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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
六章 夜遊び少なめ

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127 平和な日常


「チッ……なんであんなことあったのに、僕のベッドで寝てられるんだ……」


 アガータと自室に戻ったフィリップは、もうひと眠りしようと寝室に入ったらヴィクトリアが寝ていたので苛立っている。

 さすがに殴ってやりたくもなったが、とりあえずアガータを招き入れて現場を押さえさせた。


「これ、どう思う?」

「メイドにあるまじき行為かと……」

「だよね? 父上に報告してくれる??」

「はい……できるだけ早くには……」

「あ、そゆこと」


 ここでフィリップも気付いた。アガータもフリューリング侯爵に何かされていると。


「深くは聞かないから、こいつのオヤジの根城だけ教えて。それだけでいいから」

「それぐらいでしたら……」


 アガータはそんなことを聞いてもフィリップには何もできないと思って、帝都にあるフリューリング侯爵が住む別宅の住所を教えてしまうのであった……



 それから1週間、フィリップは特に何もせずに1人で城内を歩き、食事やお風呂なんかは自分で予約を取り、着替えも自分でやっていた。


「殿下……今日も来られたのですか……」

「こうでもしないとごはん食べられないも~ん。今日はアッサリしたのでよろしく~」

「はい……」


 これはかわいそうアピール。メイドなんかが噂を広めてくれるだろうとやっているが、聞き耳を立てたら「メイドに手を出して見限られてる」との噂が半分を占めていたから、フリューリング侯爵も必死に噂を流しているっぽい。


「フィリップ……いったいこれはどうなっているんだ??」


 どうやらフィリップの目当てはフレドリク。噂がフレドリクの耳に入って部屋に訪ねて来るのを待っていたみたいだ。


「どれのこと聞いてるの?」

「変な噂を聞きに来たのだが……部屋もホコリまみれじゃないか?」

「部屋が以外と広いから掃除するの面倒で、ここはやってないんだよね~」

「フィリップがやっているのか!?」


 まさか皇族が掃除しているのかと、フレドリクも驚愕の表情だ。


「まぁね。あ、でも、寝室はさすがにやってるよ。シーツとかも毎日洗濯場に持ち込んでるんだ~。見て見て。綺麗でしょ~?」


 そこにフィリップはかわいそうアピールを畳み掛けて、寝室をバーンッと開けた。


「いや、そういうことではなくてな……ベッドに誰かいるぞ??」

「たぶん僕のメイドじゃないかな?」

「なんだと……」

「あ、そうだ。そのメイド、お兄様のことが好きで好きで仕方がないらしいよ。結婚したいんだって」

「まてまて。その前に、メイドが主人に働かせてなんで寝てるんだ!」


 フィリップが気にせず喋り続けるので、代わりにフレドリクが怒り心頭。ベッドに近付き、布団を力強く捲った。


「んん……私の眠りを邪魔するの誰よ……パパに言うわよ」

「フリューリング侯爵にか?」

「え……フレドリク殿下? お久し振りでございますぅぅ」

「お前など知らぬ! さっさとフィリップのベッドから出ろ!!」

「は、はい!!」


 愛するフレドリクが怒鳴っているのだから、ヴィクトリアも慌ててベッドから出て軽く頭を下げた。


「これはどういうことだ?」

「えっと……そう! フィリップ殿下が事あるごとに私をベッドに呼び込んで辱めるのです……ううぅぅ」

「服を着ているように見えるが?」

「そういう趣味なのです! 酷い時は、服も破られて……やっとフレドリク殿下が助けに来てくれたのですね。ありがとうございますぅぅ」


 ヴィクトリアは苦し紛れの言い訳と泣いたフリ。そしてフレドリクに抱きつこうとしたけど、フレドリクはさっと横に避けた。


「プププ……空振りしてやんの」


 その先には、フレドリクの後ろに隠れて見ていたフィリップ。物凄く悪い顔で笑ってる。


「きゃあ!? あ、悪魔! フレドリク殿下、助けてくださ~い!!」

「プッ……また避けられてる。アハハハハハ」


 ヴィクトリアが何度抱きつこうとしても、フレドリクは拒否。全て紙一重で避けられているので、フィリップも堪えきれずに大声で笑い出した。


「何がおかしいのよ!!」

「全部。アハハ。どう? 愛する人に助けてもらえない気持ち? アハハハハハ」

「なに勝手に人の恋心をバラしてるのよ! 最低!!」

「わ~お。怖い顔~。ちなみに恋心をバラしたの、もっと前。お兄様、ぜんぜん興味なさそうだったよ?」

「そんなことないわよ!!」

「ほら、あの顔見てみなよ~? たぶんあの顔は、めっちゃ怒ってる顔だね」

「ち……違うんですぅぅ! フィリップ殿下が悪いんですぅぅ!!」


 フィリップはこう見えて皇族。そのフィリップ相手に敬意を払わず怒鳴り散らしているのだから、優しいフレドリクでも不愉快この上ないみたいだ。


「ありえない……これほど酷いメイドも貴族の令嬢も私は見たことがない! 父上に報告して、即刻フィリップのメイドを辞めさせる! その後は、それなりの罰を受けてもらうからな!!」

「そんな~~~」


 こうしてフィリップの策略通り、ヴィクトリアはフレドリクにこっぴどくフラれ、ようやく平和な日常が戻って来るのであっ……


「なんかな……父上がそのメイドを外すのを渋っているのだ……」

「ええぇぇ!?」

「いぃよっしゃあぁぁ~~~!!」


 しかしフレドリクが戻って来たらこの始末。フィリップは驚き、ヴィクトリアは令嬢がしてはいけないようなガッツポーズをしてるよ。


「まだこの生活しなくちゃならないの~~~」

「すまん。今日のところは私のメイドを派遣するから、我慢してくれ」

「そんな~~~」


 平和な日常は取り戻せないのであったとさ。


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