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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
十二章 最終学年になっても夜遊び

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308/522

308 卒業生代表フィリップ


 前夜祭の狙いは皇帝に半分ぐらい言い当てられたのだから、フィリップも素直にお褒めの言葉をいただく。これ以上疑われたくないから頭も差し出していた。

 皇帝に雑に頭を撫でられていたら、挨拶回りをしていたフレドリクたちが戻って来たので、何か聞かれない内に講堂へ移動する。


 今回はフィリップの卒業式なのだから、皇帝たちは専用の席で見学。フィリップは卒業生の最前列で行儀良く座ってる。皇帝たちが後ろにいるからうたた寝もできないもん。

 それから学長や皇帝の長い話を目をバッキバキにして聞き、在校生代表の話を「つまらねぇ」と聞き流せば、卒業生代表、フィリップの出番だ。


 フィリップは背筋を正して壇上に登り、曲がる時にはキュッと90度回転して中央まで歩く。そして台の前に立つと、内ポケットに忍ばせていた原稿用紙を取り出して開いた。


「春……僕たちはこの由緒正しき帝都学院の一員になりました」


 ここからはフィリップの独壇場。ツカミのちょっとした思い出話、先生への感謝の言葉、保護者への感謝の言葉、在校生への激励、卒業生には共に学び合った日々。

 そんなに出席していないのに、こんなに言葉がつらつら出て来るのは、もちろん前世のパクリ。フィリップが感動した文章を、帝都学院の卒業生に当て嵌めて書いたからだ。


 そのおかげで、講堂は涙涙。先生も保護者も、在校生も卒業生も、フレドリクもルイーゼも、1人を除いて涙が止まらない。皇帝は目頭を押さえて我慢してる。

 答辞が架橋に入ると、フィリップも感情移入して熱くなったのか身振り手振りが激しくなって来た。


「先生の教育の賜物(たまもの)で、僕たち卒業生は、この帝国に役に立てる人間となれました! 僕たち卒業生は、帝国をよりいっそう発展させることでしょう!」


 教師陣に手を差し伸べたフィリップは、次に在校生に手を向ける。


「在校生諸君! 僕たち卒業生は、先に帝国の未来に飛び込む! 僕たちの背を見て恐れず続け!」

「「「「「はいっ!」」」」」


 最後に卒業生に拳を突き出した。


「さあ! 僕たちは後輩に無様な姿を見せられないぞ! 共に帝国の未来を切り開こうぞ!!」

「「「「「おお!!」」」」」

「いざ行かん! 帝国の未来へ!!」

「「「「「うおおぉぉ!!」」」」」


 こうして卒業生と在校生の雄叫びを背中に聞きながら、フィリップは両拳を突き上げたまま退場するのであった……



 (えつ)に入っていたフィリップは本当に外まで出てしまったので、先生が「まだありますから~!」と追いかけて来たから、講堂にコソコソ戻って着席。

 ラストの卒業生全員で帽子を投げるのをノリノリでやって、卒業式は本当に終了。


 卒業生が嬉しそうに騒ぐなか、フィリップは皇帝たちにこれでもかってぐらい褒められたら、馬車を見送った。


 今日は寮で後夜祭があるからフィリップは居残り。卒業生は食堂等で在校生と楽しく喋っているが、フィリップは食事を終えたら自室に戻る。友達いないもん。

 そうしてソファーに寝転んでボエルからも「やればできるじゃん!」ってめちゃくちゃ褒められていたら、ノックの音が響いた。


 その音に、ボエルはスキップで対応して、リネーアパーティをフィリップの前に連れて来た。


「やあやあ。みんな、卒業おめでと~う」


 リネーアパーティの顔は、なんとも言えない顔。それなのにフィリップはバカ面で対応するので、リネーアが苦言を(てい)する。


「殿下……ナータンから話があるそうです。何卒(なにとぞ)、お聞きください」

「ん~? あ、そっちの子に告白して成功したの? やるね~」

「そ、それは……へへ」

「殿下。真面目な話です。ナータンも照れない!」

「はいっ!」


 デシレアへの告白が成功したナータンはモジモジしたけど、リネーアに怒鳴られて背筋を正して物申す。


「殿下が読んだ答辞……あれ、俺の思い出ですよね? なんで殿下が勝手に俺の思い出を語ってるんですか~~~」


 そう。フィリップの泣ける答辞は、ナータンの思い出が基軸。文章もパクリなら思い出もパクリだったのだ。

 リネーアたちも卒業式では泣いていたけど、ナータンが一切泣きもしないで暗い顔をしていたから、事情を聞いて怒りが爆発したらしい……


「殿下ぁぁ~……」


 それはボエルも一緒。さっきまでベタ褒めしてたのに、怒り爆発だ。


「だって~。僕、思い出ないんだもん」

「だからって人の思い出を自分のことのように言うな!」

「言ってないよ?」

「言ってただろ!!」

「ちゃんと思い出して。僕、答辞で自分の名前出した?」

「言っ……あれ??」


 ボエルたちが思い出してみると、フィリップの言う通り答辞に誰ひとり人物名が出ていない。


「ね? こいつの思い出を僕が代筆してあげただけ。てか、お前、僕より泣ける文章書けるの??」

「か、書けないです……」

「だったら何も問題ないよね?」

「は……」

「「問題大有りだよ(です)!!」」

「そりゃそうか! アハハハハハハハ」


 ナータンは落ちそうだったけど、ボエルとリネーアが止めてくれたからギリセーフ。しかしこれ以上言ってもフィリップは笑うだけなので、結局苦情は諦めるしかなかったのであった。



 その日の深夜……


「「「「「ああ~~~!?」」」」」

「「「「「あんの馬鹿皇子~~!!」」」」」


 卒業式に出席した生徒と教師は、眠りに就くところでフィリップが全然出席していないことを思い出して答辞は嘘ばかりだったと気付き、寮内を叫びながら走り回ったそうな。

 そのせいで卒業式で泣いていた親にも話が行ったので、フィリップの評価はだだ下がり。あの素晴らしい答辞も記憶から抹消されたんだとか……


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