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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
六章 夜遊び少なめ

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129 イベント内容


 その日、帝都城に激震が走った。皇帝の元へ謎の密告が入り、フリューリング侯爵の悪事が全て暴かれた上に、寝室で眠るように息を引き取っていたからだ。


「坊ちゃま朝です。起きてください」

「んん~……あと5時間~」


 そんなことになっているのはわかりきっているフィリップは爆睡。アガータが熱を計ったら高かったので、お昼にもう一度起こしに来た。


「坊ちゃま。お食事をお持ちしました。食べられますか?」

「んん~? 食べる~。ふぁ~」


 フィリップはお腹が減っていたらしく、眠気眼を(こす)りながら席に着き、ウトウトしながらスープを飲んでいた。


「あれ? お婆ちゃんだ……あいつ、ついにクビになった??」

「いえ。フリューリング侯爵様がお亡くなりになられましたので、今日は休みを取っております」

「なんだ。ただの休みかよ……って、誰が死んだって??」

「ですから、ヴィクトリアの父親です」

「へ~……僕の呪詛が効いたんだ~」


 フィリップが死者を冒涜するので、アガータは睨んだ。


「お言葉が過ぎます」

「あ、ゴメン。聞かなかったことにして。でも、怒っていたのは本当だから、悔やむ気持ちはまったくないよ」

「それも聞かなかったことにします。ですが……」

「なに?」

「いえ。なんでもありません」


 フィリップがフリューリング侯爵の住所を聞いたことがあるので、何かしたのではないかと頭によぎったアガータ。しかし子供ではお城から出れないし、ましては人殺しなんてできるわけがないとその先は飲み込んだ。


「ごちそうさま。さってと、僕はもうひと眠りするよ~」

「はあ……」


 どんなことが起きようとマイペースなフィリップなので、アガータも呆れてこのことは皇帝に報告しないのであった……



 この日はまたアガータに洗われたフィリップは、お口直しに奴隷館でキャロリーナとマッサージをして、噂話を収集だ。


「ふ~ん。そんなことあったんだ」


 どうやら早朝に、近衛騎士がフリューリング侯爵とオーヴェ商会に急襲して、ほとんどの者をしょっ引いて行ったとのこと。ただ、キャロリーナの情報網でも何が起きているかはわからないらしい。


「君なら何か知ってるんじゃないのぉ~?」

「僕はフリューリング侯爵家に不幸があったとしか聞いてないな~」

「そうなのぉ? 揉めてるとか言ってたから、てっきり何かしでかしたのかと思ったわぁ~」

「僕に何ができるんだよ。見ての通り、子供……ハタチだよ?」

「もう子供で認めたらぁ~? 20歳は無理あるわよぉ~」

「これでも背は伸びてるんだからね!」


 キャロリーナが勘繰って来たのでかわそうとしたら、微妙に失敗。あまり大きくなっていなかったので、フィリップはキャロリーナにいいこいいこされ、傷付いて帰って行くのであったとさ。



 奴隷館は早目に出て帰ったら、翌日は昼頃に起床したフィリップ。アガータから皇帝が呼んでいると言われたので、執務室で皇帝の膝の上で話を聞く。


「やった! ついにクビになったんだね!!」


 そこでヴィクトリアを排除できたと、フィリップはバンザイ。


「父親が亡くなってショックを受けたから辞退したと説明しただろう」


 ただ、皇帝とフィリップでは言い方のニュアンスは違うみたいだ。


「てことは、このままメイド長が学校までついて来るってこと?」

「いや、アガータは忙しいから代わりの者を用意している。リーバー家の娘がなんとか間に合いそうだ」

「リーバー家って、辞退したって人?」

「うむ。元々フィリップのメイドになる予定だった者だから、教育は行き届いているから心配するな」

「やっとだ~。これで掃除とかしなくてよくなった~」


 フィリップが再びバンザイして喜ぶと、皇帝は複雑な顔をする。


「それは悪かったな……どうして俺は、そんな者を(かたく)なに外さなかったんだ??」

「さあ? 終わったことなんだから、もういいじゃない」

「……そうだな」


 フィリップがはぐらかしたところで面会時間の終了。皇帝の膝から下ろされたフィリップはドアに向かう。


「フィリップ……」

「なに?」

「お前が何かしたとかじゃないよな?」

「なんのこと?」

「いや、なんでもない。もう行っていいぞ」

「はい……」


 呼び止められたフィリップは首を傾げながら出て行き、皇帝は手に持っていた書類を机に投げ捨てたのであった……



「うお~……焦った~」


 自室に戻ったフィリップは、アガータが出て行ったらベッドに飛び込んで悶えていた。


「お父さんの持ってたあの書類って、僕が深夜の内に執務室に置いた書類だも~ん。そりゃ焦るよ~」


 相変わらず誰と喋っているかわからないフィリップ。これはフィリップが密告者だから、執務室に入るところを誰かに見られたのかと肝を冷やしていたのだ。

 内容は悪事の報告と、オーヴェ商会のマフィアとフリューリング侯爵家の別宅にある証拠。秘密裏に事を進めれば一網打尽にできるとも書いたから、皇帝は半分だけ信じて査察の名目で、信頼できる近衛騎士を送った。

 それが事実となったが、誰の密告かわからないのは皇帝としては気持ちが悪い。調べても出て来ないので、ふとフィリップの顔が浮かんだからあの時呼び止めたってのが真相だ。


「まぁこれで鬱陶(うっとう)しいヤツは排除できたけど、問題はシナリオが変わっちゃうことなんだよな~……強制力でなんとかなるかな??」


 フィリップがフリューリング侯爵のことを詳しく知っていたのは、乙女ゲームのイベントだから。イベントではヴィクトリアはメイドとして最低だったから、冷遇されたフィリップは食堂で1人で食べることになっていた。

 それを哀れんだヒロインが助けるようになるのだが、ヴィクトリアはフレドリクとも仲がいいヒロインに嫉妬してビンタしてしまう。そのこともあって、今まで溜まっていたフィリップはその場でクビを言い渡すのだ。


 ヴィクトリアはそのことを嘘を交えて大袈裟に父親に報告して、マフィアを使ってヒロインを拉致。

 それを知ったフィリップは、フレドリクたちと共にオーヴェ商会に乗り込んで、ヒロインを助けるついでにフリューリング侯爵の悪事を全て暴き、好感度を上げるイベントとなっていたのだ。


 ただ、ここまでイベントを潰してしまうと、先が心配。フィリップの目的はフレドリクとの決闘ルートなのだから、神頼みするしかない。


「ちなみにリーバー家の子ってかわいいのかな~? どんな子なんだろ~? マッサージしてくれるかな~??」


 でも、途中からエロイ願いに変わり、胸と股間を膨らませるフィリップであったとさ。


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