする者もいたけど、フィリップが狂ったように笑うのでステイ。何をしでかすかわからないもん。

 そこにカイサたちを連れて行き、仲良くするように1人1人頼んで握手。そのままボエルをイジメていたメイド、ヴィンクヴィスト侯爵家のアルフヒルドが座っているところに3人で押し掛け、一緒にごはんを食べる。

 フィリップは腰と背中にある4本の剣が邪魔で、立って食べるしかないみたい。


「いや~。僕の予想では、君たちが一番カイサとオーセをかわいがってくれていそうなんだよね~……僕、なんか間違ったこと言ってる?」

「い、いえ……かわいく思っています……」

「だよね~……アレ? 食事が進んでないね。どうしてかな~??」

「そんなことありませんことよ。オホホホホ~」


 フィリップの予想、的中。なのでアルフヒルドたちはバクバク食べ出した。フィリップはその姿をおかずにニヤニヤしながら食べ、カイサとオーセは全然喉を通らないので水で流し込んでる。


「ま、うちの侍女とも仲良くしてやってよ。頼むね? そのほうがいいことがあるかもしれないしね~」

「「「はっ!」」」

「んじゃ、握手握手~」


 フィリップだけ気分良く食べたら、握手して「騒がしてゴメンね~」と退散。その後も城の中をウロウロして、メイドを怖がらせてから根城に戻るのであった……



 馬車に乗り込み根城に帰ったら、護衛騎士は仲間に「ヤバイって~!」とフィリップの奇行を報告。カイサとオーセは、部屋に入るなりバタンキューだ。

 そんな2人をフィリップはお姫様抱っこでソファーに運び、キッチンでお茶をいれてから2人の間に座った。


「お疲れ様。よく頑張ったね~?」


 フィリップがよしよしとカイサとオーセの頭を撫でていたら、10分後ぐらいにようやく復活だ。


「「ななななな、何してるんですか!?」」


 第一声は、怒り。フィリップは2人を抱き締めて質問に答える。


「あんだけやったんだから、メイドのみんなも2人に手を出せないでしょ」

「「……え?」」

「全部、カイサとオーセのためだよ。僕、言ったよね? カイサとオーセのことは必ず守るって。これでまた馬鹿皇子に拍車が掛かっちゃうな~……ま、いまさらか」


 今回の奇行は、間違いなく2人のため。ボエルだったらそこそこ打たれ強いし、腕っ節も強いから少しの手助けでなんとかなったが、無力な平民ではいつ潰されてもおかしくない。

 だからフィリップは、わざわざ皇帝から帯剣の許可を取り、頭がおかしくなったフリをして仲良くしてくれと言って回ったのだ。ちなみにいいことがあると言ったのは噓だけどね。


 その心内を聞いたカイサとオーセは、心からフィリップに感謝するので……


「「もっといいやり方は無かったのですか?」」

「さあ? お兄様ならいいやり方を思い付くと思うけど……」

「「フレドリク殿下に聞いてからやってくださいよ~~~」」


 いや、感謝はちょびっと。フィリップのやり方が酷すぎたので、感謝するより苦情ばかりになってしまうカイサとオーセであったとさ。


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