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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
二章 学校で夜遊び

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030 ダグマーの過去


 襲われた次の日は移動しないと聞いたフィリップは、ヘラヘラしながら宿屋の自室に戻ろうとしたらダグマーがついて来たので一緒に部屋に入った。


「申し訳ありませんでした」


 するとダグマーが深々と頭を下げるので、フィリップは優しく声を掛ける。


「さっきも謝ってたんだから、それで充分だよ」

「いえ、殿下に人を殺すところを見せるべきではありませんでした」

「あ、そっち? それはもういいって」

「それもですが、殿下の移動を止めてしまったこともです。私が焦らず捕らえておけば、こんなことにならなかったのです」

「もういいって言ってるでしょ~。それ以上言うなら、僕にも考えがあるよ」


 ダグマーは罰を与えられるのを覚悟して待つ。


「膝枕してくれる?」

「は……はい??」


 しかし罰でもなくセクハラ発言だったので、ダグマーの返事は質問となってしまった。


「僕、見たんだよね~。ダグマーが頑なに膝枕を拒んでいたの、スカートの中にナイフを隠してたからでしょ? 寝心地が悪いと思ってしてくれなかったんだね!」


 その問いに、フィリップは自信満々にダグマーを指差した。


「違います。セクハラです」

「うっそ!? どんだけセクハラに厳しいの~~~」


 でも、大ハズレ。フィリップはベッドに飛び込んで(もだ)えまくってる。よっぽど自信あったみたいだ。

 しかし、ベッドをコロコロと端から端に転がっていたら、フィリップの頭は何かに乗り上げた。


「あ……柔らかい。それにいい匂い。クンクン」

「そこまでしていいとは言ってないのですが……いまだけですよ」


 ダグマーだ。太ももに差していた2本のナイフをベルトごと外し、ベッドに女の子座りしてフィリップの頭を受け止めたのだ。でも、フィリップはちょうど顔が下を向いていたので、これ幸いと嗅ぎ倒しているな……



 そんなフィリップも匂いに満足したら、上を向いてダグマーを見詰めた。


「ねえ?」

「なんでしょうか?」

「ダグマーって何者なの? 普通のメイドじゃないよね?」

「……はい。メイドになる前は、暗部にいました」

「暗部ってことは……アサシン?? カッチョイイ~」


 重いカミングアウトなのにフィリップが目を輝かせるので、ダグマーも困ってしまう。


「尊敬されるような仕事ではないかと……」

「そう? 国のために誰にも誇れないような汚れ仕事をやっていたんだよね? それを僕が否定できるわけないじゃん」

「殿下は……お優しいのですね……」

「皇族なら当然だよ。いつもありがとね」

「もったいないお言葉で……」


 ダグマーは泣きそうになってはいたが、涙は我慢してフィリップの質問に答える。


 ダグマーは元々騎士爵の家庭で育ち、自分も父親のような騎士になろうと子供の頃から訓練していたそうだ。しかし、魔法適性検査で転機が訪れる。音魔法という変わった魔法を授かったからだ。 折角指摘してもらってるのに内容も見ないでOKする?

 ダグマーとしては聞いたこともないから使えない魔法だと思ってガッカリしたのだが、この魔法は実は、皇帝直属の暗部がその性能を握り潰していた魔法。

 音魔法というのだから音を使った攻撃もできるのだが、使い方を工夫すれば暗部に一番適した魔法なのだ。


 自分の音をシャットアウトしたり、声を細くして遠くに飛ばし連絡も取れる。隣の部屋の音もクリアに聞こえるし、近距離ならば超音波で相手の脳も揺らせて気絶まで持って行ける。


 こんなに便利な魔法なのだから、ダグマーの元へ当然のように暗部のスカウトがやって来た。両親は断ろうとしたらしいが、これは皇帝命令だったので断れず。

 どうもそこまでして確保したい理由は、ダグマーの存在に気付いた悪者がさらうことを危惧してのこと。最悪、敵国のスパイだと冤罪を掛けることになり兼ねないとまで言われたらしい。


 ダグマーも子供ながらに命の危険を察して、親元を離れて厳しい訓練に明け暮れた。最初は情報収集班、次に潜入捜査班。そこまで来ると避けられない戦闘も起こり、人を殺めてしまうことも……

 ただ、ダグマーは優秀だったためどの現場でも生き残り、順調に出世して行った。責任を負う立場になると、さらに危険な任務に……


 精神的にはギリギリのダグマーであったが、必ず任務をこなして帰って来る姿に皇帝は使えると考えて、新たな任務を与えた。

 それはメイドになること。ダグマーは「いまさらなんでこんな温い仕事を?」とは思ったが、人を(あや)めなくていいのでホッとしたらしい。


 その1年後、メイドの技を全て習得したダグマーは、フィリップ専属メイド兼、護衛に任命されていまに至る……



「なるほどね~……だからエイラじゃダメだったんだ……」


 ダグマーの過去を知ったフィリップは納得。他国で護衛の人数に制限があるのならば、メイドも護衛として使おうと考えた皇帝の親心を理解したのだ。


「元が暗部だから、命令にも従順なのね」

「それはどの騎士も変わりはないかと」

「え~。もうちょっと融通きくよ? 城にいた女騎士とかは、仕事中なのに僕のベッドに来ようとしたよ??」

「……え?」

「普通に雑談してるし、僕の悪口言ったりも度々。凄い人は、自分から触って~って胸を見せて来たこともあったな」

「そんな騎士がいるのですか??」


 カルチャーショック。ダグマーは帝国の中でも一番お堅い職場にいたので、みんな同じだと思っていたらしい。


「ダグマーも、ちょっとは肩の力抜いたら? そして僕の夜のお世話もしてよ」

「は……するわけないでしょ!」

「おしい! アハハハハ」


 フィリップがちょっといいことを言ったのでダグマーは「イエス」と言い掛けたが、ギリギリ本性に気付いてツッコンじゃった。


 その顔や喋り方が面白かったのか、フィリップはしばらくゲラゲラ笑っていたので、ダグマーはフィリップの頭を膝から落として部屋から出て行ったのであったとさ。


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