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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
七章 珍しく昼遊び

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149 お祭り騒ぎ


「これは中ボスまでは無理っぽいな」


 ダンジョン内を進むフレドリクパーティをストーキングしていたフィリップは、時間も時間なのでダッシュで地上に戻ろうと思ったけど、カールスタード王国でいい物を手に入れていたと帰還アイテムを使ってしまった。


「ゲッ……」


 そう。帰還アイテムの出現場所は、ダンジョン1階の階段の横。5年生がかなり高い確率でいる場所なので、フィリップは生徒が目に入った瞬間、本気のダッシュで外まで逃げ切った。


「なあ? いま、誰かいなかったか??」

「さあ? また幽霊が出たのかな??」

「怖いこと言うなよ~~~」


 ただし、そんなことをしたから、また幽霊騒ぎとなるのであった。


「よくよく考えたら、カールスタード王国のダンジョン用って可能性もあったな……あっちに飛ばされなくてよかった~」


 何日も第二皇子が行方不明になる可能性も忘れていたので、フィリップは肝を冷やして帰路に就くのであったとさ。



 その次の日からは、フィリップは謎の発熱。というか仮病。ボエルは「ついに来た!」とあたふた看病していたが、夜になったらフィリップはダンジョンに向かった。


「何時間かかるかわからないし、先にあっち行っとこ」


 いや、途中で変更。まだ夜型の体になっていないので、今日は朝まで起きてられないから変更したのが真相だ。

 そのフィリップが屋根を飛び交いやって来た場所は、酒場。カツラを被り忘れていたので、一旦路地に入って変装してから中へと入った。


「子供?」

「ガキがなんでこんなところに……」


 カツラだけではフィリップの容姿に疑問を持つ酔っ払いはいたが、その言葉だけで喜ぶ酔っ払いが大多数だ。


「ハタチく~~~ん!」

「アハハ。久し振り~」


 ここは行き付けの、看板娘ミアが働く酒場。ミアは子供と聞こえてすぐにカウンターを飛び出て、フィリップの挨拶には応えずに抱きついた。


「久し振りじゃないよ! みんな、すっごく心配してたんだからね!!」

「ゴメンゴメン。のっぴきならない事情で帝都を離れるしかなかったの。心配してくれてありがとね」

「うん……生きててよかった~~~。うわ~~~ん」


 ミア、大号泣。それに釣られて酔っ払いのほとんどは泣いていたが、フィリップのことを知らない酔っ払いは「なんで子供が来ただけで泣いてんだ?」と、ついて行けないのであった。



「ほれ。ジュースだ」

「マスターも久し振り~。僕用のメニューも残しておいてくれたんだ~」


 ハゲ散らかった店主もフィリップのことを覚えてくれていたので感動。とりあえず積もる話をしたいけど、ミアがフィリップにくっついて離れないから先にそちらを処理する。


「元気だった? なんか胸が大きく……全体的に太ってない??」

「女に太ったなんて言うなよ」

「ゴメン! 僕の記憶が間違ってた!!」


 実際問題、ミアは本当に膨よかになっていたからフィリップも失言。殺意の込もった目で睨まれたので、平謝りだ。


「おめでただから、ちょっとね」

「おめでたって……オッパイ出るの!?」

「聞くとこ、そこ??」

「あ……間違えた。結婚したの?」

「私もいい歳だからね~……ハタチ君のこと待ってられなかったの」

「うわ~。おめでと~う。旦那さんどんな人? いい人? 今晩どう??」

「旦那はいい人だよ……妊婦の人妻誘うなよ」


 どうやらフィリップは母乳が飲んでみたくて誘っている模様。そのことも口から出てしまったので、出産後ならちょっとだけ吸わせてくれるらしい……

 ミアもちゃっかり浮気の約束を取り付けていた。あの、超絶技巧のマッサージが忘れられなかったんだとか。


「それより、いったい今までどこで何してたの?」

「いや~。散財してたの親にバレちゃってね。めっちゃ怒られた上に2年も監禁されてたの」

「あんだけバラ撒いていたら、そりゃ怒るよね。でも、2年も監禁って……怖い親ね」

「ウソウソ。反省してる姿を見せていただけだよ。たまに抜け出して夜這いしてたし」

「最低だな。心配して損した」


 今回の噓に他国を出さないのは、第二皇子とバレないように。噓に噓を重ねたので、ミアも腹が立って信じたみたいだ。


「僕がいない間、娼館とか潰れなかった?」

「だから、そういうのは女のウチに聞くな!」

「あ、そうだった。夜の街の人たちは元気にしてた~?」

「ハタチ君がいなくなってから、私も含めてしばらく立ち直れなかったんだよ」


 フィリップが突如消えてから、やはり夜の街は元気がなかったらしい。しかし、娼館の女性が客引きで外に出だしてから、みんな励まされて活気が戻ったそうだ。

 これはキャロリーナの手腕。元々フィリップは突然いなくなった場合に備えてお金を残していたから、キャロリーナはいつフィリップが戻って来てもいいように夜の街を立て直したのだ。


「キャロちゃん、そんなこと一言もいってなかったのに……やっぱりいい女だな」

「キャロちゃん? いい女? 誰のことかな~??」

「えっと……それは……あの人??」

「わっ! 奴隷館の人だ!?」


 フィリップがキャロリーナのことを感心していたのでミアに浮気認定されていたら、そのキャロリーナが大勢引き連れて入って来た。


「君ぃ。あたしに黙ってこんなところで飲んでるってぇ、どういうことぉ~?」

「別に僕がどこで飲もうと関係ないでしょ?」

「関係大アリよぉ! 君が戻って来たらぁ、町を上げてお祭りしようと思ってたんだからぁ。みんなぁ。今日はあたしの奢りよぉ~。飲んで騒ぎなさぁ~い!!」

「「「「「わあああああ!!」」」」」


 キャロリーナ登場で、酒場は大盛り上がり。それで終わらず外にまで人が溢れ、道は酔っ払いで埋め尽くす大騒動。どこからともなく酒や料理が運ばれて来て、近所の人もわけもわからず参加してる。


「アハハハ。すっげぇ人。マジでお祭りだ~~~!!」


 こんな夜遅くに集まる人数ではないので、フィリップも大満足。誰かが持ち込んだ楽器に合わせ、夜の帝王の帰りを待ち望んだ女性たちといつまでも踊り続けるフィリップであった……


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