208 スカウトの結果
「ショーケース!」
アン=ブリットが投げた謎の玉が床に接触したと同時にフィリップの氷魔法。玉は透明な氷の箱の中で破裂して、煙が充満することに。
「やると思ったんだよね~。逃がさないよ」
玉の正体は煙り玉。アン=ブリットはくノ一っぽいんだから、フィリップの予想通りだ。
「それならこうだ!」
「ムダムダ。諦めな」
ここからアン=ブリットは、胸元から取り出したクナイ乱射。フィリップに何本も投げながら、時折煙り玉を床に叩き付ける。
フィリップは冷静に対応。クナイはドラゴングローブで弾き、煙り玉はショーケースに閉じ込め、ゆっくりとアン=ブリットに近付いていた。
「水遁の術!」
ここでアン=ブリットは初めて見せる魔法。手から勢いのある水を出し、目隠しに使った。
「それは悪手だね~」
しかし、フィリップは左手をかざして接触した瞬間に急速冷凍。水は一瞬で凍り付き、お互いの手が間接的に繋がることに。
「ほらね? 繋がっちゃった」
「火遁の術!!」
アン=ブリットは焦りながらも、口から炎を吐いて氷を溶かそうとしてる。
「さすがは世界最高の暗殺者。4属性も使えるなんて、凄いね。あ、肉体強化もあるから5個か。てか、腕を切り落とすような無茶しなくてよかった~」
そこにフィリップは、片手で拍手をしながら氷を操り、アン=ブリットの目の前までやって来た。
「何がよかっただ! クッ……」
「あっ、足は凍ってるよ。って、言うの遅いか」
手が自由になったアン=ブリットは飛び退こうとしたが、いつの間にかふくらはぎまで氷で覆われていたので仰け反るだけだ。
「いつの間に……」
「こんなのいつでもできたよ」
「ということは、今までの戦闘は……」
「無意味。僕には意味があるモノ。僕とここまで戦える人間は初めてだから、楽しかったな~。アハハハハ」
フィリップに遊ばれていただけと知ったアン=ブリットは驚愕の表情。大笑いしていたフィリップは、まだ何かやる可能性を見越して、アン=ブリットの両手も氷で拘束した。
「ちょっとゴメンね」
「ん~!」
そしてアン=ブリットの口を手で少しだけ開けたら氷の板を突っ込んで、口の中で空洞ができるように固定して大口を開けさせた。
「おあ! おおああ!」
「痛かったら手を上げてくださいね~? 拘束してるから無理か。あ、コレかな? ムリヤリ取ると毒が漏れそうだし……凍らしたらいけるかな??」
歯医者さんごっこは別の目的。暗殺者ならよくある、捕まえた瞬間に服毒自殺ってのを阻止するため。フィリップは毒を凍らせて取り除くと、念のため毒消しポーションを流し込み、ついでにHPポーションもサービスしてあげた。
「ゲホッ! ゲホホッ」
「もう大丈夫ですよ~。毒は取り除きましたからね~」
「コホッ。なんで知ってるんだ!」
「だって~。暗殺者あるあるだもん。次はお楽しみの、身体検査ですよ~? 武器はどこかな~??」
「さ、触るな! どこ触ってるんだ! 揉むな~~~!!」
こうしてフィリップは、自分だけが楽しい身体検査で、アン=ブリットの巨乳を揉みまくるのであったとさ。
嗚呼無惨。アン=ブリットは服をビリビリ破られてほぼ全裸。身体検査の30分近く、ほとんど胸を揉まれていたのでぐったりだ。
「冷たかったよね。暖かい毛布使って」
もう死ぬ気力も逃げる気力もアン=ブリットは無くしていたので、フィリップは熱魔法で温めた毛布を掛けて、さっきポイポイ投げた武器を確認する。
「コレ、なんに使うモノなんだろう。男のアレみたいだけど……こっちは棒に両方付いてる。そっちのケもあるのかな~? エロイ子だ~」
いや、めちゃくちゃ気になる物があったから、真っ先に確認してるよ。ニオイまで嗅いでるし……
「てか、いったいどこにこんなに入ってたんだろ? ひょっとしたら、このサラシが数量限定のアイテムボックスになってたのかも?」
いやいや、アン=ブリットの細身の服装から有り得ない量の武器が出て来から、フィリップも不思議でならないので確認していたのだ。まだエロイ棒は握ってるけど……
「しまったな~。先に聞いておけば、破ったりしなかったのに~……アレ??」
フィリップが振り向くと、そこには血の水溜まりに浸かるアン=ブリットの姿。アン=ブリットはフィリップが目を離した隙に、両手に風魔法を纏い、喉元を大きく切り取ったのだ。
「ちょっ! 何してんの!? ポーション飲んで!! クソッ!!」
そんな状態ではポーションを飲むことはできない。しかしフィリップも諦め切れないのか、穴からムリヤリ液体を注ぎ込んだり、心臓マッサージをして助けようとする。
カールスタード王国のダンジョン下層で手に入れた最高品質のポーションのおかげで、欠損した喉元も復元していちおう傷は塞がったが、努力は虚しくアン=ブリットは絶命。出血が多すぎたのだ。
「クソオオォォ~~~!!」
大好きなキャラの死を目の前で見たフィリップは、自責の念に駆られて叫ぶのであった……




